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総合内科医としての役割と働き方

総合内科医としての役割と働き方
神尾 学 先生

横須賀市立うわまち病院/総合内科科長

神尾 学 先生

目次
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2008年に内科専門医という名称が総合内科専門医(一般社団法人日本内科学会認定)に変更されてから11年が経ちました。「特定の臓器に偏った診療ではなく、患者さんを中心とした“全人的”な医療を実践する」という理念に基づき診療を行う総合内科は、高齢化の進む日本社会において、注目度の高い診療科のひとつです。

では、実際に現場で患者さんと向き合う総合内科医はどのような役割を担い、いかなるスキルを有しているのでしょうか。横須賀市立うわまち病院の総合内科で活躍する神尾 学先生に詳しいお話を伺いました。

当院は開院当初から少ない人数で患者さんを診ていた背景があり、「どんな病気でも診る」という意識が医師たちに根付いています。そのため、診療科の垣根が低く、横の連携が比較的とれている病院だと思います。内科系も開院当初は内科、循環器内科、消化器内科(外科兼任)のみでしたが、医師の人数が増えるにつれて消化器内科、呼吸器内科、腎臓内科、脳神経内科(外来)、糖尿病内科(外来)と専門科が設立されるようになり、その過程において総合内科も誕生しました。

歴史的な背景もあって、総合内科・呼吸器内科は一体として運営にあたっており、あわせて5名のスタッフ医師、2名の医師が顧問を勤め、後期研修医も2019年12月段階で2名所属しています。総合内科・呼吸器内科のスタッフ内に血液・リウマチ・呼吸器・消化器・救急の各々専門医がおり、質の高い医療を提供できるよう心がけています。

専門性を求められる総合病院においても、総合内科医はとても大切な仕事です。医療の進歩とともに診療の細分化がすすんでいく一方、高齢化が進み、複数の臓器に病気をもつ患者さんも増えています。総合内科医が包括的にマネージメントを行うことで、患者さんと各専門医間の連携をスムーズに行い、全人的な診療を提供しやすくなります。

また、急性期病院においては、救急患者を迅速に受け入れることが一つの使命でありますが、救急外来における物理的、人的資源は多くの病院で限られています。救急車を受け入れたものの、多臓器にわたる病気や、迅速な診断が困難な症例では、入院を担う科がなかなか決まらず、結果救急車の受け入れに影響を及ぼすことが現実的な問題としてあります。

そのような問題を解決するためにも、総合内科が窓口を広く担うことで、救急外来のスムーズな受け入れも可能となり、いわゆるたらいまわしを防ぐこともできるようになると考えています。

私の父は地方で働く内科医です。基本的にどのような症状の患者さんでも診る父を間近で見ていたことから、「内科医=なんでも診る」というイメージが心の中に根付いたのだと思います。そんな思いを抱えてはいましたが、自分は初期研修義務化前の世代であり、全身性疾患を扱うことも多い腎臓内科の講座に入局しました。

素晴らしい土壌のもと研鑽を積ませていただきましたが、大学病院から出向した病院が総合色の強い病院であったこともあり、専門性を極めていくよりもより総合的な医療に携わっていきたいとの思いが強くなりました。

その後は救急医療の現場に飛び込み、10年強働かせていただき、現在はその経験をふまえ総合内科医として勤務しています。総合内科医という仕事は決して目立ったポジションではありませんが、特に高齢化が進む現代において、有用性の高い役割だと自負しています。

“総合内科医”とひとくくりにしても、働く場所が診療所なのか病院なのか、都心なのか地方なのか、などとその環境によって担う役割は多種多様にわたります。全ての医師に通ずることかもしれませんが、共通点としては、「病を診ずして人を診る」というマインドを持っている点ですね。そのような信念で働いている総合内科医は多いと考えています。

現在、総合内科医として働くにあたり、救急医療現場での経験は大変役立っています。総合内科医でカバーする患者さんは、軽症から重症まで多岐にわたりますが、経験的に重症度を早期に判断できるようになり、また万が一重症化したとしても対応するだけのスキル、ノウハウは身につけているつもりです。むろん日々研鑽が必要ですし、きめ細かく診療を行い病状の悪化を防ぐことがなにより重要だと思っています。

現在当院で取り組んでいることの一つに「総合診療構想」というものがあります。我々のような急性期型の病院では、多様な疾患の方が時間を問わず来院されます。そのような患者さんを総合内科と救急部、集中治療部が三位一体となり、軽症重症問わず迅速に受け入れ、質の高い総合的な医療を提供できるようにしようという取り組みです。総合医が舵をとって専門医と密に連携をとり、患者さんにとってよりよい診療を行うことを目指しています。

総合内科医はあらゆる病気を診る必要がある特性上、高齢化が進行する今日においては地域医療への貢献も期待されています。未来の医療を考えるうえで、総合内科医として取り組みたい点を以下に挙げました。

先ほどお話した通り、総合内科医は高齢化社会において、ますます必要になる仕事です。そのため、総合内科医として働くうえでは介護の問題や、核家族化による高齢の方の一人暮らしなど、社会的な問題も考慮しないといけません。

たとえば、患者さんの「もしものときのための話し合い」を行うACP(アドバンス・ケア・プランニングの略称)というものがあります。これはすなわち厚生労働省が推し進めている「人生会議」で、患者さんとご家族が治療の方向性や療養方法について事前に話し合うヘルスケアプランのひとつです。健康であれば多くの人が気に留めることがない「もしものとき」は、いつどのタイミングでやってくるか分かりません。そのときに、患者さんがどのような治療を望み、何を望まないかを事前に知っておくこと。そうやって、あらかじめご家族や医師と価値観をすり合わせるのはとても大切なことだと思います。そのため、前もって自分の意思を話しておくことのできる「ACP」を、総合内科医として普及させていきたいです。

神奈川県横須賀市には「よこすかリンクパスポート」があります。これは、治療経過や介護状況などの情報を記載し、適切な医療と介護につなげるためのファイルです。このよこすかリンクパスポートは、かかりつけの医師と病院の医師、介護職員などの関係職種が見ることが可能です。「地域医療・介護連携の通行手形」として、今後ますます普及させたい取り組みです。

総合内科医を目指す医師へのメッセージ

当院では、総合内科医を目指す研修医の皆さんに内科専門研修プログラムを提供しています。地域医療振興協会(JADECOM)の他施設とも密に連携し、実践力のある未来志向型の総合内科医を養成するプログラムです。基礎から学ぶことができるため、安心して研修医の皆さんにもご参加いただけると思います。

総合内科は範囲が広い分、まだまだ未開拓な部分も多く、伸びしろのある分野です。

しかし、専門医と総合内科医を厳密に分ける必要は全くありません。目の前で困っている患者さんに手を尽くす、という医師として当たり前のことに取り組むと、必然と総合的になっていくからです。当然、総合マインドをもった専門科の先生もたくさんおられますが、軸足を専門と総合のどちらにおくかだけなのだと思います。患者さんに寄り添える優しさを持つ医師ならば、年齢、経験問わずそうなるのではないでしょうか。

それらを踏まえて、総合内科医として働くことに興味を持たれた方はお気軽にお声かけください。

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  • 横須賀市立うわまち病院総合内科 科長

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