インタビュー

片頭痛はブルーライトの影響か。 LED照明がもたらす健康被害

片頭痛はブルーライトの影響か。 LED照明がもたらす健康被害
原 直人 先生

国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科 教授

原 直人 先生

この記事の最終更新は2016年07月26日です。

スマートフォンやパソコンの使用時間が長時間化し「ブルーライトが目や体に悪影響を与えるのではないか」と懸念する声があがっています。ブルーライトが生体や視機能に与える具体的な影響については、現在のところ解明には至っていませんが、片頭痛を訴える人が増えているのは事実です。本記事では、「ブルーライトと頭痛」について現時点でわかっている事実と、何らかの症状が現れたときに受診すべき科について、国際医療福祉大学病院眼科教授の原直人先生にお伺いしました。

ブルーライトとは、目に見える光(可視光線)のうち、波長が380~500nm(ナノメートル)と最も短い光のことを指します。波長が短いために散乱しやすく、エネルギーが他の波長に比べ強いという特徴があることから、目の疲労をはじめとする人体への健康被害が危惧されています。具体的には、夜間にブルーライトを浴びることによる概日リズム障害や不眠症、黄斑変性症の発症リスクの上昇などが懸念されており、これらを総称して「ブルーライトハザード」と呼んでいます。

ブルーライトには警戒態勢や反応時間など、脳の認識機能を高める可能性があるとされ、“カフェイン以上に頭をすっきりとさせる作用がある”ともいわれています。実際に、就寝前にスマートフォンを操作し、頭が冴えて眠れなくなってしまったという経験をしたことがある方もいるでしょう。

平均年齢10.6歳の小児2,048例を対象とした研究では、携帯電子端末をそばに置いて寝ていた子どもは、そうでない子どもに比べ、1日あたりの睡眠時間が20.6分有意に短かったという結果が出ています。また、休息や睡眠が不十分だと感じている割合は、前者のほうが39%も多くなっています。

(参考文献:Falbe J:Sleep duration, restfulness, and screens in the sleep environment. Pediatrics 2015;135:e367-375)

ブルーライトと片頭痛の関係についても、研究を進めているところです。

先にも述べたように、LED普及率は年々上昇を続けています。オフィスの照明が蛍光灯からLED照明に変わった途端、頭痛発作が起こるようになったという患者さんが非常に多くいらっしゃいます。

片頭痛の病態はいまだ解明されていませんが、最も有力な仮説のひとつは、光刺激などをはじめとした“何らかの刺激”によって、頭蓋内の血管に炎症反応が起こるというものです。

光刺激が片頭痛を引き起こしているとされる科学的根拠も報告されてきています。ご自身が片頭痛持ちであるという自覚がある方で、ブルーライトを発するデジタルデバイスを扱う作業中に疲労を感じたときには休息をとることをおすすめします。また、頭痛専門外来を受診し、そこから眼科など、ご自身の症状に合わせた科を紹介してもらうのがよいでしょう。

受診について相談する
  • 国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科 教授

    原 直人 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が53件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「片頭痛」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    片頭痛

    Icon unfold more