しんぱいきのうていし

心肺機能停止

同義語
心停止,心肺停止,心肺停止状態,CPA
最終更新日:
2023年02月27日
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2023/02/27
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概要

心肺機能停止とは、心臓の機能が停止した状態のことを指します。心臓は、全身に血液を送り出す“ポンプ機能”を果たす臓器です。そのため、心肺機能停止に至ると脳などの重要な臓器に血液が送られなくなるため、放置すれば命に関わります。

心肺機能停止に至る原因は多岐にわたりますが、成人の場合は心室細動などの不整脈窒息や重症肺炎などによる呼吸の停止・低酸素が多く、子どもは異物の誤飲・窒息や溺水による呼吸の停止・低酸素が原因となることが多いとされています。

心肺機能停止に至った場合は、死を回避するために迅速な胸骨圧迫(従来の心臓マッサージとして知られている応急処置)による“心肺蘇生”を行い、不整脈が原因の場合は自動体外式除細動器(AED)を用いて不整脈を止める処置を講じる必要があります。

原因

心肺機能停止とは、心臓の機能が停止する状態のことを指します。

心肺機能停止の原因は多岐にわたりますが、成人では急な病気によるものが多く、心室細動や完全房室ブロックなどの不整脈心筋梗塞(しんきんこうそく)心筋炎心臓弁膜症急性大動脈解離大動脈瘤破裂(だいどうみゃくりゅうはれつ)肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)などの心臓・大血管の病気、カリウムなどの電解質の異常、体温の異常(低体温症熱中症)、アナフィラキシーショックなどが挙げられます。また、呼吸が停止するか重篤な低酸素状態では心臓の機能も停止するため、重度の肺炎重症筋無力症などによる呼吸筋の麻痺、異物による気道の閉塞(へいそく)窒息)なども心肺機能停止の原因になります。

一方、子どもの心肺機能停止の原因は異物の誤飲・窒息や溺水などによる呼吸停止が多いのが特徴です。

症状

心肺機能停止は心臓の機能が停止した状態であるため、血液を全身に送り出すという本来のポンプ機能を果たせなくなり、脳などの重要な臓器に血液が送られなくなります。そして、血液中の酸素を受け取れなくなった臓器は重大なダメージを受けることになります。

心肺機能停止に至ると15秒以内に意識を失い、体を動かすことができなくなって呼びかけに反応しなくなります。また、呼吸停止に次いで生じる心肺機能停止を除き、心肺機能停止が生じると呼吸の異常が現れ、数分間はあえぐような“死戦期呼吸”と呼ばれる特徴的な浅い呼吸がみられ、その後呼吸停止に至ります。そのため、適切な応急処置をしなければ10分以内に重度の脳障害が生じ、仮にその後の処置で心臓が再度動き出しても意識が回復しなくなってしまいます。

検査・診断

心肺機能停止に至った場合は、原因を究明するために以下のような検査が行われます。しかし、心肺機能停止は応急処置が生存率を高めるうえで非常に重要となるため、検査を行うよりも前に治療が開始されることがほとんどです。

心電図検査

心肺機能停止の原因として多い心室細動や完全房室ブロックなどの致死的な不整脈心筋梗塞の有無を調べるためには心電図検査が必要になります。

血液検査

心肺機能停止は心筋梗塞、肺血栓塞栓症大動脈解離などの心血管疾患、高カリウム血症などの電解質異常、重症肺炎敗血症などの炎症を引き起こす病気が原因となることがあるため、全身の状態を評価するために血液検査を行うことがあります。

画像検査

心肺機能停止を引き起こし得る病気の有無を調べるため、X線、CT、超音波などを用いた画像検査を行うことがあります。

治療

心肺機能停止に至った場合は、脳などの重要な臓器が酸欠(低酸素)状態になってダメージを受ける前に適切な応急処置を行う必要があります。

具体的には、胸骨圧迫(心臓マッサージと同義)や不整脈をもとに戻す電気ショック、呼吸・酸素投与をサポートするための気管挿管などが一時的な処置として行われ、状況に応じてアドレナリンなどの薬剤投与が行われます。

そして、心臓の機能が回復した場合は、呼吸や体温の管理を行いながら心肺機能停止の原因の治療を行っていくこととなります。

応急処置

心肺機能停止に至った人に遭遇した場合は、“心肺蘇生法”と呼ばれる応急処置が必要です。心肺蘇生法は医療従事者でなくても行うことができます。

具体的な方法としては、呼びかけに応じず呼吸や体が動かないことが確認できたら、周囲の人に救急車の要請とAEDの取り寄せを依頼します。そして、みぞおちよりやや上にある胸骨の下半分ほどの位置(また、乳頭を結ぶ線の中間点)に両手を重ね、体重をかけて圧迫を繰り返します。この際、1分間に100~120回の圧迫が理想的とされています。

なお、AEDが到着したら、電源を入れ、音声指示に従って電極パットを胸に貼ります。その後は機械が自動で不整脈の有無を解析します。心室細動などの不整脈が検出された場合は電気ショックを行うように指示がありますので、指示に従って電気ショックを行います。電気ショックを行った場合でも、電気ショックの適応がなかった場合でも、すぐに胸骨圧迫を再開して、2分後のAEDの指示に従います。もし体の動きが出てきたら胸骨圧迫を止めて呼吸や意識を確認します。呼吸も意識もない場合は、救急隊が到着するまで胸骨圧迫とAEDの使用を継続します。

予防

心肺機能停止の原因は多岐にわたります。予防法のない病気や不慮の事故などが原因で引き起こされることもありますが、心疾患生活習慣病などの診断を受けた場合は適切な治療を行っていくことが心肺機能停止の予防につながります。

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  • 東北医科薬科大学病院 救急科 科長、東北医科薬科大学病院 救急センター センター長、東北医科薬科大学 メディカルトレーニングセンター センター長、東北医科薬科大学 救急・災害医療学 教授

    • 心肺機能停止
    • 急性呼吸窮迫症候群
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