頭痛には特定の事象がきっかけとなって起こる場合がありますが、その中には天気の変化が頭痛のきっかけになることもあると考えられています。天気の変化が頭痛を引き起こすメカニズムについてはいまだ明らかになっていないことが多いですが、一般的には“片頭痛”と呼ばれるタイプの頭痛だといわれています。そのため、天気の変化が体に何らかの影響を及ぼし、片頭痛にみられる頭の神経の過剰興奮や、脳血管の収縮・拡張を引き起こしていると考えられます。
本記事では、天気の変化によって頭痛が生じた場合の対処法や病院で行われる治療方針、受診の目安について解説します。
天気の変化によって引き起こされる頭痛は、一般的には命の危険はないものとされています。したがって、天気の変化によって頭痛が生じた場合は医療機関を受診するか、自宅で様子を見るかのいずれかが選択されます。
命の危険はないといっても天気の変化によって生じる頭痛のなかには痛みが強く、寝込んでしまったり、気分が悪くなって吐いたりしてしまう原因になることもあります。このように症状が強く日常生活に支障が出る場合は、気後れすることなく医療機関を受診するようにしましょう。
また、頭痛のなかには脳梗塞や脳出血など致命的な病気を原因として起こるものがあります。頭を突然殴られたような痛み、これまでに経験したことがない痛みなどいつもと違う痛みを感じた場合は、すぐに医療機関を受診したり、救急車を呼んだりするようにしましょう。
頭痛を専門とする診療科は脳神経外科や神経内科です。大きな病院にしかないことも珍しくないので近所にない場合はかかりつけの内科に相談してもよいでしょう。
天気の変化によって生じる頭痛は片頭痛と呼ばれるタイプの頭痛が一般的です。そのため医師のもとでは、片頭痛に対して薬物治療を中心とした治療を行うと考えられます。
片頭痛に対する薬物治療は、症状に対する治療と、痛みが現れる前に予防する治療に分けられます。
痛みの強さや頻度に応じて、症状を改善する薬が処方されます。症状が弱いか中くらいの場合はアセトアミノフェンやロキソプロフェンといった、市販薬と同じものが使われることもあります。
症状が強い場合にはトリプタン薬といわれる処方薬が用いられるほか、頭痛によって吐き気が強い場合は吐き気止めが使われることもあります。
天気の変化によって頭痛を生じる人は、ストレスや睡眠不足などほかの誘因(片頭痛を引き起こす事象)でも頭痛を生じることがあります。そのため予防のためにはまず誘因を明らかにし、可能な限り誘因を取り除くように指導されます。
また、片頭痛の発作が頻繁にみられる(月2回以上、6日以上など)場合は予防薬を使った治療が行われることもあります。
症状が強くない場合は自宅で様子を見ることもできます。痛みがある場合は市販薬を活用したり、体を休めたりするようにしましょう。また、症状を引き起こさないために日常生活で注意することもあります。
以下の処置をとっても症状がよくならない場合は、がまんせずに医療機関を受診するようにしましょう。
症状がある場合は市販の鎮痛薬を活用することができます。鎮痛薬にはさまざまなものがあり、それぞれ痛みを止める強さや副作用の出方が異なりますので、どのような薬を選ぶか、薬剤師に相談するようにしましょう。
また、片頭痛を持つ人のなかには、痛みを感じる前に“予兆・前兆”と呼ばれる症状を感じる場合があることが分かっています。胃が気持ち悪い、空腹感がある、眠気を感じる、むくみがあるといった予兆や、目の前がキラキラ・チカチカする、目の前が暗くなり“もや”がかかったようになるなどの前兆が現れた場合は、無理をせずに体を休めるようにしましょう。
前述の通り、頭痛には天気の変化以外にも頭痛を起こすきっかけとなるものがあります。たとえば、ストレスや寝不足、疲れといった精神的因子、月経周期といった内因性因子、アルコールやポリフェノールの摂取などの食事性因子があります。もし、天気の変化以外にも頭痛のきっかけとなりやすい因子を自覚している場合は、なるべく取り除くようにし、頭痛を引き起こさない生活を心がけるようにしましょう。
天気の変化がきっかけで頭痛を起こす人は多く、片頭痛患者の半数は天気の変化による頭痛の発症を経験しているといわれています。特に天気が悪かったり台風が近づいたりして気圧が下がるときや、春~秋にかけて日差しが強い時期に頭痛を起こす人が多いともいわれています。このようなタイミングで頭痛を起こしやすく、症状に悩んでいる人は、一度医師に相談してみるとよいでしょう。
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