眼瞼下垂症は“眼瞼下垂”とも呼ばれ、皮膚のたるみや上眼瞼挙筋と呼ばれる筋肉(以下、挙筋)の収縮力の低下などが原因でまぶたが垂れ下がり、目を開けることが困難になる病気のことを指します。眼瞼下垂症の治療は手術により行われ、まぶたが垂れ下がる原因によって手術の方法が異なります。
本記事では、眼瞼下垂症の手術をテーマに、手術方法や手術後の生活の注意点、眼瞼下垂症の手術と美容整形手術の主な違いについて詳しく解説します。
眼瞼下垂症の手術方法は、主に“眼瞼皮膚切除術”、“腱膜固定術”、“挙筋前転術(挙筋短縮術)”、“前頭筋吊り上げ術”の4つがあります。以下では、それぞれの治療方法について解説します。
たるんだ余分なまぶたの皮膚を切除することによってまぶたの垂れ下がりを改善する治療です。
眼瞼皮膚切除術は眼瞼下垂症の中でも皮膚のたるみによって生じる眼瞼皮膚弛緩症に対して用いられます。皮膚は二重のラインで切除することが一般的ですが、眉毛のすぐ下で切除する場合もあります。また、皮膚のたるみのほかに挙筋腱膜のゆるみや挙筋収縮力の低下が合併している場合は、それらに対する手術を併せて行うことができます。
緩んだ腱膜と瞼板を固定することでまぶたを上がりやすくする治療方法です。
挙筋の末端は腱膜という薄い膜になり、まぶたの瞼板という部分に付着ししています。しかし、腱膜と瞼板との付着部分が緩んでくると、まぶたが上がりにくくなります。このような原因で生じた眼瞼下垂症を、腱膜性眼瞼下垂症といいます。腱膜性眼瞼下垂では、腱膜を瞼板に固定する腱膜固定術が行われます。腱膜のゆるみ以外に、皮膚のたるみや挙筋収縮力の低下などを合併している場合には、それらに対する手術も同時に行われるケースがあります。
収縮力の低下した挙筋を縮めることで、まぶたを上げる手術治療です。
この手術によって筋肉の動きがよくなったり、動きが大きくなったりするわけではありませんが、挙筋が短くなることによって目が大きく開くことになります。一方、治療によってまぶたが上がった分、目を閉じる際にまぶたが下がりにくくなり、完全に閉じるのに今までより力が必要になります。挙筋前転術は挙筋収縮機能の低下が軽度~中等度の症例に適用され、重度の症例には次の前頭筋吊り上げ術が行われます。
紐をまぶたの皮下に移植し、額部分にある“前頭筋”とまぶたとをつなぐ手術です。前頭筋の力で眉毛を上下させると、その動きが紐を介してまぶたに伝わることで上まぶたが上下します。動きの悪い挙筋を縮めてまぶたを上げる挙筋前転術とは異なり、前頭筋という別の筋肉を使ってまぶたに動きを与える術式です。
したがって、すでに挙筋が機能しておらず挙筋前転術ではよい結果が得られないことが想定される場合に用いられます。移植する紐は、本人の大腿部から採取した筋膜を紐状にしたものを用いることが一般的ですが、ゴアテックスなどの人工物の紐を用いることもあります。
眼瞼下垂症の手術治療は日帰りの局所麻酔下で行われることもありますが、以下のような場合には短期間の入院(1泊2日程度)が必要となることが一般的です。
術後1~2週間程度はまぶたがかなり腫れたり内出血の跡が目立ったりすることが珍しくありません。手術後に生じるまぶたの腫れが完全に引くまでに数か月かかることもあります。ただし、手術の切り傷あとについては消えてしまうことはありませんが、二重のシワに隠れるためほとんど目立つことはありません。
なお、術後は翌日から洗顔やシャワー浴が可能となりますが、術後2~3日はできるだけ安静を心がけて運動・入浴・飲酒は控えましょう。
眼瞼下垂症の手術を受けると、目の開き具合だけでなく、たれ目・つり目などの微妙な変化を生じ、顔の印象が変わることもあります。
視野が狭くなるなど眼瞼下垂症の直接的な症状がある場合、眼瞼下垂症の手術治療を保険適用で受けることができます。
しかし、軽度の眼瞼下垂症で直接的な症状がなく、見た目の改善を求めて治療を希望する際には、手術の目的が美容的であると判断されます。その場合“美容整形”として手術が行われるため、保険適応ではありません。また、肩こりなど眼瞼下垂症による間接的な症状の緩和を目的とした手術も保険適用とならないことがあります。これらの判断は医療機関によっても異なるため、詳しくは担当医に相談してみましょう。
眼瞼下垂症の治療はまぶたが垂れ下がる原因によって異なります。手術では日帰りや短い入院で受けることが可能で、視野が広がる、目が開きやすくなるなどの効果が期待できます。一方で、術後は腫れや内出血が生じる可能性もあるほか、顔の印象が変わることもあります。そのため、手術内容や注意点などを十分に理解したうえで、疑問や不安なことがあれば担当医に相談しましょう。
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