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「扁桃炎」の原因を医師が解説―人にうつるの?予防対策はあるの?

「扁桃炎」の原因を医師が解説―人にうつるの?予防対策はあるの?
村上 信五 先生

名古屋市立大学医学部付属 東部医療センター 特任教授・高次ウイルス感染症センター長

村上 信五 先生

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この記事の最終更新は2019年10月23日です。

 

扁桃炎は扁桃に炎症が生じている状態を指します。

一般的には、急性炎症を生じる急性扁桃炎と、その症状が長く続く(繰り返される)慢性扁桃炎があります。

どちらも、のどの痛みや発熱、倦怠感(けんたいかん)などの症状を伴うほか、食べ物や飲み物、場合によっては唾液まで飲み込めなくなるほどの強い痛みが現れることがあります。

日常でかかりうる病気ですが、その原因にはどのようなものがあるのでしょうか。また、人にうつることはあるのでしょうか。この記事では扁桃炎の原因や感染経路、予防対策などの疑問について医師がお答えします。

急性扁桃炎

急性扁桃炎の原因は溶連菌などの細菌やウイルスです。原因となるこのような病原菌は風邪や疲労、ストレスなどによる免疫力の低下によって増殖し、のどの乾燥や急激な気温の変化なども影響します。

子どもの急性扁桃炎で、発熱を伴うものはウイルス感染によるものが多く、とくに高熱になることもあります。

急性扁桃炎が繰り返される場合、慢性扁桃炎の1種である習慣性扁桃炎もしくは反復性扁桃炎といいます。このような習慣性扁桃炎は、1年に4回以上、2年に5~6回以上の頻度で繰り返されるものを指します。

炎症は深部まで達していることが多く、全身状態の変化によって炎症が広がることがあります。

発症のピークは、5~6歳前後であり、多くの事例で10歳までに改善しますが、成人まで病巣が残ることもあります。原因菌はA群β溶連菌やインフルエンザ菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌が多いと考えられています。

慢性扁桃炎

慢性扁桃炎には慢性単純性扁桃炎、習慣性扁桃炎、扁桃病巣感染症の3つが含まれます。

単純性扁桃炎は成人に発症することがほとんどであるという特徴があります。その原因としては急性扁桃炎から移行する場合と、喫煙や飲酒、刺激となる化学物質の吸入などによる持続的な刺激から引き起こされることが挙げられています。

扁桃炎の原因菌ではA群β溶連菌(溶血性連鎖球菌)、インフルエンザ菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌の4つが多く、いずれも感染します。感染の経路としては、くしゃみなどによって飛び散る飛沫感染と、手などで触れることによる接触感染があります。

原因菌のひとつであるアデノウイルスは非常に強い感染力をもち、プールの水も感染経路になります。子どもに多い夏風邪の原因のひとつとされており、扁桃の炎症、発熱に加えて、目の結膜の炎症(目やに、目の充血)が症状としてみられます。

扁桃炎の原因はウイルスもしくは細菌であり、原因がどちらであってもほかの人にうつる可能性があります。このため急性扁桃炎を患っている人だけでなく、周囲の方も感染予防のために手洗いやうがいを行うことが大切になります。

急性扁桃炎ウイルスもしくは細菌によって感染するため、予防では手洗い・うがいが大切になります。

外出から戻った際は、肌に細菌が付着している可能性があり、人が多い場所では飛沫感染などの危険性があるので注意が必要となります。そのため、手洗いとうがいを念入りに行うようにしましょう。

ウイルスや細菌が口や鼻から入ることを防ぐためには、マスクをすることも有効です。マスクはこのような感染の経路を断つ効果に加え、自身の手が鼻周辺に触れることを防ぐ効果も期待できます。

ウイルスのなかでも、インフルエンザウイルスは毎年冬に流行する傾向があります。このため、特に冬期の感染予防が大切です。

予防には、体の免疫力を高めておくことも大切であり、栄養バランスのよい食事と十分な睡眠をとること、体を動かすこと、ストレスをためないことなども重要です。

急性扁桃炎への早期対応が慢性扁桃炎の予防につながります。このような急性からの移行に加えて、慢性扁桃炎は化学物質などの刺激から起こることもあり、刺激物の吸引を少なくして室内の換気を十分に行うことが予防につながります。

扁桃炎の原因にはさまざまなものがあり、人にうつる可能性もあります。

日ごろから手洗い・うがいなどの予防対策をすることも大切です。

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  • 名古屋市立大学医学部付属 東部医療センター 特任教授・高次ウイルス感染症センター長

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