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「急性扁桃炎」の治療について医師が解説―治るまでの期間はどれくらいなの?どんな薬が使われるの?

「急性扁桃炎」の治療について医師が解説―治るまでの期間はどれくらいなの?どんな薬が使われるの?
白馬 伸洋 先生

帝京大学医学部附属溝口病院 耳鼻咽喉科 教授/科長

白馬 伸洋 先生

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この記事の最終更新は2019年10月25日です。

のどの奥にある免疫機能を持つ扁桃(へんとう)が、何らかの病原体に感染するなどして、急激に炎症を起こしている状態を急性扁桃炎と呼びます。この炎症は、のどの痛みや発熱などを引き起こします。重症化すると飲食できないほどのどが痛んだり、合併症を伴ったりする場合もあります。急性扁桃炎は、どのように治療するのでしょうか。本記事ではその方法について医師が解説します。

原因によって治療法が異なります。原因が細菌の感染であれば、症状の程度に応じて抗生物質の投与を検討し、ウイルスであれば基本的に自然治癒を待つ場合が多いです。

急性扁桃炎では、のどの痛み・物を飲み込む際にのどに痛みを感じる・発熱・倦怠感(けんたいかん)といった症状が見られます。軽度もしくはウイルス感染を強く疑う場合は、はじめにや熱さましなどを用いた対症療法を行います。この治療の効果がない場合や、細菌感染を疑う場合は、抗生物質などを使用します。うがい薬や、吸入薬などを併用することもあります。また、飲食がまったくできず、動けないほどつらい場合、入院して点滴で抗生物質を使用することもあります。

軽度の場合は、休養・安静・睡眠・栄養・水分補給などを心がけることで、自然に治っていくこともあります。しかし、3~5日程度経過しても改善が見られない場合や、悪化する場合には、医療機関への受診が必要です。

医療機関で抗生物質を処方された場合、自己判断で痛み止めなどを追加服用すると、飲み合わせが問題になることもあります。常用している薬があれば医師に報告してから抗生物質の処方を受ける必要がありますし、痛いときや熱が出たときにどのような薬を使ってよいかについても、医師や薬剤師に確認が必要です。

急性扁桃炎を合併しやすいインフルエンザでは、特定の解熱鎮痛剤の使用によって、特に子どもにおいて嘔吐、脱力、意識混濁、こん睡、てんかん発作から呼吸停止に至る脳に重篤な症状(急性脳症)が出るライ症候群のリスクが高くなることが分かっています。そのため、インフルエンザにかかっていて、扁桃に痛みが生じている場合であっても、自己判断で解熱剤・鎮痛剤を使用することは控えるなどの注意が必要です。

日常生活や飲食が困難で、熱が高い場合には入院することがあります。

扁桃炎が悪化すると、咽頭・扁桃周囲にが溜まり、膿がのど周辺からときには胸のほうまで広がっていく、扁桃周囲膿瘍という状態になることがあります。気道が狭くなったり、命にかかわったりすることもあるため、膿を抜く処置や扁桃を取る手術を行うための入院が必要となることがあります。また、急性扁桃炎を繰り返す場合、扁桃を取る手術をすることもあります。

何日で絶対治るということは言えませんが、5日程度おきに改善・悪化を判断し、改善していない場合は次の治療方針を立てていくことが多いです。また、溶連菌という細菌が原因の場合、薬は7~10日程度と長めに続けて飲むことがあります。

急性扁桃炎でつらい場合の飲食物としては、粘膜の刺激になるようなアルコール・たばこ・しみるもの・酸っぱいもの・からいもの・熱いものや、粘膜が傷つくような硬いもの(揚げ物、スナック菓子、硬いパンなど)は避ける、消化しにくい脂っこいものや食べ慣れないものは避ける、といったことが考えられます。本人の希望や体調に合わせて、のどごしがよいものを少しずつ食べるということになるでしょう。熱がある場合、水分がいつも以上に失われるため、こまめに水分摂取をすることが必要です。

熱を1日3回程度(朝・昼・晩)計測してグラフに記録しておき、そこに熱やのどの痛みの変化についても記録しておくと、医療機関を受診した際に参考になるでしょう。

ここまで急性扁桃炎にかかった際の治療方法や過ごし方についてお伝えしましたが、自己判断で薬の服用などをすることによって、重篤な副作用を引き起こしてしまう場合もあります。症状に応じて医療機関の受診を検討し、薬の服用などは医師の指示に従いましょう。

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