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起立性調節障害による不登校への対応――市立東大阪医療センターの取り組み

起立性調節障害による不登校への対応――市立東大阪医療センターの取り組み
古市 康子 先生

市立東大阪医療センター 小児科 部長

古市 康子 先生

目次
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起立性調節障害は、不登校の子どもの3~4割にみられる病気だといわれています。学校に行けない状態が続くと、患者さん自身もご家族も大きな不安を感じるでしょう。

今回は、起立性調節障害による不登校にどのように向き合えばよいのか、市立東大阪医療センター 小児科部長の古市 康子(ふるいち やすこ)先生にお話を伺いました。

起立性調節障害の代表的な症状の1つとして頭痛が挙げられます。頭痛の程度は患者さん本人にしか分からないため、どのくらい動ける状態なのか、第三者が判断するのは難しいものです。激しい頭痛があるなかで無理に登校するのは困難ですから、不登校の状態からの脱却を目指すには、頭痛をうまくコントロールする必要があります。頭痛の原因はさまざまですが、たとえば学校に行こうと準備をしているときに登校を促されるなど、嫌なことを嫌なタイミングで言われると頭痛が起こるという患者さんもいます。

症状がまだ安定していないときには、無理に登校しない時期を設けたり、たとえば1時間までなら遅刻しても構わないといった許容範囲を設定したりするとよい場合もあります。また、学校でも夕方のクラブ活動だけなら頑張れそうだといった場合には、希望に合わせて参加をすすめるようにしています。

当院では、患者さんの状況に合わせてご家族と相談し、学校の先生方にもご理解いただきながら治療を進めています。

近年は、学校の先生方の間でも起立性調節障害への理解が進んでいます。治療に関する情報を共有しておけば、学校でも適切に対処してもらえるかと思います。また、環境調整入院中の患者さんについては、学校にも現状を把握していただき、退院後も登校を強く促さずに本人のペースに合わせる形で対応していただいています。

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ここでは、当院を受診された中学生の患者さんの事例を2つご紹介します。

中学校2年生ぐらいから頭痛があり徐々に頻度が増して、受診時には週5~6回頭痛がある状況で、我慢しながら登校していたという患者さんです。朝はひどい頭痛で鎮痛薬を飲んでも治まらないものの、夜はけろっとしているそうで、1日に500ccほどしか水分を取らず、運動習慣がないことが分かりました。当科で疾病教育と生活へのアドバイスを行い、ご家族の協力を得ながら1L以上の水分摂取を心がけてもらったところ、頭痛の頻度が減り、鎮痛薬の服用量も減らすことができました。

登校することが難しくて定期テストも受けておらず、勉強が遅れてしまうと悩んでいた患者さんです。発達障害が関わっており、周囲との接し方に課題がある状況だったため、環境調整入院をすすめました。入院中、院内学級で先生から1対1で指導してもらううちに勉強が楽しいと感じ始めたようで、朝しっかり起きられるようになりました。1対1という勉強法や先生との相性がよかったのでしょう。その後、学校の定期テストを受け、それまでよりもよい成績が取れて自信がついたようです。環境調整入院で生活リズムが整ったと同時に、自分に合った勉強法が分かってやる気が湧いてきたように見受けられました。

近年、当科でも起立性調節障害の患者さんが増えており、環境調整入院の際のタイムスケジュールについては議論を重ね、丁寧につくり上げてきました。リハビリテーション科をはじめとした院内他科や、臨床心理士、看護師、保育士、院内学級の先生など多職種との連携により、患者さん一人ひとりに合った治療を実現できていると感じています。

たとえば、毎日の運動に付き添うリハビリテーション科の医師に悩みを打ち明ける患者さんもいて、話の内容を看護師が預かり対応するケースもあります。このような連携が非常に重要だと考えています。

当科では、環境調整入院中の患者さんに接するスタッフが共通認識をもって治療にあたることを重視しています。昨今は、リハビリテーション科の医師や看護師などを交えて週1回カンファレンスを行っています。入院予定の患者さんについて事前に情報を共有したり、入院中の患者さんの状況を確認し合ったりして、一人ひとりに合った治療を検討しています。

当科では、開業医の先生方との勉強会も開始しました。病気に関する知識を共有するとともに、当科の診断や環境調整入院について知っていただく場となっています。患者さんの多くがまずはかかりつけのクリニックを受診され、頭痛がひどい、朝なかなか起きられないといった症状を訴えられます。その際、必要に応じて当科にご紹介いただき、患者さんになるべく早く適切な治療を届けるためにも連携が欠かせません。

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お子さんのつらさを理解する

お子さんが学校に行けなくなると、勉強面の遅れなど、ご家族の心配は尽きないと思います。気力で乗り切れるのではないかと思われることもあるでしょう。しかし、お子さん自身も怠けているわけではなく、本当は登校したいけれど体がつらくてどうしても動けないという状況について思い悩んでいるかもしれません。ご家族にはお子さんのつらさを理解しようと心がけて、寄り添う姿勢を大切にしていただきたいと思います。

病院や学校に相談する

起立性調節障害が疑われる場合、早めに病院に相談されるようおすすめします。中には、環境調整入院中にご家族以外の多くの大人と接するなかで心を開いてくれるお子さんもいます。環境の変化により状況が好転するケースもあるため、ご家族だけで抱え込まず、病院を頼っていただきたいと思います。

また、近年は起立性調節障害を深く理解してくださる学校の先生方も増えてきていると感じます。担任の先生にお子さんの状況を伝えておくなど、まずは学校に相談されるのもよいでしょう。

起立性調節障害は一人ひとり症状の現れ方や重症度が異なり、お子さんの性格もさまざまかと思いますが、学校生活においては個々に合った配慮をお願いできればと思います。

環境調整入院をしたお子さんについては、学校の先生方にも現状をご理解いただき、ご家族とも相談のうえで一定期間、ある程度の遅刻を許容して見守るような姿勢で接するのが望ましいでしょう。

また、登校できているお子さんの場合、元気そうに見えても実は無理をしている可能性があります。そのようなお子さんにはさりげなく声をかけて、頑張っている様子を見ているよ、理解しているよと伝えていただければよいかと思います。近くに気にかけてくれる人がいると分かれば、お子さんの意識もより前向きになるでしょう。

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つらい症状があり、学校に行きたくても行けない状況が続くと、起立性調節障害という病気を大きな負担に感じるかもしれません。しかし、体の成長に伴って自律神経のバランスが悪くなる時期は誰にでもあります。日常生活を上手に工夫すれば乗り越えていけるものなのだと考えていただきたいと思います。中には起立性調節障害と長く関わっている患者さんもいらっしゃいますが、徐々に自分に適した対処方法が分かってきてうまく付き合えるようになります。1人で抱え込まず、周囲の協力を得ながら乗り越えていってください。

起立性調節障害には本人にしか分からない痛みやつらさがあります。そのつらさを完全には理解できなくても、どうすれば少しでも和らげられるか一緒に考えてあげてください。治療は日常生活の工夫が中心になりますので、ご家族一体となって取り組んでいただければと思います。多くの場合、成長につれて症状は改善していきます。また、学校関係者など周囲の方々にも病気への理解を深めていただければさらに安心です。お子さんに無理をさせないよう、1人で抱え込まずに済むよう支えてあげてください。

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  • 市立東大阪医療センター 小児科 部長

    古市 康子 先生

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