院長インタビュー

安全安心な医療の提供で患者さんを笑顔に 浜松医科大学附属病院の取り組み

安全安心な医療の提供で患者さんを笑顔に 浜松医科大学附属病院の取り組み
松山 幸弘 先生

浜松医科大学医学部附属病院 病院長、 浜松医科大学 整形外科学講座 教授

松山 幸弘 先生

この記事の最終更新は2017年09月19日です。

浜松医科大学附属病院は臨床を重要視しています。そのため、手術件数も非常に多く、2017年現在は、月50件のペースで増加しています。また、難しい症例の治療も積極的に行っているため、浜松医科大学医学部附属病院の高い技術を求め、静岡県以外から来られる患者さんも少なくありません。

今回は、浜松医科大学医学部附属病院病院長であり、整形外科学の教授も兼任されている松山幸弘先生に、安全で安心な医療を提供するためのスタッフ育成方針や現在行われている最新の研究、病院の理想についてお話いただきました。

浜松医学部附属病院 外観
浜松医科大学医学部附属病より提供

私が病院長に就任した際(2016年)、病院をよりよい体制にしていくために、副院長を4人体制に変更しました。4人にはそれぞれ、「運営・管理」「教育・研修」「リスクマネジメント」「患者サービス」を担当していただいています。4人の副院長が各々の役割を全うしながら力を合わせていくことで、1人では成し得ない強い推進力が生まれています。

浜松医科大学医学部附属病院では、患者さん第一の安心安全な医療の提供を何よりも大切にしています。そのために、スタッフの教育と高度で低侵襲な医療の提供に力を入れています。

浜松病院 スタッフのみなさん
浜松医科大学医学部附属病より提供

大学病院である浜松医科大学医学部附属病院は、医師の育成機関でもあります。患者さんに安全かつ安心していただける医療を提供できる、優秀な医師の育成を行っています。

私は院長であると共に、整形外科学の教授も兼任しているため、日々整形外科の先生方の教育にあたっています。整形外科学のポリシーとして、KKSKIというものがあります。そして、このポリシーは私自身も常に自問自答していることです。

・K 困難な症例を進んでおこなうべし

困難な症例ほど進んで治療に取り組むためには、十分な知識と技術、チャレンジ精神、そして、他者をいたわる優しさが必要になります。スタッフたちには、困難な症例に取り組むことで、そういった力を身に着けてもらいたいと考えています。

・K ことわるべからず

何事も依頼された仕事は引き受けるべきです。なぜなら、依頼者は自分の能力を信頼して頼んできているからです。そのため、患者さん、仲間同士、後輩や先輩など、頼まれた仕事は断ってはならないと教育しています。

・S 最後まで最善をつくせ

物事を途中で諦めることなく、貫徹することが大切だということです。いい加減にすませるのではなく、「自分がしてもらうならこのようにしてもらいたい」と思うような最高の出来上がりを目指して、努力を惜しまないことが重要です。

・K 感謝の気持ちを忘れるな

感謝の気持ちを忘れないということは、人生すべてにおいて通じることです。たとえどんな結果になろうとも、すべてに感謝の気持ちをもつべきなのです。そして、「ありがとう」の一言で人はお互いに明るくなれると私は考えています。

・I いつも笑顔と笑いを大切に

患者さんは常に痛みや悩みを抱えて来院してきます。診療する私たちが、しかめっ面をしていてはいけません。患者さんの顔をみずにパソコンばかりを操作することは言語道断です。患者さんの悩みや痛みに共感し、温かい笑顔と笑いで時間を共有すべきなのです。

KKSKIの教育方針のなかで学ぶ医師のいる浜松医科大学医学部附属病院整形外科は、最も安全で先進的な整形外科治療が受けられる医療機関であると私は感じています。

浜松病院 手術室
浜松医科大学医学部附属病より提供

患者さんに高度で低侵襲な医療を提供するために、近年、ダヴィンチのなかでも最新バージョンである、ダヴィンチXiを導入しました。ダヴィンチXiの導入により、さまざまな手術部分へより自由な角度からアプローチすることが可能となりました。胃切除術や胃がん手術、前立腺手術などさまざまな分野で活用されており、患者さんにとって極力負担のかからない治療を実現しています。

浜松医科大学医学部附属病院では、地域の医療機関との連携も大切にしています。そのため、周囲の病院とは常にコミュニケーションを取るようにしています。たとえば、1ヶ月に一度、浜松整形外科セミナーを開き、高名な先生をお呼びして勉強会を周囲の病院、開業医の先生方と行っています。いつも80名ほど参加しています。そういった活動のかいもあり、2017年現在、病院に来てくださる患者さんの9割が地域の医療機関からの紹介患者さんとなっています。

また、ある程度浜松医科大学医学部附属病院での治療が終了した患者さんは、逆紹介を行っています。病院内のベッドの循環を早くすることで、より多くの患者さんを受け入れることが可能となっています。

大学病院は診療だけではなく、研究を行う役割も担っています。そのため、浜松医科大学では、浜松ホトニクス*と、静岡大学、光産業創成大学院大学との共同研究で、浜松を光の先端都市にするという目標に向かって邁進しています。

浜松ホトニクス…光に関連する電子機器を、製造・販売している企業

2007年には、1991年に設立した光量子医学研究センターと、2007年に設立した分子イメージング先端研究センターを統合し、メディカルフォトニクス研究センターを発足しました。メディカルフォトニクス研究センターは、基盤光医学研究部門、応用光医学研究部門、生体光医学研究部門の3部門に分けられています。そして、光で医学に貢献するために、世界でも珍しい光を使った医学の研究を進めています。

(フォトン研究棟(光尖端医学教育研究センターフォトニクス医学研究部))  (提供:浜松医科大学医学部附属病)
フォトン研究棟(光尖端医学教育研究センターフォトニクス医学研究部)
浜松医科大学医学部附属病より提供
浜松病院 先生
浜松医科大学医学部附属病より提供

浜松医科大学医学部附属病院のスタッフは、常に明るく仕事をしています。職員が明るいことで患者さんも自然と笑顔にすることができるからです。私は病院長として、スタッフが常にモチベーションを高く保ち快活に仕事に臨める環境作りに努めています。

そして、病院を経営していくうえで、利益を最優先に考えてはいけません。損得で物事を考えるのではなく、患者さんを少しでもよくしたい、笑顔を取り戻してあげたいという情熱を持ち続ける病院でありたいと考えています。

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  • 浜松医科大学医学部附属病院 病院長、 浜松医科大学 整形外科学講座 教授

    松山 幸弘 先生

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