兵庫県神戸市、ポートアイランドの一角に位置する兵庫県立こども病院は、1970年の開院以来、半世紀以上にわたって地域の子どもたちとその家族を支え続けてきました。2026年4月に院長に就任した杉多 良文先生は、小児科の専門的な医療を提供するだけでなく、子どもたちが「この病院で診療を完遂できること」を掲げ、多職種が一丸となって患者家族に寄り添う体制づくりに力を注いでいます。
常に「昨日より今日、今日より明日」と進化を止めることのない同院が目指す小児医療の未来について杉多先生にお話を伺いました。
当院は1970年の開院以来、兵庫県における小児医療の中核的な存在として、子どもたちとご家族にご安心いただける医療を提供してきました。
1994年には周産期医療センターを開設し、2000年には総合周産期母子医療センターの指定を受け、胎児期からの一貫した診療体制を構築しています。さらに、2007年には小児救急医療センター(2017年 小児救命救急センター認定)、2014年には小児がん医療センターを開設するなど、医療体制の充実を図ってまいりました。
2016年には現在のポートアイランドへ移転し、2018年には兵庫県アレルギー疾患医療拠点病院、2020年にはがんゲノム医療連携病院の指定を受けました。さらに2026年には緩和ケアセンターを開設し、子どもたちとご家族に寄り添う医療体制のさらなる充実を進めています。
当院は、MFICU(6床)、NICU(21床) 、PICU(16床)を備え、胎児期から新生児、幼児、学童、さらにはAYA世代に至るまで、切れ目のない医療を提供しています。また、各診療科が密接に連携することで、多様かつ複雑な子どもの病気に対し、より安全で質の高い包括的な医療を実践できることが、当院の大きな特徴です。
小児救急医療も当院の大きな役割です。現在当院は24時間365日体制で対応しており、重篤な病気やけが、急変した症例に対しても迅速な対応を心がけています。勤務時間外においても緊急手術が可能であり、子どもたちの命を守るため、全職員が高い使命感を持って診療にあたっています。
当院は兵庫県内にとどまらず、他府県まで含めた小児医療の中核的な役割を担っています。ドクターヘリや神戸空港を利用したドクタージェットによる広域搬送にも対応し、県外から搬送される重症患者さんも積極的に受け入れています。
集中治療や専門的な治療を必要とする子どもたちに対し、地域や距離の壁を越えて最善の医療を提供することは、当院の重要な使命だと考えています。
当院は、「当院を受診された子どもたちは、当院で診療を完遂する」という強い使命感を持って診療に取り組んでいます。移植医療が必要な患者さんについてはよりよい医療を受けていただくため他の医療機関へご紹介していますが、それ以外の患者さんに対しては診断から治療、長期フォローアップに至るまで、一貫して責任を持って診療を行うことを基本方針としています。
小児医療においては病気の治療のみならず、子どもたちの成長・発達、学業、社会生活、さらにはご家族への心理的支援まで含めた包括的支援が極めて重要です。そのため当院では、医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、心理士、医療ソーシャルワーカーなど、多職種が密接に連携しながら、患者さんとご家族に寄り添う医療を実践しています。
私たちは現状に満足することなく、常に改善と改革を重ねながら、進化し続ける病院でありたいと考えています。医療技術や医療環境は日々変化しており、子どもたちとご家族により良い医療を提供するためには、現状維持ではなく、絶え間ない挑戦が必要です。
そのため当院では、診療の質向上、安全管理・感染対策、医療DX、人材育成、研究推進、教育体制の充実など、さまざまな分野で継続的な改善に取り組んでいます。職員が「子どもたちの未来のために何ができるか」を常に考えながら行動していることは、当院の大きな特徴といえるでしょう。
私たちが目指しているのは、単なる“One of the best children’s hospitals”ではありません。日本の小児病院の中でも、とりわけ信頼され、選ばれる存在となり、子どもたちとご家族、そして社会から真に信頼される病院を目指しています。
子どもたちとご家族に「この病院でよかった」と心から感じていただけること、そして職員一人ひとりが誇りを持って働ける病院であり続けること——その実現のために、私たちはこれからも挑戦と進化を続けてまいります。
*病床数、医師、提供する医療の内容等についての情報は全て、2026年6月時点のものです。
兵庫県立こども病院 院長/泌尿器科
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