院長インタビュー

東京都・北区の「花と森の東京病院」の取り組み−地域包括ケア実現に向け幅広い患者さんに対応する

東京都・北区の「花と森の東京病院」の取り組み−地域包括ケア実現に向け幅広い患者さんに対応する
猪口 正孝 先生

医療法人社団直和会 社会医療法人社団正志会 理事長

猪口 正孝 先生

この記事の最終更新は2017年05月17日です。

東京都・北区に位置する花と森の東京病院は、重症の患者さんから回復期の患者さんまで、多様な症状の患者さんを受け入れています。花と森の東京病院を運営する社会医療法人社団 正志会の猪口 正孝理事長は、「私たちの病院は、どんな患者さんでも対応する」とおっしゃいます。それは、優秀な医師がいることに加え、周辺の大学病院や地域との連携を密にしているという背景があるからです。

近年では、高齢者の増加とともに、地域包括ケアの実現に向けた取り組みもおこなっています。今回は、花と森の東京病院の取り組みから地域包括ケアの実現に向け東京都が抱える課題まで、同法人の猪口理事長にお話をお伺いしました。

私たちの病院は、もともと、主に重症の患者さんを診る高度急性期病院と地域をつなぐ病院として誕生しました。私たちの病院の近くには、日本医科大学付属病院があります。主に重症の患者さんを中心に診る同病院から患者さんを引き受け、地域にお返しすることが私たちの病院のひとつの大きな役割です。

外観のお写真

今後高齢化が進行する中で、国が進める地域全体で住民の健康を診る地域包括ケアは急務な課題となります。それは東京都においても例外ではありません。私たちは、この地域包括ケアを実現するための病院として役割を担っていきたいと考えています。そのため、私たちの病院では、高度急性期の患者さんから一般病床における回復期の患者さんまで幅広く受け入れています。また、治療に長期間を要する患者さんには地域包括ケア病床や回復期病床もあります。さらに、患者さんを地域にお返しするために訪問看護ステーションも設けており、退院後の在宅医療においても重要な役割を果たしています。

私たちの病院の医師は、非常に優秀な専門医が揃っています。そのため、患者さんは安心して治療を受けることができるのではないでしょうか。

私は花と森の東京病院の医師には、専門医としての能力に加え、今後はさらに総合診療医としての能力を持ってほしいと考えています。例えば、これからの医師には、専門が眼科であっても風邪の症状を的確に診断できるような力が必要になるのではないでしょうか。それは、高齢者は複合的な疾患を抱えることが多く、専門分野外の診療が必要になるからです。つまり、専門家であると同時に総合的に患者さんを診ることができるプライマリ・ケアに対応できることが今後は重要になっていきます。このため、私たちの病院では、総合診療医を病院全体で育てていきたいと考えています。

今後、全国的に高齢者は増加していきますが、東京では同時に核家族化が進行しています。核家族化は、老々介護や独居の高齢者の増加につながる重要な課題です。地域包括ケアにおいて医療は重要ですが、これらの課題は医療だけでは解決できません。介護との連携など、医療を超えた事業を作りだすことが今後は重要になります。高齢化が深刻化する2025年には、東京都で在宅医療が必要な患者さんは1日につき1日につき約14万人になり、今より5万人増えると言われています。在宅医療の実現のためには、医療と介護の連携など多職種の連携は避けては通れないでしょう。

リハビリルーム

リハビリテーションルーム

東京都は全都的に広く患者さんが移動すると言われています。それは、がんのように急がずにじっくりと専門医を選んで受診するような病気や治療に緊急を要さない慢性期の患者さんは、必ずしも地元の病院を選ぶとは限らないからです。また、治療に緊急を要する患者さんであっても自宅と離れた地域に搬送される場合もあります。そのため、東京都においては、地元のみならず全域に渡る医療連携が重要になるでしょう。

医療連携の1つの例として、私は主要な病院の電子カルテをお互いに確認することができるシステムが必要であると考えています。それは、東京の医療連携をスムーズにおこなうためには、情報を共有する必要があるからです。電子カルテのネットワーク化を実現することができれば、病院を移動したり退院した後も、適切な治療をスムーズにおこなうことが可能となるでしょう。

また、高齢になり寝たきりになると移動は困難になります。実は、東京には東京消防庁のほかに、病院が約60台の救急車を保有していると言われています。これらは通常は利用されることが少なく、有効活用できる貴重な医療資源であると私は思っています。例えば、これらの病院救急車を高齢者の搬送に使用し、地元の病院にお返しするために利用することができれば、地域包括ケアのための一助を担うと考えられます。高齢者が遠方の回復期病院に送られる例がありますが、それでは孤独な高齢者を増やしてしまいかねません。なるべくこれまで暮らしていた地域にお返しすることで、地域全体で高齢者を診る体制を作っていくことができるのではないでしょうか。

外来待合室

外来待合室

お話してきたように、今後高齢化が進行する中で、地域で患者さんを診る地域包括ケアを支える医療が重要になります。地域包括ケアとは、生活者を中心に置いた医療です。その領域は、疾患の治療のみならずヘルスケア全般に及び、生活者を支えるということを意味します。生活者の視点に立ち、生活を支える医療でありたいというのが私たち花と森の東京病院が持つ願いです。そのために、私たちは患者さんを選ぶことはありません。どなたにも来ていただきたいと思っていますし、今後も、どんな患者さんにも対応できる病院を目指していきます。

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