原因
消化管の働きは自律神経や内分泌で調節をされており、通常であれば脳からの指令により適切なタイミングで適切な消化活動が行われます。しかし、アセトン血性嘔吐症においては、脳と消化管の連絡体系に異常が生じており、嘔吐症状が引き起こされていると想定されています。
内分泌については、視床下部-下垂体-副腎系と呼ばれる経路に関与するホルモンが、アセトン血性嘔吐症では異常をきたしていると想像されています。また、アセトン血性嘔吐症を発症する方には、偏頭痛持ちの方が多いことも知られており、両者の発症の仕方に共通点があることも推定されています。
また家族歴があることもあり、この場合においては遺伝的な要因が関与することも示唆されます。さらに、ミトコンドリアの機能異常との関連性も提唱されています。
嘔吐症状をきたすきっかけには、さまざまなものがあり、感染症、精神的ストレス、食事(チョコレートなど)、月経、乗り物酔い、飢餓状態、身体の動かし過ぎなど多岐に渡ります。お子さんであれば、風邪やインフルエンザををきっかけとして、アセトン血性嘔吐症を発症することは多いです。また、不安や緊張をともなうようなイベントの前(例えば試験前や旅行、誕生日会など)に、突然嘔吐症状を呈することも多いです。
そのほか、お子さんの体内には糖分の蓄えが少なく、遊びに夢中になりご飯を食べない、もしくは胃腸炎などをきっかけとして糖分摂取が出来なかった場合などに、容易に糖分が不足します。体内の糖分が不足すると、脂肪がエネルギー源として使用されますが、これに関連して「ケトン体」と呼ばれる物質が体内で産生されます。ケトン体の一種類としてアセトンも血液中にみられるようになるため、「アセトン血性嘔吐症」の名称がついています。
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