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「乳腺科医と形成外科医が再建の知識と技術を持ち連携がとれた乳房再建術」を重視した東京医科大学形成外科の取り組み

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  • 公開日:2016/12/01
  • 更新日:2017/01/11
「乳腺科医と形成外科医が再建の知識と技術を持ち連携がとれた乳房再建術」を重視した東京医科大学形成外科の取り組み

乳がんで乳房を失ったあと、胸のふくらみを取り戻す方法として「乳房再建」があります。「乳がん患者さんの増加」にともなって、従来の「自家組織による乳房再建術の保険適応」に加え「人工物による乳房再建術の保険適応」が加わりました。これらにより、乳房再建を希望される患者さんが増えています。乳房再建のニーズが高まるなか、患者さんがより満足できる治療が進められるよう、各病院で様々な取り組みが行われています。本記事では、東京医科大学病院 形成外科で乳房再建を専門に担当されている小宮貴子先生に乳房再建を行う上で重要視すべきこと、院内での取り組み、そして受診される患者さんへの想いを伺いました。

乳房再建を行う上で重要視すべきこと

重要なのは「乳房再建を専門にする形成外科医」が再建をすること

近年、従来の「自家組織による乳房再建」に加えて「人工物による乳房再建」が保険適応されたことを受け、多くの病院が乳房再建を開始しました。しかしながら、もちろん治療の質は一朝一夕には向上しません。

再建をしてもらったけどなんだか形が変…といい、修正を求め別の病院を受診される患者さんもいらっしゃいます。このようなケースを避けるためには、「乳房再建を専門にする形成外科医」が再建をしているのかどうか、を考慮することが大切です。専門性の高い医師であるかによって差が最も顕著に見られるのは「仕上がりの美しさ」です。例えば、医師が手術自体には慣れているものの、乳房再建を専門とする医師でない場合は、胸の形を美しく仕上げるための工夫を知らない、というケースもあります。胸は「見た目」に関わる大切な部位なので、より満足のいく形・大きさを目指すには「仕上がり」にこだわっている病院・医師に治療を受けることが大切でしょう。

胸のふくらみだけじゃない ―ニーズが高い「乳頭・乳輪」の再建

乳房再建は、乳房だけではなく「乳頭・乳輪」の再建も対象になります。また、乳頭・乳輪の再建にもいくつか種類があり、乳房のふくらみの再建とは違った技術が求められます。乳房の中でも乳頭・乳輪は、授乳といった機能がある部位でもあり、患者さんの思い入れが強い部位でもあるため、患者さんの年齢や背景によって適した方法を、よく話合い決定します。

【乳頭・乳輪再建の方法】

移植

健康な乳房の乳頭・乳輪の一部、もしくは足の付け根の皮膚を移植することで再建する方法

タトゥーと局所皮弁

タトゥー(刺青)で乳頭・乳輪の色を再現し、皮膚を立ち上げて乳頭を作る方法

図:東京医科大学病院 形成外科 乳房再建外来 ホームページより

当院では、胸のふくらみの再建だけでなく、乳頭・乳輪の再建にも力を入れています。なかでも「局所皮弁」を用いた乳頭形成は、健康な乳房にメスを入れないため、患者さんへの負担がより少ない方法です。このようなメリットがあるので、当院では「オリジナルのつぶれにくい」に特に力をいれています。

「とにかく連携する」ことで治療満足度を高めるー 乳腺科・形成外科のタイアップ

より安心できる治療、満足のゆく治療を進めるには、患者さんと一緒になって治療を考えてくれる病院・医師の存在が理想です。東京医科大学病院では乳腺科と形成外科が密に連携をとることで、より質の高い医療を提供することができます。「形成外科」で乳房をきれいに再建するためには、「乳腺科」で乳がんの手術を行う段階から調整を行うことが必要です。たとえば、「乳がんを確実に摘出できる場所を切開するが、そこは傷が目立ちにくい切開位置であること」「乳がんに近い部位の皮下脂肪はしっかり切除するが、乳がんから遠い部位の皮下脂肪の過剰切除はひかえてもらうことでふんわりした乳房にする」などで、こういった術式の工夫では乳腺科と形成外科で術前のやりとりが求められるケースもあります。

東京医科大学病院ではこのふたつの診療科が緊密な連携をとりながら、乳がん治療と乳房再建をしっかりサポートしています。

連携を深めるために、東京医科大学病院の形成外科と乳腺科は、月に1度のカンファレンス(話し合い)を行っています。このカンファレンスでは、手術の方法や工夫の検討、手術が完了した患者さんのアフターフォローなどを話し合います。2つの診療科の意見をすり合わせながら、どのタイミングで、何を行っていくのか、しっかりと連携しながら進めていきます。さらに週に一回、乳腺科・形成外科・病理・放射線科医師が集まり、各専門分野の視線で、患者に個別で最適な治療が行えるよう、検討しています。

私たちのモットーは「命を守りながら、より美しい乳房を取り戻す」ことです。「乳がんの治療」なので、がんの治療を最優先に考えた確実な切除は最も大切ですが、それと同時に、失ってしまった乳房を再び取り戻すことも、同じく重要な治療だと考えています。

 

小宮貴子先生

「もっと患者さんにきちんと向き合いたい」-東京医科大学病院の乳房再建外来の想い

昨年、形成外科・乳腺科の協力体制作りが軌道に乗り始めたことを受け、より積極的に患者さんへの情報提供を行えるよう東京医科大学病院では「乳房再建外来」を新設しました。
乳房再建外来では、形成外科専門医の資格をもち乳房再建を専門に担当する医師が、それぞれの患者さんの胸の形や生活スタイルにあわせ、再建方法をアドバイスしています。
まずは患者さん自身が希望する再建方法を伺いますが、必ずしもその方法が適切でない場合もあります。丁寧に診察を行ったうえで、患者さんに最適な方法を提案し、再建方法を一緒に考えて方針を決定します。乳房再建が決定すると、乳腺科と形成外科でカンファレンスを行い、より美しい乳房が取り戻せるよう、適応・術式・皮膚の切開位置・手術方法の工夫・術前術後の薬物治療や術後放射線照射と手術のタイミングなどを十分に検討します。このように個人個人の状態に合わせた「オーダーメイド」の治療と乳房再建を進めていくのです。
乳房再建を考えている、もしくは内容を知りたい方は一度、当院の乳房再建外来をお尋ねください。

«文:東京医科大学病院 形成外科 乳房再建外来 ホームページより≫

「安心して再建にのぞめる環境づくり」がモットー 小宮貴子先生の想い

乳房再建外来では「安心して再建にのぞめる環境づくり」にこだわっています。なかには乳がんの告知を受け、涙ながらに相談にいらっしゃる患者さんもいます。目に見える体表面のがん、特に乳房のがんだからこそ、がんそのものへの心配と、乳房を失う心配とで混乱してしまう患者さんも少なくありません。この外来では、様々な思いを抱えながら受診される患者さんの話をしっかりと受け止め、治療について納得がいくまで説明することで、「とにかく安心して再建にのぞんでいただく」ことを重要視しています。東京医科大学病院では、患者さんが困った際には、外来以外の時間でも相談にこたえられるようにしています。

私たちは、患者さんの立場に立ち、目の前の患者さんの不安を少しでも取り除けるよう、専門知識を伝え、個人に合った方法を提案しつつ、話し合いを重ねながら、納得のいく治療を一緒に考えていくように心がけています。

 

小宮 貴子

小宮 貴子先生

東京医科大学病院 形成外科

東京医科大学卒業後、乳房再建を専門に取り組む。乳房のふくらみの再建だけでなく乳頭・乳輪の再建にも力を入れている。「患者さんが安心して乳がん治療に引き続き再建できること」を理念に掲げ、診療では患者さんにとって丁寧でわかりやすい説明を重視している。

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