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院長インタビュー

阪神地域の急性期病院として-関西ろうさい病院の取り組み

阪神地域の急性期病院として-関西ろうさい病院の取り組み
林 紀夫 先生

関西ろうさい病院 院長

林 紀夫 先生

兵庫県尼崎市に位置する関西ろうさい病院は、労災疾患を中心とした労災病院から、急性期疾患を中心とした地域中核病院へと役割を変化させ、地域医療の中核として阪神地域を支えています。

今回は関西ろうさい病院院長の林紀夫先生に、現在の関西ろうさい病院の在り方や、治療の特色、地域医療の中での役割や今後の展望についてお話いただきました。

関西ろうさい病院は、労災疾病の治療を目的とした労災病院として1953年に誕生しました。労災疾病とは、業務中に起きる怪我や疾患、あるいは業務によって誘発される疾患のことです。現在も労災病院として労災疾病の予防・研究などを行なっていますが、近年は労災疾病そのものが以前より少なくなってきています。ですから現在の関西ろうさい病院は、労災疾病にこだわらず様々な疾患を治療する阪神地域の中核病院としての機能を果たしています。

労災疾病だケでなく様々な疾患を治療する病院という意味を込め、病院名も「関西労災病院」という表記だケでなく、「関西ろうさい病院」とひらがなで表すことがあります。

救急車

近年、関西ろうさい病院の役割は阪神圏域の急性期病院としての役割が98%を占めています。

実は、阪神地域で急性期疾患を扱っている病床数の多い病院は兵庫県医科大学・兵庫県立尼崎総合医療センター・そして関西ろうさい病院です。この3病院が協力して阪神地域の急性期医療を支えているため、当院には尼崎や西宮、宝塚、伊丹など、広範囲からかなりたくさんの救急車がやってきます。そうした理由もあり、当センターの救急チームはレベルが高く、どんな症状の患者さんでも受ケ入れられるよう、積極的に治療にあたっています。

関西ろうさい病院は特にがん治療・循環器疾患・整形外科の3つの治療分野に力を入れています。当院は入院ベッド数を640床持っていますが、入院されている方の多くがこの3つの疾患のいずれかです。

関西ろうさい病院は、国が認定している地域がん診療拠点病院としてほぼ全てのがんを網羅し治療しています。そのため、広範囲の病院から紹介を受ケ、受診する患者さんがいます。

がん治療の基本は、手術・化学治療・放射線治療といわれていますが、関西ろうさい病院はどの治療分野においてもエキスパートといえる医師が揃っています。

手術の中では内視鏡・腹腔鏡手術のレベルが高く、がんの中でも難治がんといわれる膵臓がんでさえ、場合によっては腹腔鏡で手術を行うことがあります。

また、放射線治療分野ではがん患者さんの受診増加に伴い、昨年X線放射線治療の最新装置であるIMRT対応のリニアックを2台体制にし、化学治療の規模も拡大しました。現在はどの治療方法もフル稼働でがん患者さんの治療にあたっています。

関西ろうさい病院では循環器内科、心臓外科などが受ケ持つ循環器疾患への検査・治療がひとつの強みになっています。中でもカテーテルによる治療(血管から細い管を入れて行う治療)を多く行なっており、心臓カテーテルのうち、閉塞性動脈疾患に対する血管形成術の症例数は日本でもトップクラスです。また同じく心臓カテーテルで、カテーテルアブレーションによる不整脈治療の症例数も日本でトップクラスです。

また前院長が脳外科の医師であったこともあり脳外科の技術も確かで、阪神地域で脳腫瘍の手術が行える病院は限られており、地域からも大いに必要とされています。

関西ろうさい病院は、労災疾病の治療に従事していた歴史があるため、整形外科の優秀な医師は多く、そのため今でも整形外科手術が多く行われています。

また立地的に甲子園球場が近いので、野球選手が治療に訪れることもあり、スポーツ整形の患者さんも多く受診します。

関西ろうさい病院は医師が162名、初期研修医が20名の計187名の医師で協力して病院を運営しています。レベルが高く、優秀な医師が揃っていることも当院の特徴の1つです。

 

関西ろうさい病院は大阪大学関連の病院の一つですので大阪大学の医局からの派遣医師も多いですが、初期研修から関西ろうさい病院で経験を積み、着実にキャリアを築き評価されている医師も多くいます。

実は、関西ろうさい病院は医学生が卒業してすぐに行う初期研修の場としても非常に人気があります。やる気のある医学生たちが希望して入ってくるので、どの研修医の先生もレベルが高く、将来が非常に楽しみです。この人気の理由は、初期研修医で様々なことを経験できるような研修制度が整っているからだと考えています。この研修制度の整備によって、研修医たちは1年も経つとかなり多くのことができるようになっています。一般的には希望する医師が少ないといわれる消化器外科でも当院では希望する研修医が多く、昨年は5人の研修医たちが入局しました。

関西ろうさい病院の医師たちの平均年齢は低く、若い先生方が活躍しています。部長職も40〜60代の若い医師ばかりで、私と副院長2人以外に60歳以上の医師はおりません。優秀な先生が多いため定年前に様々なところから声がかかり、別のキャリアを歩む方も多くいます。

関西ろうさい病院は地域病院との連携が進んでいます。現在他院や開業医からの紹介によって受診される患者さんは全体のうち80%近くで、当院で治療を終えた後の逆紹介にも力を入れています。

近年は紹介率が80%に近づき、ほとんどの患者さんが他院や開業医の先生からの紹介で受診しています。中でもがん治療に対する信頼が厚く、周辺病院で治療ができなかった患者さんたちが紹介されてきます。

また、関労クラブという組織を作り、地域の医療機関にこのクラブへの入会をお勧めしています。関労クラブは関西ろうさい病院の紹介や基本情報を伝えるだケでなく、研修会のお知らせなども掲載し、情報交換の場としてご活用いただいています。

関西ろうさい病院は急性期病院なので、「急性期」といって疾患の症状が急激に現れた方を中心に治療していますので、「慢性期」といって当院で治療後病状は比較的安定しているものの、長期的な看護・治療が必要な患者さんには、慢性期病院での治療を勧めています。

以前は急性期を乗り越え退院できる状態になったものの、自宅では生活できない患者さんを治療して頂く慢性期病院が少なく苦労することがありましたが、昨年あたりから慢性期病院との安定した協力関係を結ぶことができるようになりました。

関西ろうさい病院は、今受診を希望する患者さんが多く、地域に求められる病院になっています。入院者数も常に多くで、今年の1〜3月は入院希望の患者さんを一部お断りしなケればならないほどでした。

 

重症の患者さんが多いこともあり、看護師が活躍する場面も多く、看護師は定足数いるにもかかわらず、めまぐるしく働いている状態です。今後は看護師の人員をさらに増やし、看護師の負担を分散するとともに、患者さんによりよい医療を提供することが目標です。