ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、人生の最終段階における医療・ケアの方針について、患者さんとご家族、医療従事者が事前に話し合うプロセスです。高齢化が進展し、人々の余命が延伸する日本において、ACPはその重要性を増しています。
慢性期医療の現場において、患者さんの尊厳ある生き方を実現するべくACPを実践されている池端幸彦先生に、その概要とポイントを伺いました。
*詳しくは、慢性期.comのページをご覧ください。
ACP(Advance Care Planning:アドバンス・ケア・プランニング)とは、万が一に備え、将来のケア(治療・療養)について、患者さん・ご家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセスを指します。慢性期医療の現場におけるACPの目的は、重篤な病気や慢性疾患をお持ちの患者さんに対して、患者さんの人生観や価値観、希望を、将来行うケアに反映させることです。
心身や環境の変化に応じて、患者さんの意思は変化しうるため、ACPは、健康状態や生活状況が変わるごとに、繰り返し行われるべきです。また、患者さん自ら意思決定ができなくなったときに備えて、本人に代わって意思決定を行う信頼できる人(人々)を選定しておくことも大切です。
基本的に、年齢だけを基準に治療を制限する必要はないと考えています。ACPにおいて、私たちは、患者さんのADL(日常生活動作)、生き方、希望を客観的に考慮し、専門家として、医療、介護、栄養、リハビリなどそれぞれの立場から、必要に応じてケアに関する提案や判断を行う役割があります。
患者さんが継続的な治療を希望する場合には、必要十分な治療を提供し、もとの生活に戻すことを目指します。治療を希望しない場合には、患者さんの意向に合わせたケアを行います。ただし、たとえ本人やご家族が望まなくとも、「治療を提供・継続すれば寛解・治癒が期待できる」と考えられる場合には、私たち医療従事者は専門家として介入し、治療の提供・継続の意義を十分に説明する役目があります。私たちは、ただの御用聞きになるのではなく、医療・ケアの専門家として、最善の方針をとるための情報提供や、ときにはそのコーディネートや舵取りを行う使命があるのです。
ACPでは、まずは患者さんとご家族、専門職が一堂に会し、現状と患者さんの意思を共有します。そして、どのようにケアをしていくのかを話し合い、方針を決定します。
一度方針を決めたら終わりではなく、患者さんの状況が変化するたびにACPを繰り返します。数回にわたりACPを行うなかで、自然と方針が見えてきたり、患者さんやご家族の不安が解消されたりします。このように、ACPは、患者さんの状況が変わるたびに繰り返す必要があり、また、そのプロセスそのものが大切なのです。
当院では、患者さんやご家族と繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思を尊重した医療およびケアを提供します。そして、人生の最終段階においても、患者さんの尊厳ある生き方を実現することに、職員一同力を尽くします。
池端病院 院長、医療法人池慶会 理事長
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