インタビュー

片頭痛はブルーライトの影響か。 LED照明がもたらす健康被害

片頭痛はブルーライトの影響か。 LED照明がもたらす健康被害
原 直人 先生

国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科 教授

原 直人 先生

スマートフォンやパソコンの使用時間が長時間化し「ブルーライトが目や体に悪影響を与えるのではないか」と懸念する声があがっています。ブルーライトが生体や視機能に与える具体的な影響については、現在のところ解明には至っていませんが、片頭痛を訴える人が増えているのは事実です。本記事では、「ブルーライトと頭痛」について現時点でわかっている事実と、何らかの症状が現れたときに受診すべき科について、国際医療福祉大学病院眼科教授の原直人先生にお伺いしました。

ブルーライトハザードとは-リズム障害や不眠症、黄斑変性症の発症リスクが高まる

ブルーライトとは、目に見える光(可視光線)のうち、波長が380~500nm(ナノメートル)と最も短い光のことを指します。波長が短いために散乱しやすく、エネルギーが他の波長に比べ強いという特徴があることから、目の疲労をはじめとする人体への健康被害が危惧されています。具体的には、夜間にブルーライトを浴びることによる概日リズム障害や不眠症、黄斑変性症の発症リスクの上昇などが懸念されており、これらを総称して「ブルーライトハザード」と呼んでいます。

ブルーライトと子どもの不眠症、リズム障害の関係

ブルーライトには警戒態勢や反応時間など、脳の認識機能を高める可能性があるとされ、“カフェイン以上に頭をすっきりとさせる作用がある”ともいわれています。実際に、就寝前にスマートフォンを操作し、頭が冴えて眠れなくなってしまったという経験をしたことがある方もいるでしょう。

平均年齢10.6歳の小児2,048例を対象とした研究では、携帯電子端末をそばに置いて寝ていた子どもは、そうでない子どもに比べ、1日あたりの睡眠時間が20.6分有意に短かったという結果が出ています。また、休息や睡眠が不十分だと感じている割合は、前者のほうが39%も多くなっています。

(参考文献:Falbe J:Sleep duration, restfulness, and screens in the sleep environment. Pediatrics 2015;135:e367-375)

増加する片頭痛の訴え-ブルーライトとの関係は?

ブルーライトと片頭痛の関係についても、研究を進めているところです。

先にも述べたように、LED普及率は年々上昇を続けています。オフィスの照明が蛍光灯からLED照明に変わった途端、頭痛発作が起こるようになったという患者さんが非常に多くいらっしゃいます。

片頭痛の病態はいまだ解明されていませんが、最も有力な仮説のひとつは、光刺激などをはじめとした“何らかの刺激”によって、頭蓋内の血管に炎症反応が起こるというものです。

光刺激が片頭痛を引き起こしているとされる科学的根拠も報告されてきています。ご自身が片頭痛持ちであるという自覚がある方で、ブルーライトを発するデジタルデバイスを扱う作業中に疲労を感じたときには休息をとることをおすすめします。また、頭痛専門外来を受診し、そこから眼科など、ご自身の症状に合わせた科を紹介してもらうのがよいでしょう。