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NTT東日本関東病院だからできるもやもや病治療への取り組み

NTT東日本関東病院だからできるもやもや病治療への取り組み
井上 智弘 先生

NTT東日本関東病院 脳神経外科 部長

井上 智弘 先生

目次
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NTT東日本関東病院では、日々研鑽を積んだ医師たちが患者さんの治療に尽力しています。中でも、同院の脳神経外科 部長である井上 智弘(いのうえ ともひろ)先生は、後進の育成にとどまらず、国外にも赴き、直接血行再建術(直接バイパス術)を伝承されています。今回は、NTT東日本関東病院で行われている取り組み、そして2025年1月にチェコ共和国で井上先生が執刀された手術についてお話を伺いました。

もやもや病の精密検査において、当院では“アセタゾラミドを用いたSPECT検査”を取り入れています。通常のSPECT検査は安静時(負荷をかけない状態)に実施しますが、アセタゾラミドを用いたSPECT検査では脳に負荷をかけた状態で脳血管がどれくらい血流を増やすことができるか、脳血管があとどれくらい血流増やすことができるかを測定します。

さらに当院では、手術前に必ず「脳血管造影検査」を行います。「脳血管造影検査」とは、脳の血管内に造影剤を流し込み、血管内をどのように造影剤が流れていくかを映し出す検査です。手術の直前に「脳血管造影検査」を行うことで、脳血管の状態を把握し、適切な治療方法を検討することができます。

これらの精密検査を通じて、もやもや病の進行度や脳血流の状態を評価し、患者さん一人ひとりにふさわしい治療方針を決定しています。

最近では、私自身の技術や恩師からの教えを、次世代へと継承していくことの重要性を強く感じるようになりました。現在の私の目標は、自身が執刀する手術数を増やすだけでなく、私の直弟子による手術数も増やしていくことです。そうすることで、私が現役である間に、1人でも多くの患者さんに貢献できると考えています。私が脳外科医になったばかりの頃、20倍の高倍率顕微鏡下で髪より細い「10-0」という号数の縫合糸を使って、1日50針を縫うことを日課にしていました。この訓練を年間200日、10年間続けた結果、1万針を縫い、高い精度を要する技術を習得することができました。私が若手医師に指導しているのは、「10-0」という縫合糸を使った顕微鏡下でのガーゼの縫合練習です。少なくとも1万針は縫うよう課していますが、中には、軽々と5万針ほど縫い、すでに高い技術を習得している頼もしい医師もいます。

誰もがもやもや病の治療を安心して受けられるよう若手医師を育成していくことも当院の役割であると考えています。より多くの患者さんの思いに応えるために、後進の育成に力を入れ、この環境を生かし、もやもや病の治療や患者さんの予後に貢献できればと考えています。

当院では、患者さんを速やかに受け入れられるよう、脳卒中ホットライン(医療機関専用)*を運営しています。もやもや病を含む脳血管疾患が疑われる患者さんがいらっしゃった場合に地域医療機関の先生方から連絡をいただくことで、必要に応じて当院で受け入れ・治療を行う仕組みです。近隣の医療機関の先生方との連携を強めることで、当院だからこそできる医療を駆使し、脳血管疾患のよりよい予後に貢献できればと考えています。

*脳卒中ホットライン:このホットラインは医療機関の医師との専用ラインですので、患者さんからお電話をいただいても、ご対応いたしかねます。

2025年1月13日~18日、チェコ共和国のマサリク大学付属病院から依頼を受け来訪しました。それは、同院に新設されるもやもや病センターの設立支援として、現地での手術執刀を行うというものでした。

私の直接血行再建術(直接バイパス術)の論文に関心を持たれたチェコのジジ・フィードラー先生(チェスケーブデヨビッセ病院 脳神経外科部長、マサリク大学 脳神経外科准教授併任)が、2017年に当院を訪れ、私のもやもや病の直接バイパス術を見学されました。その後も交流は続き、2019年にはチェコ共和国で主催されたバイパス術のハンズオンセミナーに、私が講師として招いていただくなど、親交を深めてきました。

先方提供カンファ
カンファレンスの様子(マサリク大学脳神経外科の医師団)

チェコ共和国のブルノには、マサリク大学付属病院があります。近年、同院では小児のもやもや病の診察依頼が増加し、もやもや病センターを立ち上げることになりました。もやもや病センター開設に伴い、その最初の2例の手術執刀医師として、フィードラー先生の推薦により、マサリク大学 脳神経外科 主任教授のスミルツカ先生から依頼を受けました。

先方提供ope1

1例目として、14歳の患者さんに対し、左浅側頭動脈と中大脳動脈の2か所に直接血行再建術(直接バイパス術)を実施しました。2例目は、さらに難易度の高い7歳のお子さんの手術でした。この年齢の患者さんは血管が非常に薄く細いため、血管吻合はより困難を極めましたが、無事に左浅側頭動脈と中大脳動脈の2か所に直接血行再建術を行うことができました。

先方提供ope2
マイクロ針付き縫合糸11-0を使った脳血管吻合術

このチェコでの手術は、私自身の技術が異国の地でも普段と変わらない安定した精度で提供できることを再確認できる、非常に貴重な機会となりました。さらにこのような機会により、私が持つ技術を、海を越えてお伝えできたことを光栄に思います。

もやもや病は、初期段階で当院のような総合病院で確定診断されることは稀です。多くの場合、地域のクリニックなどで「もやもや病の疑いがある」と指摘され、その後、当院のような脳神経外科専門医*が在籍する病院で精密検査を受けることになるでしょう。

もし、もやもや病と診断され、手術が必要、あるいは手術を検討する必要があると告げられた方は、ぜひ一度当院へご相談ください。開頭して血管をつなぐ手術と聞くと、大がかりで怖いイメージを持たれるかもしれません。しかし、私たちは日々研鑽を積み、患者さんにとって適切な治療を提供できるよう努めています。まずは、手術についてご相談いただければ幸いです。

*脳神経外科専門医:日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医

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