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あせもの原因と治し方とは?〜自分でできる対策と皮膚科での治療、受診の目安について〜

あせもの原因と治し方とは?〜自分でできる対策と皮膚科での治療、受診の目安について〜
西部 明子 先生

金沢医科大学皮膚科 准教授

西部 明子 先生

目次
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あせもとは、汗の通り道である汗管が塞がることで炎症を起こし、皮膚に発疹(ほっしん)やかゆみなどが生じる病気です。医学的には“汗疹(かんしん)”と呼ばれます。セルフケアや時間の経過とともに治ることもありますが、あせもの種類や原因を理解せずにセルフケアを行うと繰り返し再発する可能性もあるので、あせもを治すためには、まずあせもの原因や種類を理解する必要があります。

そこで本記事では、あせもの原因から治し方までを詳しく解説します。

前述のように、あせもは汗の通り道である汗管が汚れなどによって塞がることによって生じます。汗管が詰まる原因には大量にかいた汗をそのまま放置することが挙げられます。

かいた汗を放置すると汗に含まれる塩分が汗管を塞ぐほか、汗をかくとベタつきが生じやすいため皮膚にほこりや汚れが付着しやすくなり、それらが汗管を塞いでしまうこともあります。このように汗管が塞がった結果、汗の出口がなくなってしまうことで汗が皮膚の内側に溜まるようになり、あせもを引き起こします。

好発部位には乳房の下や太ももの内側、(わき)の下などが挙げられます。これらの部位は頻繁に皮膚などが重なり合うため汗をかきやすく、あせもが生じやすいとされています。たとえば、長時間ベッドに寝ている、椅子に座っているなど同じ体勢を長く取り続けると、ベッドや椅子に触れる部分(多くは背中や太もも)に汗をかき、あせもが生じることもあります。

あせもは、生じる部位や状態によって“水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)”“紅色汗疹(こうしょくかんしん)”“深在性汗疹(しんざいせいかんしん)”の3つの種類に分けられます。以下では、それぞれの種類の特徴や症状について解説します。

水晶様汗疹とは皮膚の浅い部分に生じるあせもを指し、小さな透明の水疱(すいほう)が複数生じる状態を指します。かゆみ・ヒリつきなどの症状はないことが一般的で、乳幼児に多いことが特徴です。

紅色汗疹とは小さな赤い水疱が複数生じる状態を指す、あせものなかでもよく知られた種類です。かゆみが伴うほか、汗をかくと皮膚の表面がヒリヒリと痛むことがあります。

深在性汗疹とは、上記のあせもよりさらに深い部分で汗管が詰まることによって生じるあせもです。皮膚表面に小さく盛り上がったような発疹が生じ、発疹のある部分に痛みが生じることもあります。あせものなかではもっとも重症度の高い種類です。

水晶様汗疹・紅色汗疹は、セルフケアや時間の経過とともに治る場合もあります。以下ではあせもの治し方について解説します。

具体的なあせものセルフケアには、原因である汗に対する対策が重要です。具体的には、汗をかきすぎないようにする、汗をかいた後にスキンケアを行うことなどを行いましょう。

汗をかきすぎないようにするためには、空調を活用して汗をかきすぎない環境を作るほか、通気性のよい服装で日頃から温度調節をしやすいように工夫するとよいでしょう。

また汗をかいた後はそのまま放置するのではなく、濡らしたタオルなどを使って汗とともに皮膚に付着した汚れ(塩分・ほこりなど)を拭き取るように心がけましょう。加えて汗をかいた日はシャワーを浴びて皮膚を清潔に保つことも大切です。

あせもの中でも紅色汗疹などでかゆみの症状が強い場合には、強くかいてしまうことによって皮膚に傷が付き、そこから細菌が入り込むことによって何らかの感染症を引き起こす可能性もあります。そのため、かゆみの症状が強い場合には皮膚科の受診を検討しましょう。

皮膚科では、一時的にステロイド外用薬を用いることで炎症を抑えます。ステロイド外用薬は市販薬も販売されていますが薬の強さなどに違いがあるため、医師に処方してもらうことが望ましいです。

もし市販薬を使用するのであれば、薬剤師に相談したうえで選ぶとよいでしょう。なお長期間の使用は避け、症状が和らいだら使用を中止するようにしましょう。

あせもの治し方は、赤ちゃん・子ども・大人で大きな違いはありません。汗をかきすぎないように対策を講じるほか、汗をかいた後のケアであせもの改善が見込めます。なお、赤ちゃんや子どもは汗をかきやすいことに加え、自分で体温調節をすることが難しいため、保護者が注意深く見守り、サポートする必要があるでしょう。

ただし、自分でできるあせも対策を実践しても改善が見られない場合や、かゆみなど強い症状が長く続く場合には、皮膚科を受診することを検討しましょう。

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