病院には、内科、外科、耳鼻科、精神科などさまざまな診療科があります。現在の日本において、全ての診療科のうち眼科医を選ぶ医師の割合は約5%といわれます。つまり、20人に1人程度の医学生が眼科医の道に進んでいるということになります。また、高齢化社会を迎え、眼科を受診する患者さんの数は年々増えてきています。このような理由から、高齢の患者さんが多い眼科を希望する医師の数も増加傾向になっていると考えられます。
眼科医を志す場合は、病院の眼科医局に入局して専門的なトレーニングを積む必要があります。このとき“どの病院の医局に入ったらいいのか”と悩む方も多いでしょう。医局にはそれぞれのカラーがあり、自分に合った体制・環境・教育指針を持つ医局を見つけることで、専門医としての可能性をより広げることができます。今回は、女性医師の働きやすさや落ち着いて学べる環境を重視し、横浜市という大都会にありながらもどこか人の温かさや穏やかさが残る横浜市立大学の医局についてご紹介します。同大学医学部附属病院眼科 医局長/大学院准教授の西出忠之先生に、横浜市立大学眼科医局の特徴と労働環境・住環境についてお話しいただきました。
眼科医局には横浜市立大学出身の医師もいますが、他大学出身の医師も多数入局しています。現在の眼科医局では、5人のうち4人が他大学出身です。出身校による入局制限は一切行っておらず、横浜市立大学で研修を受けたことも入局審査の際の加点にはなりません。
卒業校や研修地区、入局時の年齢など、今の時代は個人差が多々あります。ですから入局のとき、つまりスタートラインでは、私たちはその方の出身校や経歴を公平に捉えます。この点が、横浜市立大学以外の先生から支持を得ている理由ともいえるでしょう。
その年によって差はありますが、年間平均6名程度がコンスタントに入局している状況です。このように年度に途切れなく入局者が続く大学は多くはありません。
男女比は年度によって差がありますが、平均すると半々になります。
横浜市立大学眼科医局は、女性医師の人生設計に即したさまざまな提案をしており、女性医師の働きやすさの推進において非常に先進的な科ということができます。
通常、横浜市立大学医学部附属病院に勤務する女性医師が産休・育休を取得する場合は、産前8週、産後7週しか取ることができません。しかし、眼科医局では有給などをフルに活用して産前、産後により長く休んでいただくことを推奨しています。
横浜市立大学眼科医局は単に休暇制度が充実しているだけではなく、医局員同士での公平感を保っていることも大きな特徴です。
たとえば1人の医師が休暇を取ると、その医師が休んでいる間は他の医師の仕事が少しずつ増えます。この場合は、休暇した医師が復帰した後に医師の当直を増やしたり、他の方ができない業務を追加で受け持つことで対応してもらいます。
このように労働と報酬のあるべき姿のバランスがうまく取れている点において、横浜市立大学眼科医局は女性医師だけでなく男性医師にも支持されているといえます。
横浜市立大学眼科医局には110名以上の医局員がいるので、常に必要医師数に5名程度の余裕を持った勤務体制を築くことができます。たとえば3名程度が一斉に休暇を取っても大きな問題はありませんし、仕事が多過ぎて休めないというようなことはなく、医師自身が自分の人生設計を立てやすくなります。実際に毎年度2名前後は産休・育休を取得しています。
医局は医師の共同体です。共同体は、男女比が均等なほうがお互いに協力しやすいため、より早く成長すると考えています。
私が医師として勤めてきたなかで感じるのは、職場環境が悪ければよい医療は提供できず、また単に優れた医師を集めただけでもよい病院はつくることができないということです。裏を返せば、優れた職場環境であれば、優れた病院に成長する可能性が高くなります。
横浜市立大学眼科医局の場合、男性優位だった共同体に女性が増えて、お互いに協力し合う好循環が生まれ、職場環境が改善しました。
横浜市立大学医学部附属病院は神奈川県横浜市金沢区にある病院です。ここで学ぶメリットは、“この地域が都会過ぎない”点からも述べることができます。
地方で生活してきた方の中には、“将来は東京で働きたいけれどあまりにも都会過ぎる環境は不安だ”という思いを持つ方もいるでしょう。
横浜というと都会をイメージする方が多いかもしれませんが、横浜には意外に田舎の雰囲気が強い地域もあります。金沢区はまさに、都会の利便性と田舎の心地よさを兼ね備えた地域ですから、地方出身の先生方も馴染みやすく、スムーズに働くことができると考えています。
また、住環境に恵まれた地区であると同時に、横浜市立大学周辺の地域は子育てもしやすい環境です。病院内には保育施設があり、スタッフはその施設に子どもを預けて仕事ができます。
とはいえ、やはり神奈川県は日本で第2位の人口を誇る大都市です。そのため、県庁所在地である横浜市をはじめ、中堅都市の藤沢市や横須賀市、さらには人口密度が低い市町村至るまで、県内の隅々まで関連病院を配置し、幅広く医療を届けることができる体制を取っています。
人事異動では、大学医局が医局員一人一人のニーズを聞いて、関連病院側の募集と本人の希望をうまくマッチングさせているので、思わぬ人事異動が起こり戸惑うということは基本的にありません。
医局の見学は随時受け付けています。見学希望者には自ら調べて問い合わせしてくださる方や、病院のホームページを見てお問い合わせをされる方などさまざまな方がいます。
見学の際は年齢の近い担当者と一緒に院内を回っていただき、気軽に相談したり、話を聞いてもらえたりできるような工夫を凝らしています。
これまで述べてきたように、横浜市立大学眼科医局は女性や地方出身の方にとって非常に研究・学習・臨床がしやすい環境にあるといえます。そのような方で関東の眼科医局に入局してみたいという思いがある場合は、ぜひ一度見学にいらしてください。
横浜市立大学眼科医局では、礼儀を重んじ、接遇能力に富む医師を特に求めます。
眼科の技術や知識は、入局後にいくらでも教えることができますし、そのための環境も整っています。ですから、入局時には本人が元々持っている人間性を重視したいと考えます。
朝、同僚に会ったら「おはようございます」と元気に挨拶し、仕事が終わったら「お疲れ様です」と言うことには、深い意味が込められていると思っています。そういったものをしっかりと持っていらっしゃる方が、私たちが一緒に働きたいと考える人物です。
横浜市立大学 大学院 医学部 医学研究科 眼科学教室 准教授
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