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あるこーるいぞんしょう

アルコール依存症

最終更新日
2020年05月21日
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2020/05/21
更新しました。
2017/04/25
掲載しました。

概要

アルコール依存症とは、長期間にわたってアルコールを大量に摂取し続けることによって、アルコールを摂取しないといられなくなる状態に陥る病気のことです。現在、日本では80万人以上がアルコール依存症を患っていると推定されています。

アルコールは適量の摂取であれば深刻な健康被害を引き起こすことはありません。しかし、大量の摂取を続けると脳の仕組みが変化し、猛烈にアルコールを欲するようになります。そのため、気持ちの高ぶりやイライラ感が生じ、動悸や発汗、手の震え、頭痛、不眠などの身体症状が現れるようになるとされています。なかにはアルコールによる肝障害などを発症するばかりでなく、朝から飲酒をする、仕事中に隠れて飲酒をするなど社会生活に大きな支障をきたすケースも珍しくありません。

アルコール依存症の治療は補助的に薬物療法も用いられますが、治療の中心となるのは、集団精神療法や、同じアルコール依存症を抱える人たちの自助グループに参加することです。短期的に断酒することは比較的容易ですが、再発しやすいのが特徴で、再飲酒となった場合には、すぐに断酒前の問題ある飲酒パターンに戻ってしまう傾向があります。したがって、断酒を継続するためには長期的アフターケア、特に自助グループへの継続的な参加が必要です。

原因

アルコール依存症の原因は、決して意志の弱さや特定の性格傾向が原因ではありません。原因は飲酒したこと、すなわち、長期間にわたってエチルアルコールという依存性薬物を過剰に摂取してきたことです。

アルコールは適量の摂取であれば程よい高揚感などをもたらし、健康に害を与えることはありません。しかし、長期間過剰な摂取を続けるとアルコールが常に体内に存在することが正常な状態と認識され、神経系の神経細胞の性質が変化していきます。そして、血液中のアルコール濃度が低下すると、神経のバランスが崩れ、離脱症状が現れるとともに、アルコールへの欲求が過剰に高まり、アルコールを摂取するためにはなりふり構わなくなるなどの行動上の変化が現れるようになるのです。

症状

アルコール依存症の中核的な症状は、アルコールを摂取することのメリットよりもデメリットのほうがはるかに上回っているにもかかわらず、アルコールを適量で済ませることができず、飲酒していないときでもたえず“飲むこと”にとらわれている、といった精神面と行動面の変化です。そして副次的に、血液中のアルコールが濃度が低下すると、強烈な飲酒欲求とさまざまな離脱症状も現れます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

飲酒のコントロールができなくなる

アルコールへの欲求が高まるあまり、自身に適した飲酒量、時間、状況などを考慮せずに飲酒するようになります。その結果、朝から飲酒する、仕事中も飲酒する、家事をせずに飲酒を続けるなど日常生活や社会生活が困難な状況に陥ります。

また、仕事や人間関係のトラブル、家族関係の破綻、飲酒運転などさまざまな問題を引き起こすことで社会的に孤立し、それがさらなる飲酒行動を促すといった悪循環に陥るケースも少なくありません。

さらに依存状態が重度になると、体内にアルコールが存在しない時間を作ることができなくなり、日がな一日、飲酒することを続けては潰れ、目が覚めてはまた飲むといった“連続飲酒”と呼ばれる状態に陥ります。その状態では、すでに肝臓や脳などにも大きなダメージが生じていることがしばしばです。

精神的・身体的症状

アルコールは一定時間血液中にとどまると肝臓で分解されていきます。アルコール依存症では、血液中のアルコール濃度が低下するにともに、イライラ感、不眠などの精神的な症状、動悸・震え・発汗・吐き気・頭痛などの身体的な症状が現れます。これらの症状が“離脱症状”です。非常に重篤なケースではけいれん発作、幻覚や幻聴などが生じ、生命的な危機状態に瀕することもあります。

検査・診断

アルコール依存症は、日頃の飲酒量や飲酒にまつわる行動などさまざまな要因を総合的に判断したうえで診断が下されます。一般的な病気のように、血液検査や画像検査など客観的な情報から診断が下されるわけではないため、受診には普段の状況をよく知る家族などの協力が不可欠です。

また、アルコール依存症は大量のアルコール摂取による肝臓や脳への障害、栄養失調などさまざまなトラブルを抱えやすいものです。必要に応じて肝臓の機能をチェックするための血液検査、脳の状態を調べるCTやMRIなどの画像検査が行われることもあります。

治療

アルコール依存症治療の目標は、原則的にはアルコールを一切断つこと(断酒)です。まずは外来治療から試みますが、通院では断酒がなかなか困難な場合、あるいは、内科合併症が重篤な場合には、入院治療の適応となります。

治療にあたっては、まずはさまざまな離脱症状を緩和するために断酒初期のみ抗不安薬を投与します。

アルコール依存症の離脱症状は数日~2週間続くとされており、離脱症状が落ち着いた後は断酒を継続するためのリハビリテーションが行われていきます。治療の進め方は病気を抱える人の重症度や社会的な背景によっても異なりますが、誤った飲酒行動を正すための認知行動療法を集団療法の形で実施し、補助的に、アルコールを摂取すると気分が不快になる作用を持つ抗酒剤や、飲酒欲求が多少とも緩和する抗渇望薬の投与も行います。また、自助グループに継続的に参加することも、長期間の断酒を達成するうえでは非常に効果的と考えられています。

なお、患者が断酒という治療目標に同意しない場合には、ひとまず戦略的に減酒を試みてもらうことで、まずは治療の継続を優先することもあります。

予防

アルコール依存症の予防は、過剰なアルコール摂取を控えることです。

厚生労働省がアルコール依存症の発症リスクが少ないとする1日のアルコール摂取量は、純アルコール換算で20g以下とされています。これは、ビール500ml、日本酒1合、ワイングラス2杯程度に相当します。1日のアルコール摂取量が60g以上になるとアルコール依存症のリスクが高まるとされていますので、適量を心がけるようにしましょう。

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