概要
扁桃炎とは、喉の奥にある扁桃と呼ばれる部位に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こす病気のことです。急性扁桃炎と慢性扁桃炎があり、慢性扁桃炎はさらに慢性単純性扁桃炎、習慣性扁桃炎、扁桃病巣感染症の3つに分けられます。扁桃炎の症状には、喉の痛みや違和感など喉に生じる症状と、高熱や倦怠感、食欲不振などの全身症状があり、症状の特徴は扁桃炎の種類によっても異なります。
扁桃炎はありふれた病気の1つで、子どもから大人まであらゆる年代で発症することがあります。一般的に扁桃炎と呼ぶと急性扁桃炎を指すことが多いです。発症頻度の傾向としては、急性扁桃炎は小児~青年期にかけてみられることが多く、慢性単純性扁桃炎は成人にみられることが多いです。急性扁桃炎を繰り返す習慣性扁桃炎は子どものほうが頻度は高いですが、大人になるまで繰り返す場合や大人になってから発症する場合もあります。
原因
急性扁桃炎は、喉の奥にある口蓋扁桃に細菌やウイルスが感染することによって起こります。原因菌にはレンサ球菌(A群β溶連菌)、ブドウ球菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌などがあり、EBウイルスや単純ヘルペスウイルスなどのウイルス感染で扁桃炎が起こることもあります。
慢性扁桃炎は種類によって発症の特徴が異なり、慢性単純性扁桃炎は急性扁桃炎から移行する場合と、喫煙や飲酒などの扁桃への刺激が原因となって起こる場合があります。習慣性扁桃炎は急性扁桃炎を繰り返す状態のことで、扁桃陰窩深部と呼ばれる部位に炎症巣ができることによって急性扁桃炎を繰り返すようになります。扁桃病巣感染症は扁桃が病巣となって腎臓や皮膚などの離れた部位に症状を引き起こす病気で、扁桃に感染した細菌が全身に回ることで発症します。
症状
扁桃炎の症状は扁桃炎の種類によっても異なりますが、主に喉の症状と全身症状があります。また、扁桃炎を病巣としてほかの臓器に病気を生じる扁桃病巣感染症は体のさまざまな臓器に二次的な病気を生じることがあります。
急性扁桃炎
喉の違和感から始まり、次第に激しい喉の痛みや嚥下痛(飲み込むときの痛み)を感じるようになります。また、高熱、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状がみられることもあります。
慢性扁桃炎
慢性単純性扁桃炎は喉の違和感や乾燥感、食べ物がしみるといった喉の症状や、微熱や全身倦怠感といった全身症状がみられることがあります。急性扁桃炎に比べると症状は穏やかです。
習慣性扁桃炎は急性扁桃炎を繰り返す扁桃炎で、症状は急性扁桃炎と同様です。
扁桃病巣感染症は、扁桃から離れた皮膚や腎臓などに器質的または機能的な異常を引き起こしますが、扁桃自体には症状がないか軽い症状であることがほとんどです。
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検査・診断
扁桃炎の診断は、扁桃の見た目をもとに行われることが多いです。扁桃が赤く腫れていることや、膿栓と呼ばれる膿の固まりがみられること、喉や全身の症状などが診断の参考となります。
また、症状の把握や類似する病気との鑑別のため、細菌検査、血清・血液学的検査、尿一般検査などが行われることもあります。
治療
扁桃炎の治療には薬物治療と外科治療があります。基本的には薬物治療が行われますが、慢性扁桃炎では外科治療が考慮されることがあります。
薬物治療
主に内服薬による治療が行われます。
扁桃炎の原因菌が細菌の場合は、抗菌薬による治療が行われます。また、痛みや発熱がある場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤などで症状を和らげる治療が行われることもあります。ウイルス性の場合は抗ウイルス薬では治療効果が低いため、症状を抑える対症療法が中心となります。
また、症状が重く食事や飲水ができない場合は、入院して点滴治療が行われることがあります。
外科治療
習慣性扁桃炎や扁桃病巣感染症では、症状を改善させるために扁桃を摘出する手術が行われます。手術は全身麻酔下で行い、1時間前後で終了します。
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