頭痛は、原因となる病気がない“一次性頭痛”と、病気が原因で起こる“二次性頭痛”の2つに大きく分けられます。
一次性頭痛には緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛があり、このうちもっとも多いのが緊張型頭痛です。年齢にかかわらず幅広い人にみられ、日本では2,000万人以上が緊張型頭痛を持っているといわれています。本記事では、緊張型頭痛が起こる原因を中心に解説します。
緊張型頭痛では、頭が締め付けられる、あるいは圧迫されるような痛みが後頭部を中心に首筋や側頭部にかけて生じます。このような頭痛は両側性であることが多く、だらだらと続くことが特徴です。
一般的に頭痛の程度はそれほど強くありません。首や肩の凝り、目の疲れ、めまい、体のだるさを伴うこともありますが、これらの症状によって日常生活に支障をきたすことがあっても、寝込んでしまうようなことは少ないとされています。
緊張型頭痛は、主に頭から肩にかけての筋肉の凝りと精神的ストレスによるものと考えられています。しかし、心身の病気が背景にある場合もあります。
長時間同じ姿勢をとる、姿勢が悪い、枕の高さが合わないなどで、首や肩の筋肉、頭蓋骨を覆う筋肉に負担がかかると、筋肉が緊張して血流が悪くなり、筋肉に疲労物質がたまります。
この疲労物質が神経を刺激することで頭痛が起こるとされています。また、携帯やパソコン、ゲームのしすぎによる目の疲れ、運動不足による筋力の低下も頭痛の原因となります。
精神的ストレスも頭痛に関係し、ストレスによって緊張状態が続くことで首や肩などの筋肉に力が入り続けたり、脳の痛みを調整する機能がうまくはたらかなくなったりして頭痛が起こるといわれています。
緊張型頭痛は原因となる病気がない一次性頭痛に属しますが、中には精神疾患の身体症状として頭痛が起こることもあります。
その多くはうつ病や気分変調症、パニック障害、不安障害、身体表現障害などです。このような精神疾患が背景にあると、緊張型頭痛が慢性化しやすいといわれています。
また、顎関節症があると首や肩などの筋肉の凝りを招き頭痛が起こる場合もあります。
緊張型頭痛の診断は問診が基本で、自覚症状をもとに片頭痛や群発頭痛との鑑別を行います。
しかし、脳の病気や副鼻腔炎などによって二次的に頭痛が起こる場合もあるため、このような病気を除外するためにCTやMRI、MRAなどの画像検査を行うことがあります。また、精神的ストレスの関連が疑われる人に対して心理検査を行う場合もあります。
緊張型頭痛の多くは首や肩、頭蓋骨を覆う筋肉の凝りによって起こるため、運動やストレッチ、体操などによって筋肉をほぐすことで頭痛が改善します。また、入浴などで筋肉を温めて血流をよくすることも効果的です。ストレスによって頭痛が起こる場合もあるため、ストレスをためないこと、ストレスを解消することも重要となります。
このような日常生活上の取り組みを行ってもなかなかよくならない場合には、主に薬を用いた薬物療法が行われます。薬物療法には、頭痛を改善する“頓服治療”と発症を防ぐ“予防治療”があります。頓服治療では鎮痛薬、予防治療として筋弛緩薬や抗うつ薬、抗不安薬などが用いられ、頭痛の原因や患者さんの状態に応じて処方されます。
そのほか、薬を用いない非薬物療法として、筋電図バイオフィードバック療法、頭痛体操、頸部指圧、鍼灸、認知行動療法、催眠療法などもあります。
緊張型頭痛は肩や首、頭蓋骨を覆う筋肉の凝りや、精神的ストレスによって起こりますが、体の病気や心の病気が背景にある場合もあり、原因の特定には検査が必要です。
緊張型頭痛と思われる症状があれば、原因を特定するため、頭痛を改善するためにも総合診療科、神経内科、脳神経外科などへの受診を検討してみましょう。
国際医療福祉大学三田病院 予防医学センター長/神経内科、国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター教授
国際医療福祉大学三田病院 予防医学センター長/神経内科、国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター教授
日本神経学会 神経内科専門医・指導医日本脳卒中学会 脳卒中専門医・脳卒中指導医・評議員日本頭痛学会 認定頭痛専門医・指導医日本内科学会 認定内科医・指導医日本医師会 認定産業医
日本医科大学を卒業後、スウェーデン王国ルンド大学実験脳研究所助教授、日本医科大学神経内科准教授、同大学多摩永山病院脳神経内科部長を経て、現在は国際医療福祉大学三田病院予防医学センター長・神経内科教授を務める。2017年4月よりは、成田の医学部にて医学教育統括センター教授を兼ねている。神経内科全般、特に脳卒中、頭痛を中心に長年第一線の診療、教育、研究に携わってきた脳神経分野のスペシャリスト。予防医学から現場の臨床へのスムーズな連携を目指している。また、日本脳卒中学会評議員を始めとして、日本頭痛学会評議員、日本脳ドック学会監事、日本神経治療学会理事、日本脳循環代謝学会幹事など、様々な学会においても幅広く精力的に活躍している。
桂 研一郎 先生の所属医療機関
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