
扁桃炎は扁桃に炎症が生じている状態を指し、誰でもかかりうる病気です。一般的には、急性炎症が生じた状態を急性扁桃炎といい、その症状が長く続いたり、年に数回繰り返されたりすると慢性扁桃炎といわれます。
では、これらの症状にはどのような特徴があるのでしょうか。また、どのような場合に医療機関の受診を検討したほうがよいのでしょうか。
この記事では、扁桃炎の症状や受診目安などの疑問について医師がお答えします。
主にのどの痛みや発熱、倦怠感などの症状が現れるとされています。
急性扁桃炎の症状としては、扁桃の腫れに加え、多くの場合は発熱を伴います。原因となる病原菌の増殖は風邪や疲労、ストレスなどによる免疫力の低下が関連し、のどの乾燥や急激な気温の変化なども影響します。児童での急性扁桃炎で発熱を伴うものはウイルス感染によるものが多く、特に高熱になることがあります。
急性扁桃炎の初期症状は風邪と似ていることが多いため、悪化するまで気づかないことがほとんどです。38~40度近くの高熱を伴い、のどが痛み、扁桃が赤く腫れて食べ物や飲み物、さらには唾液まで飲み込めなくなるほどつらい症状を生じる場合もあります。
扁桃には白い斑点の膿が付着し、それが広がって全体が白く覆われます。そのほかの症状としては、高熱による頭痛や関節痛、悪寒、さらには首のリンパ節が腫れて耳まで痛くなることもあります。
慢性扁桃炎は、急性扁桃炎のような高熱や咽頭の痛み、物を飲み込む際の痛みは少なく、咽頭の違和感、乾燥する感じ、ヒリヒリ感、刺激物がしみるなどが主たる症状となります。
また、慢性扁桃炎は慢性単純性扁桃炎、習慣性扁桃炎、扁桃病巣感染症の3つが含まれます。単純性扁桃炎は成人に発症することがほとんどであるという特徴があります。急性扁桃炎から移行する場合と、喫煙や飲酒、刺激となる化学物質の吸入などによる持続的な刺激が原因となります。
急性扁桃炎は繰り返されることがあり、これは慢性扁桃炎の1種である習慣性扁桃炎、もしくは反復性扁桃炎といわれます。習慣性扁桃炎は1年に4回以上、2年に5~6回以上の頻度で繰り返されるものを指します。炎症は深部まで達していることが多く、全身状態の変化によって炎症が広がることがあります。発症のピークは、5~6歳前後であり、多くの症例で10歳までに改善しますが、成人まで病巣が残ることもあります。
高熱や呼吸苦があるときには病院の受診を検討しましょう。扁桃炎の原因菌のひとつである溶連菌は、その感染から急性糸球体腎炎や掌蹠膿疱症、心臓弁膜症を起こすリウマチ熱を引き起こす可能性があり、全身状態の変化があるときにも受診することが望ましいでしょう。
また、扁桃炎によって高熱が出ることがあり、そのために学校や会社を休むことが年間4~5回以上あるときや扁桃炎病巣が繰り返す感染の原因になっているときには、手術が検討されます。このようなときにも受診し、状態を確認するようにしましょう。
いずれの状態においても耳鼻咽喉科での対応が可能と考えられます。
扁桃炎の症状は、軽度から重度なものまでさまざまです。
気になる症状がある場合は、無理をせずに医療機関の受診を検討するようにしましょう。
名古屋市立大学医学部付属 東部医療センター 特任教授・高次ウイルス感染症センター長
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。
関連の医療相談が10件あります
喉に食べ物が残っている感じがする
ここ2.3日、食べ物を食べたあと、喉に残っている感じがします。水分をとるとスッキリします。食べ物が下りていく感覚があります。喉の奥に痰か鼻水のようなものが少し絡んでいるような感じもあります。このような状態の時に喉に食べ物が残ったままの感じになる気はします。喉のファイバーは耳鼻咽喉科で3月にして軽い上咽頭炎があるが治療しなくてもいいだろうとのこと。胃カメラは6月に検査して異常ありませんでした。何年か前にも同じような事があり耳鼻咽喉科を受診しましたがファイバーをして異常はなく、いつのまにか症状もなくなっていました。来月、舌の荒れで耳鼻咽喉科の定期受診があるので、その時に一緒に診てもらおうかと思うのですが、急いで受診する必要はあるのでしょうか?
バセドウ病でひどく疲れる
バセドウ病でメルカゾールが効きすぎてしまい、疲労感がひどいです。 過去に潜在性橋本病の診断あり、6年前と3年前に無痛性甲状腺炎になりました。 その後なんとか生活していましたが1年前にバセドウ病に。最初はヨウ化カリウム丸で治療。 9月に悪化して、メルカゾールに変更。 10mg→7.5mgとなりましたが仕事で半年近く残業が多かったせいか体調が悪く、10mgにしたところ今度は薬が効きすぎて先日から7.5mgになりました。 現在数値は tsh 12.8 、ft4 0.76です。 あまりにも体がだるいです。数値としてはひどくないのかもしれませんが、起きた瞬間から体が疲れていて、何をするのもしんどいです。 はじめて無痛性甲状腺炎になった際も体感としてとにかく疲れて動けず、数値が落ち着いてからも動けるようになるまで数ヶ月かかりました。 体質なので仕方ないのかと思いますが、どの程度で落ち着くのか、散歩だけでもした方が等なにかあれば教えていただけないでしょうか。 あまりの疲労感に参っています。 仕事は在宅でさせてもらっています。昨日会社に行きました(片道徒歩と電車で40分)が移動だけで疲れすぎて体調が悪く、30分程度で帰宅しました。 158cm46.5kgくらいだと調子がいいのですが、今は何もせず食事を同じようにとっていても44kgまで落ちています。 甲状腺の状態が悪いと精神面に影響があり、パニック障害まで行きませんが、電車や乗り物が苦手になったり、意味もなく息苦しくなったりするので、早く落ち着いてほしいなと思っています。 なにかありましたらぜひ教えてください。よろしくお願いいたします。
一月ほど前から喉の違和感が続いています。
一ヶ月半ほど前から、右側耳の下辺りに違和感があり、ゲップをすると小骨が刺さった様な違和感があります。 耳鼻咽喉科を受診し、逆流症の疑いありとのことで薬を処方されていますが、痛みは治らず、三日ほど前から、右側舌の付け根が痛み始め、声のかすれや痰が絡む症状が出ています。 咽頭がんや舌癌が不安なので、精密検査を受けたいのですが、どの病院に行けば良いのでしょうか?
味覚障害について
昨年2月に扁桃腺摘出手術を受けて以来、味覚障害が続いています。具体的には塩味がほとんど感じられません。手術を受けた病院でも原因がわかりませんでした。本格的に治療したいと思っていますが何かいい治療方法や治療方針、おすすめの病院などはありますでしょうか?ちなみに亜鉛は2ヶ月程毎日サプリを飲んでます。また糖尿病・高血圧とIgA腎症の治療で服薬しております。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「扁桃炎」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。