院長インタビュー

地域の急性期病院としての役割を担い、働く人の健康を支える旭ろうさい病院

地域の急性期病院としての役割を担い、働く人の健康を支える旭ろうさい病院
宇佐美 郁治 先生

独立行政法人労働者健康安全機構 旭労災病院 院長

宇佐美 郁治 先生

目次
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独立行政法人労働者健康安全機構 旭ろうさい病院(以下、旭ろうさい病院)は、21の診療科を持つ病院です(2020年1月時点)。医療機関が役割をそれぞれ分担し、地域全体で患者さんを診ていく病診連携を進めているなかで、同院は救急、急性期医療の役割を担うとともに、じん肺の診断、治療、療養のために病院が設立された経緯から、勤労者医療や、病気の治療を行いながら働き続ける治療と就労の両立支援にも力を入れています。

地域の急性期を担う総合病院としての役割や労働者健康安全機構としての取り組みについて、病院長の宇佐美(うさみ) 郁治(いくじ)先生にお話を伺いました。

旭ろうさい病院外観

旭ろうさい病院外観

当院は、地域の急性期病院として救急車の受け入れを行っています。大学病院や医療センターのような高度急性期病院ではなく、急性期医療を備えた総合病院として、いろいろな病気を診ていこうという方向性です。救急が必要になった患者さんや、かかりつけ医のもとで診療を受けている患者さんが専門的な検査・手術、入院加療を必要とした場合など、困ったときにかかることのできる地域密着型の急性期病院として地域住民の皆さんにご活用いただきたいと考えております。

病院受付
病院受付

一般の急性期患者さんが重症化したときに、ICUがなければ24時間継続した全身状態の観察を行うことができません。当院では2019年5月の新病院開設後、同年8月からICU4床を新設し、今までは一般病棟で診ていた重症の患者さんもICUで綿密に観察して集中治療を行うことができるようになりました。新病院では、患者さんによりよい環境で治療を受けていただけるように、各種医療機器の整備も図り、診療にあたっています。急性期医療の一環として、骨折、手術後のリハビリテーションや、高齢の患者さんが増加している背景から退院調整、サブアキュートの患者さんの入院に対応できる機能も兼ね備えています。

サブアキュート:在宅や介護施設などでの療養中に、症状が急性増悪した状態

当院では、日頃、かかりつけ医で診察を受けている患者さんが専門的な検査や入院、手術などを必要としたときに診療を受けていただけるよう医療の機能分化を図り、病診連携を推進しています。

検査に使われるCT装置
検査に使われるCT装置

より専門的な診療が必要な場合、回復期のリハビリテーションや療養を必要とする場合には、高度専門機関や、回復期、慢性期病院とも連携し、地域の医療機関との役割分担を図っています。地域全体がひとつの組織として機能し、そのなかで医療が完結するように、当院は特に急性期医療を担い、地域医療に貢献しています。

内科受付前
内科受付前

窯業が盛んであった瀬戸市に近く、窯業じん肺の診断、治療、療養を専門とする病院として設立されましたが、病院周囲に住宅地が増え、地域にお住まいの皆さんからのご要望にお応えする形で総合病院に転換しました。内科系中心のゼネラルな診療に加えて、当初はじん肺専門の病院であった経緯から、呼吸器内科、循環器内科、糖尿病・内分泌内科などの専門の医師による診療を行えることが強みです。

当院は、中規模の病院であり、各診療科間の垣根が低いため、協力体制をとって総合的な診療を行っています。また、医師と看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリテーションスタッフ、臨床検査技師などのコメディカルスタッフが専門性を生かし合い、他職種間でのチーム医療体制を整えています。チーム医療では、患者さんの全身状態の安定、生活の質の向上、職場復帰などを目指し、支援を実践しています。

当院は労災病院として、じん肺、アスベスト関連の診療で培ってきた勤労者医療*の経験を生かし、働く方が病気の治療を行いながら仕事を続けることができるように治療と就労の両立を目指した支援への取り組みを進めています。具体的には、勤労者の方々の病気の予防や早期発見、治療、リハビリテーションを実施し、職場復帰に至るまでの全段階を通した総合的な支援を行っています。

*勤労者医療:働く人の健康と職業生活を守る医療

労働者健康安全機構として、じん肺、アスベスト関連の病気に関する医学研究や症例の集積を行い、学問的な向上や必要に応じて関係機関との情報共有を図っています。行政への協力、国の研究班への参加、労災補償に関する研修会での講義、認定会議への出席など、臨床と絡めて労災補償にも取り組み、労災医療の医学的なバックグラウンドを支えています。

宇佐美先生

初めから専門性に特化するのではなく、全人的にひとりの人間として患者さんを診ていくなかで専門性を極めていってください。医師人生のどこかで、自分の勤める医療機関が地域でどういう位置づけであるのか、地域のそれぞれの医療機関がどのような役割をしているのか、患者さんはどこの施設でどのように診療を受けるのが適切かを考え、全体像を診ることができるようになってほしいと願っています。

当院では、地域の方々に親しんでいただける病院になるよう、皆さんに興味をもって学んでいただける内容の市民公開講座を開催しています。

どこかの病院にかかりたいとき、かかりつけ医で診てもらっていて大きな病院に行かなければならないときなどは、救急、急性期病院として当院をご活用ください。検査、治療、入院などで当院にお越しいただいた後に、必要に応じて高度専門医療機関にご紹介することも可能です。当院が住民の皆さんと毎日を過ごすこの地域において、診療所には当院を外来のひとつのように気軽に紹介していただき、回復期や慢性期の機能を持つ病院は、まるで当院に備わっている病棟同然に患者さんを受け入れてくださるという、きめ細かな病診連携体制が整っています。

地域の皆さんに「困ったらまず旭ろうさい病院に」と思っていただける身近な存在となれるよう、今後も邁進していきたいと思います。

旭ろうさい病院スタッフの皆さん
旭ろうさい病院スタッフの皆さん
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  • 独立行政法人労働者健康安全機構 旭労災病院 院長

    宇佐美 郁治 先生

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