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迷ったら総合内科へ。横須賀市立うわまち病院の総合内科のご紹介

迷ったら総合内科へ。横須賀市立うわまち病院の総合内科のご紹介
神尾 学 先生

横須賀市立うわまち病院 総合内科 部長 兼 総合診療科 部長

神尾 学 先生

目次
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私たちは普段、目に痛みがあれば眼科へ行き、皮膚に異常があれば皮膚科へ行きます。では、体がだるかったり食欲がなかったりする場合はどうすればよいのでしょうか。「どの診療科にかかればいいの?」と疑問が出たときに頼りになるのが、包括的に体を診る「総合診療」の存在です。

本記事では、横須賀市立うわまち病院 総合内科 部長 兼 総合診療科 部長の神尾 学(かみお まなぶ)先生に、総合内科ではどのような診察や治療を行っているのか、具体的な症例を踏まえてお話を伺いました。

最近はインターネットを使い、自分の症状を事前に調べ、ある程度病気を予測したうえで受診される方の割合が高くなったように感じます。しかし、「なんとなくだるい」「食欲がわかない」「微熱が続く」などの症状がある場合には、どの診療科を受診すればよいのか判断に迷うことがあるのではないでしょうか。

実際にそのような症状に悩み、かかりつけの医師から当院の総合内科へ紹介された患者さんも多くいらっしゃいます。「どの診療科にかかればいいのだろう」と少しでも迷うことがあれば、気軽に総合内科へお越しください。

総合内科の特徴は、来院される患者さんの多様性にあります。発熱、咳、腹痛、腰痛、手足のしびれ、食欲不振など、さまざまな症状の患者さんが、近隣医療機関からの紹介状を持って来院されます。もちろん直接来院される患者さんもおられます。多くの場合、単一の臓器だけでは説明のつきにくい漠然とした症状をお持ちです。

例えば、3週間以上続く、または3回以上の診察でも原因が不明の発熱を不明熱といいますが、一般的に以下のような様々な要因も考えられます。

感染症 ウイルス感染や細菌感染、真菌感染や結核、寄生虫感染など

膠原病 自己免疫の異常によって発熱や関節痛などをきたす疾患で、関節リウマチ全身性エリテマトーデスSLE)、血管炎など

腫瘍性疾患 血液腫瘍、胃潰瘍、肝腫瘍、腎腫瘍、乳房腫瘍など

その他 ホルモン異常、薬剤性、アレルギー性、環境因子、心因性など

このような場合、専門科で個別に評価を行っていくよりも、総合内科医が診療を行い、各々の症状や所見にフォーカスして診察・検査等を行い、そのうえで各専門科と連携して対応していくことは、患者医療側双方にとってメリットが大きいといえます。                

若年者では感染性疾患が多く、ご高齢になってくると、多臓器に問題を抱えている方が多く来院されます。疾患頻度の高い肺炎尿路感染症などはもちろん、総合内科で偶発的に専門性の高い疾患が見つかることも稀ではありません。また、特に検査などでは身体的な異常はないものの症状を呈する、身体症状症(身体表現性疾患)といわれる方もおられます。

当院総合内科ではリウマチ専門医を有する顧問、部長のもと、リウマチ性疾患の患者さんが多いのが特徴です。また総合内科と呼吸器内科は一体化して治療にあたっており、呼吸器系疾患の方も数多くおられます。他の内科系診療科(循環器、消化器、腎臓、脳神経内科)との垣根も低く、各科と協議しながら高い診療の質を維持できるよう心掛けています。

「肺炎」を患った患者さんを例に、診察・治療・退院後までの流れを説明していきましょう。まず、肺炎と一口に言っても「感染性」と「非感染性」の2つに分けられるのをご存知でしょうか。

総合内科を受診した患者さんが「感染性」肺炎にて入院となった場合、抗生物質などを使った治療後、およそ1〜2週間で退院が可能になることが一般的です。しかし、自己免疫の異常等で発生する非感染性肺炎(間質性肺炎等)の場合、呼吸器内科グループによる気管支鏡検査等を行い、病理診断科や放射線科とも協議のうえ診断・治療方針を決めていく必要があります。

また、近年の高齢化にあいまって増加している誤嚥性肺炎の場合、抗生物質の投与はあくまで表面的な治療に過ぎず、患者さんの嚥下機能の評価、訓練、状況に応じたご家族との関わりが不可欠であり、多職種(医師、看護師、リハビリ、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど)が介入し、患者さんにとってより良い治療方針を検討していきます。

診察にいらした時点で合併症を抱えている患者さんも多くいらっしゃいますので、ひとつの疾患を診るのではなく、患者さんが抱える問題を網羅的にピックアップし、包括的にケアを行うことが重要と考えています。

気管支鏡・・・肺や気管支など、呼吸器の病気にかかった患者さんの気管支内を観察、検査、治療するための4〜6mm程度の細くてやわらかい管

患者さんの診察を終え、ある程度治療の方向性が見えたら、診断連携の原則としてかかりつけの先生のもとへ情報提供を行い、継続診療を依頼させていただきます。

ただし、患者さんの病状によっては、薬剤の調整が必要であったり、病院でしか行えない定期的な検査が必要になることなどもあり、その際には近隣医療機関と連携を図りながら診療を継続していきます。

何人もの医師を訪ねることなく、複数の症状を複合的に診てもらえる点が総合内科を受診する利点だと思います。当診療科のみで治療が完結することもありますが、専門性の高い病気が併発している場合には、患者さんの症状にあった医師に診てもらえるよう、他診療科や他病院を紹介しています。

たとえば、前立腺肥大が原因で尿路感染を生じている患者さんでは、感染症治療を行いながら泌尿器科へも相談を行い、腎機能や心機能が低下している場合などでは、ある程度の原因精査をすすめたうえで各専門科への相談も遅滞なく行っていきます。当院で完結できない専門性の高い疾患(血液疾患や内分泌疾患、神経変性疾患など)は近隣の総合病院にも相談させていただき、患者さんにとって一番よい選択肢を提示できるよう心掛けています。

患者さんとご家族へ向けてのメッセージ

総合内科の診療において重要なことの一つに、「患者さんの解釈をしっかり把握する」ことが挙げられます。そのため、診察では患者さんの声に耳を傾けることを常に心がけています。患者さん側としては自身の症状を説明することが難しい場合もあると思いますが、些細なことや素朴な疑問であっても、遠慮することなくお伝えください。

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  • 横須賀市立うわまち病院 総合内科 部長 兼 総合診療科 部長

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