AED(エー・イー・ディー)は近年、駅や学校、スポーツジムなどさまざまな場所に設置されるようになりました。AEDは突然倒れた人に対して使うことにより、その人の命を救うことを可能性にする医療機器です。このAEDは医師や看護師など特別な資格をもった人だけが使えるわけではなく、誰でも使うことができるものです。日本循環器学会AED検討委員会委員長であり、現在国家公務員共済組合連合会立川病院で院長を務める三田村秀雄先生にAEDについてお話いただきました。
AED(エー・イー・ディー)とは「Automated External Defibrillator」の頭文字をとったもので、正式な日本語では「自動体外式除細動器」といいます。「心室細動」という、放っておくと死に至る不整脈に対して速やかに電気ショックを与えれば、その不整脈を止めて、心臓をきちんと正常なリズムに戻すことができます。
心室細動を治せるか否かには電気ショックを与えるまでの時間が非常に重要です。治療開始が数分違うだけで、救命の成否が大きく変わってしまいます。そのような背景からAEDを予め街中に配備しておく必要があり、今では公共施設やスタジアムなどさまざまな場所に設置されるようになりました。
このようにAEDは電気ショックによって、人の命を救うことを可能にする医療機器ではありますが、冒頭にも述べたように使用にあたって特別な資格は必要なく、誰でも使うことができます。よく誤解されているのが、AEDを使うには医師や看護師のように特別な免許がないといけないというものです。繰り返しになりますが、AEDを使用するにあたって資格は必要ありませんし、講習は受けていただきたいのはもちろんですが義務ではありません。
目の前でもし人が倒れていたら、自分が全くの素人であっても手を貸すことで救命が現実のものとなります。119番や心臓マッサージはもちろんですが、AEDを1秒でも早く現場に持ってきて使用することが大切です。救急隊を待つだけでなく、たとえ素人であろうと自分が動かなければ間に合いません。
AEDは電気ショックで治療をする器械です。でも決して難しい器械ではありません。実はAEDは「AEDの使い方を音声で教えてくれる」器械でもあるのです。一般の方はAEDを使うときには「間違えずに使わなければいけない」と考えてしまいがちです。しかし、AEDはボタンを押すべきかどうかを音声で教えてくれるだけでなく、もしその必要がないときに間違えてボタンを押してもショックがかららないようにできています。
つまり、効果のある心室細動以外では、ショックを与えないようになっているのです。間違えて使って状態を悪くしてしまうということはありません。「倒れてしまった人に使ってプラスにはなることはあってもマイナスにはならない」ようにできています。
AEDは誰でも使えるということについてお話してきました。AEDの前後には心臓マッサージも欠かせませんが、それについては是非、日赤や消防署などが開催している講習で習得していただくことをお勧めします。人工呼吸については自信がなければやらなくて構いません。その他、忘れてならないのは119番通報で、いざ119番をしなければいけないときのために心がけておきたいことが2点あります。
スピーカーフォンにすれば両手をフリーにすることができるので、救急センターと話をしながらでも心臓マッサージなどを続けることが可能になります。センターに教えてもらいながら蘇生術を行えばいいのです。
119番をする機会が、いつどこで訪れるかわかりません。慌ててしまいきちんと住所を伝えることができなかったり、今いる場所の住所が確認できないという場合もあります。そのような際に、GPS機能をオンにししていると、救急隊の方で場所をより正確に把握することができます。
今回、AEDのお話をしました。人の命を助けるために、医療従事者だけでなく一般の方ができることは多くあります。日本循環器学会や日本AED財団でも様々な情報を発信しています。
国家公務員共済組合連合会立川病院 顧問
三田村 秀雄 先生の所属医療機関
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