インタビュー

繰り返す頭痛を痛み止めで抑える ―必要である場合と、必要ではない場合

繰り返す頭痛を痛み止めで抑える ―必要である場合と、必要ではない場合
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 ...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

この記事の最終更新は2015年11月01日です。

多くの人が、片頭痛をはじめ、繰り返す酷い頭痛に悩まされています。このような頭痛に対する治療は、予防することに焦点を当てた上で、慎重に行われるべきものです。どのように予防するか、どのように治療するかについて医師と相談しましょう。

  • 市販の痛み止めは用量を決めて使用しましょう。週に2日以上使用している場合は減量しましょう。
  • オピオイド鎮痛薬やバルビツール酸系薬は使用を控え、あくまで最終手段として用いましょう。

痛み止めを大量に使用するのは簡単ですが、大量使用により頭痛が悪化し、他の健康問題をも引き起こす可能性があります。何故でしょうか?

アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンは、使用頻度を抑えれば頭痛を和らげる効果を発揮します。

しかし、頻繁に使用しすぎると、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。珍しいケースですが、アセトアミノフェンを数日続けて服用した場合に、肝臓に障害が起こることもあります。これは、推奨されている用量を僅かにオーバーしただけで起こり得ます。

このほか、市販の痛み止めは腎障害を誘発する可能性もあります。また、アスピリンやイブプロフェンは、消化管出血を引き起こすこともあるのです。

痛み止めを服用し過ぎると、以前のように効かなくなることがあり、更に頻繁に頭痛が起こることがあります。これを「薬物乱用頭痛」と呼びます。以下の薬剤は、薬物乱用頭痛を引き起こす可能性が高いと考えられており、痛みに対してより過敏になってしまう場合があります。

バルビツール酸系薬剤(フェノバルビタール、フェニトインなどジェネリック薬品含む)

オピオイド系鎮痛薬

ヒドロコドン(日本国内未承認)

オキシコドン

カフェインを含む非処方薬

オピオイドやバルビツール酸を含む薬剤は、眠気を招く場合があります。また、長期的に服用すると、中毒や身体的依存性、薬物乱用頭痛を誘発する恐れがあります。

頭痛の治療に何年もかかってしまう人もいますが、そのような方は安全な薬剤を使用しても効果がなかった場合にのみ、依存性のある薬剤を使用するべきです。依存性のある薬剤を使用する必要が生じた際には、過量服用や依存をどのようにして避けられるのか、医師と話し合いましょう。

生活習慣の改善により、頭痛を予防できたり、頻度を抑えることができる場合があります。

  • ストレスを減らす、もしくはストレスの上手な対処法を身につける
  • アルコール摂取量を最小限にする
  • 睡眠を十分にとる

これらを実践しても尚、週に一度以上頭痛が起こる場合は、毎日の予防薬内服を考えましょう。

酷い片頭痛の痛みを止める場合に、多くの人に有効とされているのがトリプタン製剤と呼ばれる薬剤です。一般の処方薬と比較すると、この薬は副作用が少ない傾向にあります。FDA承認を受けたトリプタン製剤7種類のうち4種類は、スマトリプタンなどのジェネリック医薬品としても入手可能です。

頭痛を引き起こす可能性のあるもの―食べ物、飲み物、睡眠パターン等を記録しましょう。

例えば、色つきガラスで部屋の明るさを抑える等も考慮してみましょう。

女性で、月経の度に片頭痛が起こる場合は、痛みを和らげるために月経期前後の数日間、習慣的にイブプロフェンを用いてはどうかと医師に相談してみましょう。

  • アルコールを減らす
  • ストレスを減らす(バイオフィードバック、瞑想、リラックスする等)
  • 毎日6~8時間の睡眠をとるようにする。毎日同じ時間に就寝・起床する。ベッドでテレビを見たり、パソコンを使うのは避ける。睡眠中にいびきをかく場合、睡眠時無呼吸症候群があるかどうか、医師の診察を受ける。

効き目が証明されている薬を選択しましょう。

βブロッカーは、頭痛の第1選択薬として使用されることが多い薬です。費用を抑えられるうえ、長年の実績から安全が担保されています。例えば、プロプラノロールが代表的です。副作用として低血圧による倦怠感やふらつきが挙げられます。

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 学生メンバー・大阪医科大学 荘子万能 前田広太郎

監修:小林裕貴、徳田安春先生

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、東京科学大学 臨床教授、獨協大学 特任教授、琉球大学 客員教授、筑波大学 客員教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of Hospital General Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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