院長インタビュー

地域に親しまれる面倒見のいい病院を目指して-大和郡山病院の取り組み

地域に親しまれる面倒見のいい病院を目指して-大和郡山病院の取り組み
松村 正彦 先生

独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)大和郡山病院 院長

松村 正彦 先生

この記事の最終更新は2018年06月22日です。

大和郡山病院は、1946年に健康保険三輪病院として奈良県桜井市に開設されました。1961年に大和郡山市に移転、2014年には同年に設立された地域医療機能推進機構(JCHO)病院の一員となり、現在に至ります。

現在、大和郡山市には公的病院がないため、大和郡山病院は223床の規模ながら市民病院のような役割を担っています。同院で行っている取り組みについて、院長である松村 正彦先生にお話を伺いました。

大和郡山病院ご提供

大和郡山病院は、全国に57か所ある地域医療機能推進機構(JCHO)病院のひとつです。

JCHOの使命は、「地域医療、地域包括ケアの要として、超高齢社会における地域住民の多様なニーズに応え、地域住民の生活を支えます」というものです。同院もJCHO病院の一員として、その役割を全うできるよう努めています。

大和郡山市では、全国と同様に高齢化が進んでいます。地域を支えるため、17の診療科を備えて急性期から回復期医療、周産期医療、訪問看護と幅広く対応できる体制を整えています。

当院では、月に2~3件ほど助産師が中心となって進める院内助産を行っています。院内助産は、妊娠から出産まで自然な形でお産を進められるのが特徴です。

万が一問題が発生しても、そのときは医師が介入し、連携を取りながら、安全にお産が進むようサポートしています。

出産後、地域の保健師がご自宅に訪問する新生児訪問というシステムがあります。当院では、特にシングルマザーや10代の出産、母親自身が病気を抱えておられたり、高齢出産の方には、妊娠中から地域の保健師と連絡を取り合い、入院期間中に訪室してもらっています。

当院で一度顔を合わせていれば、その後も保健師がサポートしやすくなります。このシステムは市内で高く評価されており、地域医療への橋渡しのひとつとして、これからも継続していきたいと思っています。

国の指導のもと、全国で退院後の母親をケアする産後ケア事業が行われています。奈良県では2017年、奈良市でスタートしました。

産後ケア事業とは、母親の心身ケアをデイケアや一時的入院で対応するものであり、産後うつを予防する施策のひとつです。大和郡山市でも、2018年7月から開始予定で、当院が全面的にその役割を担っていく予定です。

産後ケア事業
大和郡山病院ご提供

当院は、伝統的に消化器がんの診療を強みとしています。特に内視鏡検査・治療の実績が豊富で、上部消化管で年間約2,600件、下部消化管で年間約1,400件を実施しています。

当院では健康管理センターを構え、年間約2万5,000名の健診を行っています(2017年時点)。当院で受診する一般的な検診や人間ドックのほか、企業の健診も担当し、現在は2台の健診バスが大和郡山市内外の企業に出張しています。

大和郡山病院ご提供

地域住民へ向けた取り組みとしては、年3回の広報誌の発行のほか、商店街で「まちの保健室」という取り組みを行っています。これは、商店街に来られた方の健康相談をお受けするもので、2か月に一度程度開催しています。

また、「JCHO健康教室」も2か月に一度、院内で開催しています。当院の看護師や検査技師などが、病気や健康についてお話をしています。この健康教室には、毎回20名ほどの方に参加していただいています。

大和郡山病院地域協議会の様子
「大和郡山病院地域協議会の様子」 大和郡山病院ご提供 

当院が目指している病院像は、一言でいえば「面倒見のいい病院」です。病気がよくなって退院するための支援はもちろんですが、退院後のことも見据えた支援ができる病院でありたいと考えています。

たとえば、骨折してしまっても若い方ならすぐに完治し、社会に戻れます。しかし、ご高齢の患者さんだと、それを機に介護サービスが必要になってしまう場合もあります。そのような方に対して、自宅や施設での生活が可能なところまでの道筋を整えて、退院後の医療へバトンタッチするのが、JCHO病院の役目だと思っています。当院は、その道筋をはっきり示せる病院を目指しています。

介護サービス:リハビリ室
大和郡山病院ご提供

急性期医療は、もちろん大切です。しかし、今後当院では人口動態など時代の変化も視野に入れて、在宅診療なども取り入れていこうと考えています。そのため、若手の医師には在宅診療の分野なども経験してもらえれば良いと思っています。

また、機会を見つけて地域のなかを歩いてみてほしいと思います。大和郡山の街の歴史は非常に古く、代々この地域に住んでおられる方も多いです。街の文化や風土を知ることは、患者さんの背景を知ることにもつながります。

当院は、大和郡山市における市民病院のような存在で親しまれてきました。今後も当院は地域のみなさまにとって身近な病院でありたいと思います。また、JCHO病院として地域に密着した医療を提供し続けたいと考えています。

地域のみなさまが、退院後も住み慣れた土地で暮らせるよう、細かなケアのできる「面倒見のいい病院」を目指してまいります。

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  • 独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)大和郡山病院 院長

    松村 正彦 先生

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