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緊張型頭痛の処方薬にはどんな種類があるの? ~鎮痛剤、漢方薬などの使い分けや効果を解説~

緊張型頭痛の処方薬にはどんな種類があるの? ~鎮痛剤、漢方薬などの使い分けや効果を解説~
飯ヶ谷 美峰 先生

北里大学北里研究所病院 脳神経内科部長

飯ヶ谷 美峰 先生

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緊張型頭痛は生活習慣の見直しなどのセルフケアでよくなる場合もありますが、日常生活に支障が見られる場合は薬による治療を行います。特に、1年に12日以上、あるいは月に15日以上緊張型頭痛が起こる場合は医療機関で相談することが推奨されます。

医療機関で行う薬物療法には、症状があるときに行う“急性期治療(頓挫療法(とんざりょうほう))”と、発症を予防し頻度や程度を減らすための“予防治療”があり、頭痛の原因や患者さんの状態に応じて適切な薬が選択されます。

それでは、緊張型頭痛の治療で用いる処方薬にはどのようなものがあるのでしょうか。

緊張型頭痛の治療で用いる代表的な薬は鎮痛薬、筋弛緩薬(きんしかんやく)、抗うつ薬、抗不安薬です。場合によっては漢方薬で治療を行うこともあります。

ここでは、急性期治療と予防治療に分けて処方薬の種類を解説します。

緊張型頭痛の急性期治療薬は鎮痛薬です。たまに痛みが起こるだけなら、鎮痛薬の頓服で対応してよいでしょう。

鎮痛薬の種類

鎮痛薬は症状があるときの頓服治療として用いられる薬です。代表的な鎮痛薬として、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、メフェナム酸、ロキソプロフェンなどが挙げられます。妊娠中の場合は影響の少ないアセトアミノフェンを使用します。

ただし、鎮痛薬を飲みすぎていると“薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)”という新たな頭痛が起こることがあり、頭痛の頻度が増えることに加えて薬の効果も薄れて頭痛が悪化していきます。鎮痛薬の使用は多くても1週間に3日以内を目安としましょう。

また、市販鎮痛薬はカフェインを含んでいることが多く、鎮痛作用が強く即効性がある反面、依存性があるため注意が必要です。

緊張型頭痛の予防療法では、筋弛緩薬、抗うつ薬・抗不安薬や漢方薬が用いられます。

筋弛緩薬

筋弛緩薬とは、筋肉の緊張状態を緩和させる薬のことです。肩や首の筋肉の緊張が持続する場合の予防治療として用いられることがあります。主な筋弛緩薬にチザニジンやエペリゾンがあります。

抗うつ薬・抗不安薬

緊張型頭痛は、精神的ストレスによって痛みが起こりやすくなっていたり痛みを感じやすくなっていたりするため、予防治療として抗うつ薬や抗不安薬が処方されます。

緊張型頭痛に用いる抗うつ薬には、アミトリプチリン、クロミプラミン、マプロチリン、ミアンセリン、ミルタザピンなどがあり、特に三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンの予防治療効果が高く推奨されています。また、不安が強い場合はアルプラゾラムやエチゾラムなどの抗不安薬が処方されます。

漢方薬

漢方薬は緊張型頭痛の標準治療ではありませんが、漢方薬によって頭痛が緩和したとする報告が多くあります。

頭痛の緩和に対しては、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)桂枝人参湯(けいしにんじんとう)釣藤散(ちょうとうさん)葛根湯(かっこんとう)五苓散(ごれいさん)などが使われます。漢方薬は冷えやめまいの有無など、体質などを見極めて選択されます。

緊張型頭痛で用いる薬のうち、鎮痛薬と漢方薬は薬局やドラッグストアなどでも購入できるため、頭痛がひどい場合は一時的に使用してみるのもよいでしょう。

しかし、市販薬は手軽に手に入るゆえに漠然と使用してしまいがちで、鎮痛薬においては常用すると薬物乱用頭痛を引き起こす恐れがあります。また、漢方薬は安全な薬だと思いがちですが、薬である以上は薬効があると同時に副作用もあります。いずれにしても自己判断で市販薬を使い続けるのは避けたほうがよいでしょう。

緊張型頭痛の薬物療法以外の治療法には、頭痛体操、認知行動療法、バイオフィードバック療法、サプリメントなどがあります。この中で推奨されるのは、頭痛体操と認知行動療法としての“頭痛の記録”です。

頭痛体操は肩を回す運動を繰り返し、肩僧帽筋をストレッチして血行を抑止、頸や肩の凝りを緩和する運動です。また、“頭痛の記録”は頭痛ダイアリーなどを利用して“頭痛を見える化”し、自分の頭痛パターンを把握することで予防を考えやすくするものです。

緊張型頭痛に対しては鎮痛薬が効果的ですが、自己判断で鎮痛薬を使用し続けると薬物乱用頭痛を引き起こす恐れがあります。自己対処で改善しない場合は早めに総合診療科や脳神経内科、脳神経外科などを受診し適切な治療を行いましょう。

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