院長インタビュー

病院の総合力が最大のつよみ─仙台医療センター

病院の総合力が最大のつよみ─仙台医療センター
橋本 省 先生

国立病院機構仙台医療センター 院長、国立病院機構 理事(北海道東北グループ担当)

橋本 省 先生

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この記事の最終更新は2018年07月12日です。

1937年に仙台陸軍病院宮城野原分院として創設し、現在は国立病院機構仙台医療センターとして仙台市で医療提供に尽力しています。同院は、宮城県の基幹災害拠点病院に指定されており、災害発生時には宮城県の災害医療の拠点となります。同センターのつよみである総合力や、女性が働きやすい環境づくりに尽力している、独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター 院長 橋本省先生にお話を伺いました。

仙台医療センターは地域だけでなく、宮城県における中核病院のひとつとして地域医療や災害医療の提供に尽力しています。当院は開院時から外科診療を得意としており、2018年6月現在は内科を含む32診療科で日々の診療にあたっています。もともと得意だった外科、脳神経外科、産婦人科診療をさらに拡充させるとともに、内科診療も充実させることで、より病院の機能も充実させることができました。

また、内科診療を充実させたことにより病院としての総合力をさらに高めることができたと実感しています。病院の総合力を高めることで、さまざまな病気の治療に対応することが可能になり、今まで以上に地域や宮城県の医療を支えられるようになりました。

以下では、当院の災害医療やダヴィンチを使用した手術についてお話しいたします。

仙台医療センター外観(仙台医療センターよりご提供)
ドクターヘリ(仙台医療センターよりご提供)

1997年に宮城県の基幹災害拠点病院に指定されました。基幹災害拠点病院とは、災害が発生した際に救護活動などの拠点となる病院や医療センターのことです。そのため、災害発生時には当院が宮城県全域の災害医療の基幹施設として迅速な対応、処置を担っていかなくてはなりません。

特に、宮城県は2011年に発生した東日本大震災でも甚大な被害を受けました。東日本大震災のときも、当院が中心となって対応にあたりました。この災害では当院や同じく宮城県の医療を担う東北大学病院も多くのことを学びました。今後の大災害に備え、宮城県では広域防災拠点区域を改めて設定しています。その広域防災拠点区域のなかに、今後建設を予定している新病院が開院することが決まっています。

広域防災拠点区域に当院が位置することで、災害発生時にも迅速な医療提供ができると考えています。

東日本大震災─院内の様子(仙台医療センターよりご提供)
阪神淡路大震災を受け、毎年1月に開催している災害医療研修の様子(仙台医療センターよりご提供)

当院では2013年に手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)」を導入しました。泌尿器科では、ロボット支援下での低侵襲手術を積極的に行っており、2018年1月には300症例以上のダヴィンチ手術を行っています。また、当院では先進医療的な扱いとして胃がん大腸がんの治療でも患者さんの同意のもとダヴィンチでの手術を実施してきました。2018年4月には胃がんや大腸がんなどがダヴィンチ手術での保険適用もされるようになり、ダヴィンチでの手術の幅が広がりました。

ダヴィンチを使用した手術を行うための、推奨トレーニングが関連学会によって義務化されています。推奨トレーニングには、ダヴィンチの製造販売元が認定している施設での見学をする必要があります。

当院の泌尿器科はダヴィンチの製造販売元から「ダヴィンチサージカルシステム泌尿器科症例見学施設」として認定を受けています。2013年のダヴィンチ導入より多くの手術をこなしてきた当院だからこそ認定されたものだと考えています。南東北(宮城県・山形県・福島県)エリアでのダヴィンチ手術発展に貢献していきたいと思います。

地域の開業医や病院との連携では、地域医療連携室がさまざまなことを考え、地域からご紹介いただいた患者さんがスムーズに当院での治療を受けていただけるように工夫しています。

たとえば、地域の先生方にはご紹介いただける患者さんがいる旨をファックスしていただければ、当院が直接患者さんとやり取りし患者さんの都合がよい日に来院していただいています。また、ご紹介いただいた患者さんの情報は紹介元医療機関に報告し、患者さんの情報を共有しています。

地域のみなさまには、ぜひ自宅近くの医療機関でかかりつけ医を持ってほしいと思います。風邪などの病気はかかりつけ医で、かかりつけ医でも対応が難しい病気や病状に対しては当院で対応するように紹介してもらうことが大切だと考えています。

宮城県が定める広域防災拠点区域内に新設することが決まっている新病院では、女性が今まで以上に働きやすい病院づくりを目指しています。たとえば、新病院の近くには新たに保育所が開設することが決まっており、敷地内でも日当たりがよく春には桜も咲く場所です。広い園庭のある保育所で子どもを預けられ、病院と同じ敷地内にあるためお迎えもすぐに行けます。

また、現在の院内の設備では、管理部門を3階に設置しており、そのなかにはレディースゾーンがあります。レディースゾーンではたとえ院長でも男性は入室ができません。レディースゾーンでは、男性スタッフとは別に当直室を7部屋設置し、女性だけの当直室になっています。さらに、パウダールームやロッカールームも完備しており、女性だけのエリアでリラックスして日々の仕事に臨めることができると考えています。

レディースゾーンの廊下を隔てたところには、病児保育室や病後児保育室、搾乳室をつくっています。また、時短勤務や短時間正規雇用医師など早い段階から制度を整えており、女性スタッフに活用してもらっています。

女性に働きやすい環境を整えることで、ライフイベントで自分の思い描いたキャリアを途切れさせず、積み重ねていってほしいと思いレディースゾーンを設置しました。当院には女性医師も多く在籍しており、外科、救急科や脳神経外科、フライトドクターとして活躍しています。

若手医師には、自分で考えて目の前の患者さんを救える医師になってほしいと思います。若いうちには苦労することも多くあります。しかし、その経験も医師としての経験につながっていきます。当院は診療科の垣根が低く、若い医師でも判断に困った場合や悩んだときにはどの科でも診療科部長や医長にでも相談することができる環境です。先輩医師を頼りながら医師としての基本的なスキルと知識を身に付けていってください。

研修医トレーニングの様子(仙台医療センターよりご提供)
看護技術演習の様子(仙台医療センターよりご提供

当院は各診療科が患者さんにとって安心で安全な医療を提供することに努めており、さまざまな疾患の診療に対応することができる総合力の高い病院です。宮城県の基幹災害拠点病院でもあり、災害の際には行政機関と連携しながら災害医療に対応していきます。地域のみなさまには頼りにしていただけるような病院を目指し研鑽を重ねてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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