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自分でできる緊張型頭痛の対策 ~改善するべき生活習慣や痛みが起きたときの対処法~

自分でできる緊張型頭痛の対策 ~改善するべき生活習慣や痛みが起きたときの対処法~
長山 成美 先生

福岡記念病院 脳神経内科部長

長山 成美 先生

目次
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頭痛には大きく分けて一次性頭痛と二次性頭痛があり、原因となるほかの病気がない頭痛を一次性頭痛といいます。一次性頭痛には緊張型頭痛片頭痛(へんずつう)群発頭痛などがあり、このうち緊張型頭痛はもっとも多く発生する頭痛です。頭から肩にかけての筋肉の凝りや精神的ストレスによって起こると考えられています。

緊張型頭痛の治療では医師の処方薬を用いることがありますが、自分で対策できる場合もあります。自分でできる緊張型頭痛の対処法には、どのようなものがあるのでしょうか。

緊張型頭痛は、主に姿勢の悪さや長時間の同じ姿勢(運転やデスクワークなど)、枕の高さが合わないことなどによって首や肩、頭の表面の筋肉が収縮して硬くなり、血流が悪くなることで起こると考えられています。また、精神的ストレスで緊張状態が続くことによって筋肉に力が入り続けたり、脳の痛みを調整する機能がうまくはたらかなくなったりすることで起こる場合もあるとされています。

緊張型頭痛の発症を防ぐためには、頭から肩にかけての筋肉が凝らないようにすること、精神的ストレスを解消することが大切です。

うつむき姿勢や前かがみの姿勢が続くと首や肩、頭の表面の筋肉が凝り、頭痛の原因になります。うつむき姿勢や前かがみの姿勢に心当たりがある場合は、頭に本を載せて落ちないような姿勢を練習するなどして、姿勢の矯正に取り組んでみましょう。また、枕が合わないことも頭痛の原因となるため、枕の見直しも大切です。

デスクワークや運転をするときなどには長時間同じ姿勢をとりがちです。適宜休憩をとりながら作業や仕事を行いましょう。また、休憩のときには肩周囲や上半身を動かすなどして筋肉の凝りを防ぐようにしましょう。

携帯やパソコン、ゲームなどの画面を見続けると目が疲れ、頭痛の原因になります。使い過ぎに注意し、仕事でパソコンをよく使う場合には適宜休憩をはさんで遠くを見たり、ホットタオルなどで目の周りを温めてみたりするのもよいでしょう。

精神的ストレスが緊張型頭痛の原因になることもあります。休日は趣味に時間を割いてリフレッシュする、一日の終わりに入浴やアロマテラピーでリラックスする、悩みごとを周りの人に相談するなど、自分に合った方法でストレス解消に取り組むようにしましょう。また、ストレスをためこまないこと、規則正しい生活を送ることも大切です。

日頃から予防に努めていても、頭痛が起きてしまうこともあるでしょう。そのようなときには、筋肉をほぐして血行をよくすることで症状の改善が期待できます。それでもよくならない場合は鎮痛剤を使用するのもよいでしょう。

運動やマッサージ、体操などを行うことは頭痛の予防にも効果的ですが、症状が出ているときにも有効です。特にマッサージや体操は仕事中などでも簡単にできるため、実践しやすいでしょう。全身の力を抜いてリラックスしたうえで、両方の肩を上げ下げする、首を左右に傾ける、首を左右に回転させる、手のひらで側頭部をマッサージする、首や肩をこぶしでたたくなどして、症状の軽減を図ってみましょう。

首や肩、頭を温めることも頭痛の改善に効果的です。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるなどして血行をよくしましょう。なお、緊張型頭痛では冷やすと悪化する場合があるため、首や肩、頭を冷やさないように注意が必要です。

緊張型頭痛に用いる鎮痛剤には、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム水和物などがあります。市販の鎮痛剤も有効なため、体操や入浴などをしてもよくならない場合は鎮痛剤を服用するのもよいでしょう。ただし、鎮痛剤を日常的に服用していると、薬物乱用頭痛(薬の使いすぎによって生じる頭痛)を引き起こす場合があります。そのため、1週間に2~3日以上の使用を避ける必要があります。

緊張型頭痛は自分で対処できることも多いですが、特に頻発している場合はなかなか自分で対処することが難しく、度重なる頭痛で日常生活に支障をきたしてしまいます。また、何らかの病気が背景にある可能性も考えられます。いずれにしても自分で対処できない場合や改善が見られない場合には、内科や脳神経内科、脳神経外科などを受診し、医師に相談したほうがよいでしょう。

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