概要
心肺機能停止とは、心臓の機能が停止した状態のことを指します。心臓は、全身に血液を送り出す“ポンプ機能”を果たす臓器です。そのため、心肺機能停止に至ると脳などの重要な臓器に血液が送られなくなるため、放置すれば命に関わります。
心肺機能停止に至る原因は多岐にわたりますが、成人の場合は心室細動などの不整脈、窒息や重症肺炎などによる呼吸の停止・低酸素が多く、子どもは異物の誤飲・窒息や溺水による呼吸の停止・低酸素が原因となることが多いとされています。
心肺機能停止に至った場合は、死を回避するために迅速な胸骨圧迫(従来の心臓マッサージとして知られている応急処置)による“心肺蘇生”を行い、不整脈が原因の場合は自動体外式除細動器(AED)を用いて不整脈を止める処置を講じる必要があります。
原因
心肺機能停止とは、心臓の機能が停止する状態のことを指します。
心肺機能停止の原因は多岐にわたりますが、成人では急な病気によるものが多く、心室細動や完全房室ブロックなどの不整脈、心筋梗塞、心筋炎、心臓弁膜症、急性大動脈解離、大動脈瘤破裂、肺血栓塞栓症などの心臓・大血管の病気、カリウムなどの電解質の異常、体温の異常(低体温症、熱中症)、アナフィラキシーショックなどが挙げられます。また、呼吸が停止するか重篤な低酸素状態では心臓の機能も停止するため、重度の肺炎や重症筋無力症などによる呼吸筋の麻痺、異物による気道の閉塞(窒息)なども心肺機能停止の原因になります。
一方、子どもの心肺機能停止の原因は異物の誤飲・窒息や溺水などによる呼吸停止が多いのが特徴です。
症状
心肺機能停止は心臓の機能が停止した状態であるため、血液を全身に送り出すという本来のポンプ機能を果たせなくなり、脳などの重要な臓器に血液が送られなくなります。そして、血液中の酸素を受け取れなくなった臓器は重大なダメージを受けることになります。
心肺機能停止に至ると15秒以内に意識を失い、体を動かすことができなくなって呼びかけに反応しなくなります。また、呼吸停止に次いで生じる心肺機能停止を除き、心肺機能停止が生じると呼吸の異常が現れ、数分間はあえぐような“死戦期呼吸”と呼ばれる特徴的な浅い呼吸がみられ、その後呼吸停止に至ります。そのため、適切な応急処置をしなければ10分以内に重度の脳障害が生じ、仮にその後の処置で心臓が再度動き出しても意識が回復しなくなってしまいます。
検査・診断
心肺機能停止に至った場合は、原因を究明するために以下のような検査が行われます。しかし、心肺機能停止は応急処置が生存率を高めるうえで非常に重要となるため、検査を行うよりも前に治療が開始されることがほとんどです。
心電図検査
心肺機能停止の原因として多い心室細動や完全房室ブロックなどの致死的な不整脈や心筋梗塞の有無を調べるためには心電図検査が必要になります。
血液検査
心肺機能停止は心筋梗塞、肺血栓塞栓症、大動脈解離などの心血管疾患、高カリウム血症などの電解質異常、重症肺炎・敗血症などの炎症を引き起こす病気が原因となることがあるため、全身の状態を評価するために血液検査を行うことがあります。
画像検査
心肺機能停止を引き起こし得る病気の有無を調べるため、X線、CT、超音波などを用いた画像検査を行うことがあります。
治療
心肺機能停止に至った場合は、脳などの重要な臓器が酸欠(低酸素)状態になってダメージを受ける前に適切な応急処置を行う必要があります。
具体的には、胸骨圧迫(心臓マッサージと同義)や不整脈をもとに戻す電気ショック、呼吸・酸素投与をサポートするための気管挿管などが一時的な処置として行われ、状況に応じてアドレナリンなどの薬剤投与が行われます。
そして、心臓の機能が回復した場合は、呼吸や体温の管理を行いながら心肺機能停止の原因の治療を行っていくこととなります。
応急処置
心肺機能停止に至った人に遭遇した場合は、“心肺蘇生法”と呼ばれる応急処置が必要です。心肺蘇生法は医療従事者でなくても行うことができます。
具体的な方法としては、呼びかけに応じず呼吸や体が動かないことが確認できたら、周囲の人に救急車の要請とAEDの取り寄せを依頼します。そして、みぞおちよりやや上にある胸骨の下半分ほどの位置(また、乳頭を結ぶ線の中間点)に両手を重ね、体重をかけて圧迫を繰り返します。この際、1分間に100~120回の圧迫が理想的とされています。
なお、AEDが到着したら、電源を入れ、音声指示に従って電極パットを胸に貼ります。その後は機械が自動で不整脈の有無を解析します。心室細動などの不整脈が検出された場合は電気ショックを行うように指示がありますので、指示に従って電気ショックを行います。電気ショックを行った場合でも、電気ショックの適応がなかった場合でも、すぐに胸骨圧迫を再開して、2分後のAEDの指示に従います。もし体の動きが出てきたら胸骨圧迫を止めて呼吸や意識を確認します。呼吸も意識もない場合は、救急隊が到着するまで胸骨圧迫とAEDの使用を継続します。
予防
心肺機能停止の原因は多岐にわたります。予防法のない病気や不慮の事故などが原因で引き起こされることもありますが、心疾患や生活習慣病などの診断を受けた場合は適切な治療を行っていくことが心肺機能停止の予防につながります。
医師の方へ
心肺機能停止の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。
「心肺機能停止」を登録すると、新着の情報をお知らせします
関連の医療相談が10件あります
ものを持ったまま胸やみぞおち当たりを軽く打ってしまいました
今日仕事中に小さめのダンボールを持ったまま動いていたのですが、途中壁にぶつかってしまい、ダンボールにみぞおちや胸あたりを打ってしまいだいぶ痛く少しの間止まってしまいました。歩ける程度の痛みです。 心配性な部分がありその後腹部外傷など頭に過ってしまいとても心配です。 色々調べたりしたのですが考えれば考えるほど胸が痛いかも……?息苦しいかも……?と考えすぎてしまいます。 これぐらいであれば腹部外傷や内臓破裂などの心配などはないでしょうか
続く腰痛について
夫についてです。 以前から日常的に腰痛があり、年に1〜2回程度ぎっくり腰になることもあります。 ここ1〜2ヵ月程、ずっと通常よりも酷く腰痛が続いているようです。 また、背中(肋骨の下辺り)を押すと痛いようで、内臓疾患等ではないか心配になり相談いたしました。 このような症状で受診したい場合、内科を受診でよいのでしょうか。 かかりつけの内科では、お腹等に不調があるとエコーで診てもらうことが可能です。 普段の腰痛に関しましては、整形外科の受診歴があり、鍼灸院等に通っていました。
83歳の母に胃や大腸内視鏡の検査は必要なのか
はじめまして。 2017年に、 整形外科に通っても調子がよくならず、内科で血液検査をしたところにCRPが22.1 そこで、リウマチ多発性筋痛症ではないかという事で、 ステロイドなどの投与をしながら治療を続け現在にいたります。 ステロイドの量も減ってきたところ、 2021年11月に膝の痛みがひどくなり、整形外科(別の病院)を受診したところ リウマチ多発性筋痛症から関節リウマチへ移行しているのでは という診断を受けました。 その後特に薬も変更せずに現在にいたります、 母の体重はその時から10キロほど減りましたが、体調の不調をうったえることはなくなりました。 ただ、今年にはいって かかりつけ医から 痛みを訴えない母に反して、CRPの値が6あり 他の病気がかくれているかもしれないから検査したほうがいいと 紹介状をもらい検査しました。 そして、まず血液検査を9月9日にしたところ、CRPは 1.9。 総合病院の医師からは、紹介状に かかりつけ医がステロイドのほかに、リウマチの薬を今後使うにあたって、 悪性腫瘍などがある場合、その薬は悪化させる可能性があるので、 全身の検査をしてほしいといった内容が書いてあると聞きました。 そのため、 近々、造影剤を使ったCT検査、そして胃の内視鏡を行います。 その時、大腸内視鏡も行うといわれましたが、 10キロもやせ、47キロの母に 大腸内視鏡検査が耐えられるのか不安で断りました。 現在は、膝や腰など痛みはあるものの 以前のような激痛もなく、食欲もあり過ごしています。 83歳の高齢の母に 胃の内視鏡などの検査が必要なのか? 現在調子がよいだけに、検査によって体調が悪くなってしまう事が心配です。 アドバイスがありましたら、よろしくお願いします。
奥歯の痛みについて
85歳になる祖母が今日の夕方頃から突然奥歯が痛み始め、噛んだら痛むので何も食べれないと言ってきました。調べたら放散痛というものがあると知り、放散痛の症状の1つに歯の痛みがあり、祖母は心臓の持病も抱えているのでとても心配になりました。祖母が定期受診している歯医者の予約は明後日で、もし痛みが続く場合や歯医者での診断で特に問題がなかった場合は放散痛の可能性を考慮して専門医に検査をしてもらった方がいいでしょうか?ちなみに祖母の心臓病は詳しい病名は分かりませんが、高血圧や不整脈に近いです。祖母は現在歯の痛み以外には肩こりがするみたいでそれ以外は特に身体の不調はありません。奥歯の痛みは何も噛まなければ特にずっと痛みが続く訳ではなさそうです。心配し過ぎかもしれませんが、わたしにも精神的な障害があり、祖母とはずっと一緒に住んでいるので、どうしてもネットで調べた情報で考え過ぎてしまうので医師の意見が聞きたいです。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。