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もやもや病とは?――概要から原因・症状・検査まで解説

もやもや病とは?――概要から原因・症状・検査まで解説
井上 智弘 先生

NTT東日本関東病院 脳神経外科 部長

井上 智弘 先生

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呂律が回らない、手足がしびれるなどの症状が生じる病気としてもやもや病があります。この病気は脳の病気で、進行すると脳梗塞(のうこうそく)脳出血を引き起こす可能性があります。今回は、もやもや病の原因、症状、治療法について、NTT東日本関東病院 脳神経外科 部長の井上 智弘(いのうえ ともひろ)先生にお話を伺いました。

メディカルノート

もやもや病とは、内頚動脈(ないけいどうみゃく)の終わりの部分で前大脳動脈と中大脳動脈という2本の血管に分かれ、その分岐部分が何らかの原因でゆっくりと狭くなり、最終的には閉塞(へいそく)してしまう病気です。ウィリス動脈輪閉塞症とも呼ばれます。この血管の狭窄(きょうさく)(狭くなること)や閉塞を補うために、脳の底部の非常に細くて(もろ)い血管が発達します。これがもやもやと立ち上るたばこの煙のように見えることから「もやもや血管」と呼ばれ、病名の由来となっています。

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発症頻度は人口10万人に対し年間0.35~0.5人ほどで難病に指定されているものの、諸外国に比べて日本人の発症率は高いといわれています。発症年齢は5~10歳と30~40歳に多くみられます。男女比では女性に多い傾向があります(男女比1:2.5)。

もやもや病における血管の狭窄や閉塞は、血管壁の肥厚や線維化などが原因と考えられていますが、その詳細は解明されていません。遺伝的要因もこの血管の変化に影響を与えていると考えられています。実際にもやもや病の患者さんの10~20%において、親族の方も同じ病気を発症していることが知られています。

もやもや病は、その病態によって2つのタイプに分かれます。

もやもや血管は臨時的に血流を補う役割を果たしますが、正常な血管に比べて非常に細く、また血流の調節機能も未熟なため、血液を送る能力には限界があります。そのため酸素消費量が多い活動時(運動、過呼吸、興奮するなど)、もやもや血管では血液を送る能力が足りなくなり、血流不足となります。これが虚血型もやもや病です。

虚血型もやもや病とは異なり、血流量は担保されているものの、血液の流れが滞留し、血管が破れて出血してしまうのが、出血型もやもや病です。もやもや血管は、細く壁が薄い特徴があります。この血管の中で血液の流れが滞留し、血管に大きな負担がかかると、血管壁の脆弱(ぜいじゃく)な部分が膨らんで、小さな動脈瘤(どうみゃくりゅう)を形成します。血圧の急激な上昇、あるいは血管自体の変性などによってこの動脈瘤が破裂した場合、脳の中で出血(脳出血)を起こします。

もやもや病は、特定の年齢層に発症のピークがみられることが特徴です。具体的には2つのピークが存在します。まず1つ目は、主に小児期です。この時期の発症は、小学校入学前後の5~10歳頃に多くみられます。

2つ目のピークは成人期です。こちらは30~40歳に多い傾向があります。

もやもや病は、小児(虚血型が多い)と成人(出血型が多い)で症状の現れ方が異なるのが特徴です。以下で、小児と成人で現れる症状について具体的に説明します。

小児期のもやもや病は虚血型が多く、血流量、すなわち脳への酸素量が不足しやすい場面でさまざまな症状が現れます。たとえば、泣いたり、運動したり、熱い麺やごはんなどをフーフーと冷ましたりした際に、手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくいなどの症状が現れます。しばらくすると症状は改善することが多く、これを一過性脳虚血発作TIA)といいます。

成人のもやもや病では、小児期のような虚血症状に加え、脳出血で発症するケースも多いという特徴があります。脳の深部にある脆弱な血管が破綻し、出血を起こすことで、頭痛、意識障害、手足の麻痺といった重篤な症状を引き起こすことがあります。ほかにも、複数の作業を同時にこなす能力が低下する症状(遂行機能障害)などがみられることもあります。

もやもや病が疑われる場合、まず詳細な問診を行います。症状がいつ、どのような状況で、どのくらいの期間続いたか、あるいはその頻度のほか、既往歴、家族歴などを確認します。問診の内容を踏まえて、脳の異常を確認するためにMRI検査を行います。内頚動脈終末部やその周辺の主要な脳動脈の狭窄・閉塞、そして細い異常血管(もやもや血管)が確認できた場合は、SPECT検査(脳血流シンチグラフィ)を実施します。この検査で脳のどの領域に血流が不足しているか(虚血の程度)を評価し、診断を確定していきます。

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