聖霊病院は愛知県名古屋市昭和区に位置する病院です。同院は二次救急に対応可能な、かかりつけ医として、地域の皆さんが気軽に受診できる病院を目指しています。近隣には、名古屋第二赤十字病院と2つの特定機能病院という高度な医療あるいは三次救急を提供する大規模病院があり、これらの病院の多くは病院周辺地域ばかりでなくより広範囲に居住する患者の受け入れを行っています。さらにこれらの大規模病院が軽症の急性期患者さんをも受け入れており、出口対策に奔走せざるを得ない現状があります。これらの大規模病院の入り口、出口両面をサポートできる病床機能をもつ病院が地域に必要だったと病院長の春原 晶代先生はおっしゃいます。開院から長い歴史の中で地域のニーズに合わせて変化していく同院について、春原先生にお話を伺いました。
当院は1945年に医師2名、シスター4名で開設された聖霊診療所を前身としています。戦後の動乱期に開設されたこともあり、当院は医療だけでなく生活支援などあらゆる面での支援を行ってきました。医療や生活支援をしていくなかで1947年に宗教法人聖霊病院として開院し、1953年には社会福祉法人聖霊会に組織変更しました。カトリックの教えに従い、モットーである“愛と奉仕”のもと、お産から緩和ケアまで多くの年代の皆さんの健康を守れるよう診療の充実に努めてきました。2005年から開始していた病院新改築は2009年にグランドオープンを迎え、今後地域に必要になる地域包括ケア病棟や緩和ケア病棟(ホスピス聖霊)の開設など、時代のニーズに合わせてさまざまな取り組みを行っています。
第二駐車場方面には、聖堂があり、院内とは別の雰囲気を味わうことができます。内部には、マリア像はもちろん、太陽の光を反射したステンドグラスが美しく輝いています。聖堂は病院への受診がなくても自由に開放していますので、お気軽に足を運んでみてください。
当院は開院時からお産に力を入れています。地域の皆さんの中には「お産をするなら聖霊病院」と言ってくださる方もいらっしゃいます。1987年に日本周産期・新生児医学会からNICU(Neonatal Intensive Care Unit:新生児集中治療室)の認可を受けました。NICUを開設したことで、早産児や低出生体重児などの対応も可能になり、周産期医療の充実につなげることができたと思います。
また、2014年には愛知県から地域周産期母子医療センターの認可を受けています。より高次の医療が必要な妊婦さんを受け入れる補完的役割を担うことによって、地域の妊婦さんが安心してお産できる環境づくりに努めてまいります。
当院は二次救急医療機関として、大腿骨近位部骨折や誤嚥性肺炎などの病気を発症しやすい比較的高齢の患者さんを受け入れています。
当院では、特に大腿骨近位部骨折の患者さんの診療に力を入れています。日頃から救急隊員と顔の見える関係をつくったり、当院へのホットラインを設置したりすることで、救急隊員との連携体制を整え、大腿骨近位部骨折が疑われる患者さんを速やかに搬送することができるようになりました。
当院の特徴は、患者さんを受け入れてから手術までの時間が早いことです。患者さんの痛みを少しでも早く取り除くことができるように、当日中にでも手術を実施するなど、迅速な対応を心がけています。
急性期を脱した患者さんの受け皿となるポストアキュートの機能を有する医療機関が地域に少なかったことから、当院は地域包括ケア病棟を開設しました。地域包括ケア病棟は、急性期治療が一段落したもののすぐに在宅復帰や施設への入所に不安が残る患者さんを受け入れ、在宅復帰に向けた診療やリハビリテーションなどを行う回復期病棟です。まだ急性期医療を必要とする患者さんには内科系一般病棟を使用するなど、患者さんの病気や病態、ステージに適合する病棟を選択できる体制を取っています。
当院は、ホスピス聖霊で緩和ケアを行っています。ホスピス聖霊では、「なかなか、入院させてもらえない」、「敷居が高い」などのご意見をいただいたことから、入院までのプロセスを見直し、紹介施設との連携強化と迅速な対応により地域の需要に応える努力をしています。当院は東海地区のカトリック施設の象徴として、多くのボランティアの方々と共に人生の最終段階をサポートしてまいります。
地域の皆さんには、当院を気軽に受診していただければと思います。敷居が高い病院と感じず、二次救急も受け入れているかかりつけ病院としてご利用ください。
当院は、お産や比較的軽症な急性期患者さんを対象に診療するだけでなく、地域包括ケア病棟や緩和ケア病棟といった病棟も備え、さまざまな入院患者さんを受け入れています。また、患者さんに対して外来での診療、入院治療、リハビリテーション、在宅復帰に向けた支援などを提供する、地域における医療の中継点(ハブ病院)として機能しています。
これからも、当院は地域多機能型ハブ病院を目指して尽力するとともに、医療機関と患者さん、そして患者さんとご自宅をつなぐ病院として地域医療に貢献してまいります。
若手医師の皆さんにとって、当院は専門性の高い医療を学ぶ場ではなく、患者さんを総合的に診療できる医師になるためのトレーニングの場であると思っています。医師になって10年ほどは、専門性の高い医療を学んで患者さんに提供することに多くの時間を費やすことになるでしょう。
しかし、専門性の高い医療を必要とする患者さんだけではなく、患者さんはさまざまな合併症や葛藤を抱えていることに気付くはずです。患者さんの社会的心理的背景を知り、臨床倫理を学ぶことは医師としての成長ばかりでなく地域医療の理解や後進の育成につなげることができるのだと思います。若手医師の皆さんは、日々の診療のなかで患者さんからさまざまなことを学んでいく姿勢を身につけていってください。
社会福祉法人聖霊会 聖霊病院 院長、名古屋市立大学 臨床教授
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