子どもが病気のとき以外でも頭痛を訴えることはありませんか。大人だけでなく、子どもでも片頭痛や緊張型頭痛を持っている場合があります。今回は東京医科大学病院の山中岳先生に、子どもの頭痛の種類と対処法についてお伺いいたしました。
子どもの頭痛は大人と同じように一次性頭痛と二次性頭痛の2種類に大別されます。一次性頭痛は「原因となる病気がない頭痛」であり、子どもの一次性頭痛のほとんどは片頭痛と緊張型頭痛です。二次性頭痛はウイルス性の病気(感冒)や中枢神経の病気など「原因となる病気がある頭痛」です。
一次性頭痛でも片頭痛や緊張型頭痛により対処法が異なります。
片頭痛や緊張型頭痛は一次性頭痛の代表的なものですが、それぞれの頭痛には異なる特徴があります。以下では片頭痛と緊張型頭痛の特徴について解説します。
片頭痛とは、頭の片側が痛むことから片頭痛という名称がつけられています。しかし、実際には子どもや大人でも、頭の両側が痛むことがあり、子どもではむしろ両側をいたがることが多いといわれています。
片頭痛の主な特徴はズキズキとした痛みや、脈打つような痛みです。とても痛くて、その痛み方を言葉にできない子もいます。
子どもは頭の両側やおでこ、頭のてっぺんなど、痛む場所はさまざまです。
一方で片頭痛では、後頭部が痛むことは多くはありません。後述する緊張型頭痛では後頭部が痛むことがあります。
片頭痛では痛み以外にもいくつかの症状がみられます。
<片頭痛の際にみられる症状>
動作によって痛みが悪化するのは、たとえば階段の上り下りなどの運動だけではなく、ちょっとしたお辞儀のような動作だけでも頭痛が悪化します。光や音への過敏性は子ども自身ではわかっていないことが多く、片頭痛の対処法にも関わってくるので注意が必要です。
片頭痛を持っている子のなかには頭痛が起こる前に、何かしらの症状を訴えることがあります。前兆といい、頭痛が来るサインとなります。
片頭痛の前兆は主に下記の症状がみられます。
<片頭痛の前兆>
ほとんどの前兆はキラキラした光がみえるなどの視覚症状ですが、片頭痛の子供たち全員にみられるわけではありません。
緊張型頭痛の主な特徴は、締め付けられるような痛みや、ずーんとした重い痛みで、子どもたちはなんとなく痛いと表現することもあります。
痛む部位は、頭の後ろや肩、首など様々で、頭全体が痛いと訴える子もいます。
緊張型頭痛に伴ってあらわれる症状はいくつかあります。
首や肩のこりや、吐き気です。吐き気は片頭痛のときに感じるものと比べると軽いものが多く、強い吐き気は伴いません。
一般的に子どもの頭痛は早く治まることがほとんどといわれています。大人の場合とは異なり、子どもの片頭痛では短い時間で痛みが治まることが多く、長くても半日程度で収まります。
一方で、緊張型頭痛では痛みの程度は軽いものの長く痛むことがあり、毎日のように痛みを訴えることもあります。
大人ばかりではなく、子どもの頭痛の原因にもストレスが関係しているといわれています。人間関係や受験、試験勉強など、頭痛の誘因となるストレスの種類はさまざまです。生活習慣、特に睡眠が頭痛と深く関わっています。寝不足でも寝すぎでもよくなく、お子さんにあった睡眠時間を毎日守ることは大切です。
緊張型頭痛ではパソコンやゲームなどを長時間することによって、同じ姿勢を長く保つことにより血流が悪くなり、首や肩が緊張状態となって緊張型頭痛を引き起こすこともあります。
熱がない場合には片頭痛や緊張型頭痛が考えられます。また、発熱していなくても、片頭痛では嘔吐や吐き気を伴うことがあります。
頭痛のほかに発熱を伴っている際にはインフルエンザや、かぜなどの感染症が考えられます。嘔吐などもみられるときには髄膜炎などの可能性もあり、医療機関の受診を検討しましょう。
副鼻腔炎(ふくびくうえん)*やアレルギー性鼻炎などが考えられます。鼻をかんだり、触することにより、出血することがあります。非常にまれですが、高血圧により頭痛と鼻血を来すこともあります。
副鼻腔炎とは、急性の場合では副鼻腔に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こしている状態。慢性では副鼻腔の炎症によって溜まった膿が排出できず、炎症をさらに悪化させ膿が排出できなくなる
二次性頭痛とは何かしらの病気が原因で引き起こされる頭痛をさします。子供の二次性頭痛を引き起こす病気の多くはウイルス性の感冒などです。しかし、なかには脳腫瘍など中枢神経の病気やホルモンの異常などが隠れていることがあります。
<二次性頭痛の原因>
など
上記は頭痛を引き起こすことがある病気の一例です。
脳脊髄液減少症とは、事故やスポーツなどの外傷が原因で、脳脊髄液が漏れ出てしまう病気
頭痛の対処法は、片頭痛と緊張型頭痛によって異なります。たとえば片頭痛の子に緊張型頭痛のように対処すると痛みが悪化することがあります。以下の項目では、片頭痛と緊張型頭痛の対処法について解説します。
片頭痛の際は早めに痛み止めを飲ませ、ゆっくり休ませるようにしましょう。
感覚が過敏な状態だと光や音、においなどを痛みとして認識してしまう子もいます。そのため、なるべく外からの刺激が少なく、静かで薄暗い場所で過ごせるように環境を整えていくとよいでしょう。
緊張型頭痛の場合、体を動かすことで痛みが緩和され、痛み止めを使用しなくてもよくなるケースが多いです。可能であれば運動や入浴をさせることで頭痛をやわらげ、痛み止めに頼る回数を減らしましょう。
片頭痛や緊張型頭痛の対処をしても頭痛が治らない場合には二次性頭痛やその他の頭痛であることが考えられます。病院への受診を検討してください。
頭痛は片頭痛か緊張型頭痛によって冷やすかあたためるか異なります。
片頭痛では冷やすことで症状が和らぐことがあります。一方で片頭痛の場合にあたためると、痛みが悪化してしまいます。
緊張型頭痛ではあたためることで症状がよくなることが多いですが、冷やすことで悪化することはありません。
子どもの緊張型頭痛では、体育の授業を受けることも可能です。むしろ運動することで症状が緩和されることもあります。また、自宅にいるときにはお風呂に入ることで症状がよくなることもあります。
子どもの頭痛が片頭痛か緊張型頭痛かわからないときには、片頭痛の対処を行うようにしてください。緊張型頭痛の対処を片頭痛の子にしてしまうと、悪化してしまうことがあるためです。
頭痛が頻回にある場合や、頭痛に伴い、発熱などの症状があるときはお近くの病院や小児科をまず受診するとよいでしょう。
かかりつけ医と相談し、必要であれば大学病院への受診の手続きや頭痛外来などを紹介してもらうようにしましょう。
子どもの頭痛は、保護者や周りの大人のサポート理解が重要です。頭痛持ちの子だから仕方ないと放っておかれてしまうことで、子どもに精神的な負担がかかってしまい、ストレスがかかることでさらなる頭痛が悪化してしまうことがあります。
頭痛持ちの子だからと放置せず、頻回に頭痛が続く場合や、嘔吐や吐き気を伴うことが多いときには一度小児科に受診することを考えましょう。
保護者だけでなく、学校の先生の頭痛への理解も重要です。先生に片頭痛などの症状に理解があると、保健室での休養や、学校カウンセラー、学校医との連携も取りやすくなります。
自分の頭痛がいつ始まったのか、どのような痛みなのかを手帳やスマートフォンなどに記録してみるのもよいでしょう。自分の頭痛の頻度や、どういったときに頭痛がでるのか把握することで、頭痛がきたときに早く対処することが可能です。
東京医科大学病院 小児科学分野 准教授
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