S414x320 50fc143b 7323 4d78 b379 744c82c51b5b

インタビュー

公開日 : 2016 年 03 月 14 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

段階的鼓室形成術と白馬先生の目標-関東でもクローズ法手術を広く受けられるように

帝京大学医学部附属溝口病院 耳鼻咽喉科 主任教授
白馬 伸洋先生

真珠腫性中耳炎の患者さんの外耳道を温存することができる手術「クローズ法」は、稀に2回にわけて行われることがあります。なぜ、段階を踏む必要があるのでしょうか。また、段階的鼓室形成術はどのような手順で行われるのでしょうか。帝京大学医学部附属溝口病院の白馬伸洋先生にお伺いしました。

真珠腫性中耳炎の手術中に行う3つのこと

真珠腫性中耳炎の手術の目的は3つあります。一つ目は真珠腫を遺残なくきれいに取り除くこと、二つ目は再形成が起こらないよう内陥した鼓膜と破壊された外耳道骨の補強を工夫すること、三つ目は音の聞こえをよくする工夫をすることです。

真珠腫は増大すると音を伝える耳小骨を破壊するため、摘出しただけでは聴こえ難さが改善されないこともあります。このような症例に対する手術では、真珠腫と一緒に摘出した耳小骨で破壊されていない部分を組み直したり、完全に耳小骨が破壊されていた場合は人工の耳小骨を用いて耳小骨の連鎖を再建します。

人工の耳小骨で耳小骨の連鎖を再建したクローズ法の症例
人工の耳小骨で耳小骨の連鎖を再建したクローズ法の症例

段階的鼓室形成術-手術を2回にわけることもある

通常は、前項で挙げた3つのステップを1度の手術で全て行います。しかし、クローズ法は外耳道を削らず耳の後ろの部分(乳突洞)のみを削開し、前(温存した外耳道)と後ろ(乳突洞を裂開した部分)から真珠腫を摘出する手術ですので、症例によっては内視鏡を使っても死角が生じてしまうことがあります。このような症例に対する手術を1回で終えてしまうと、真珠腫の取り残し(遺残)により数年後に再発してしまう可能性があります。そこで真珠腫の遺残が考えられた難しい症例に限り、真珠腫が完全に摘出されているかを確認するために、初回手術で真珠腫の摘出を行った後、半年から10カ月ほど期間をあけて、2回目の手術で真珠腫遺残の確認と耳小骨連鎖を行うという2回に分けた段階的鼓室形成術を行っています。私の場合、段階的鼓室形成術を行った症例は、全患者さんの1割程度いらっしゃいます。

真珠腫性中耳炎のページへ

関連記事