治療
現在では、アルツハイマー型認知症を根本的に治す治療法はありません。しかし、症状を改善し進行を遅らせる薬はあります。
もの忘れに対してはコリンエステラーゼ阻害薬(リバスチグミン、ガランタミン、ドネペジル)やNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)が用いられ、残っている神経細胞の伝わりをよくするなどして症状の緩和を図ります。
また、もの忘れ妄想や夜間せん妄には抗精神病薬、睡眠障害がある場合には睡眠薬、気分が落ち込む抑うつ状態に対しては抗うつ薬が処方されますが、副作用などの点から強くすすめられるものではありません。
このような薬物療法だけでなく、必要に応じてケアやリハビリテーションも行われます。リハビリテーションとして、ウォーキングなどの運動療法、歌ったり楽器を弾いたりする音楽療法、人物・時間・場所・状況などについて繰り返し質問するリアリティ・オリエンテーション(現実見当識訓練)、過去のことを振り返る回想法などが有効とされています。
セルフケア
アルツハイマー型認知症の方へのケアの基本は、ゆったりと楽しく、自由にありのままに、現状の生活に喜びと自信を持ち、馴染みのある環境を大切にし、地域や自然に触れ合いながら生活できるようサポートすることです。そして“してあげる”ケアではなく、“一緒に過ごす”ケアが望まれます。
また、アルツハイマー型認知症の人にとって、接し方は心身の状態の安定や向上において重要なケアとなります。接し方のポイントとしては以下が挙げられます。
- 放っておかずに見守る
- 分かる言葉で簡潔に話す
- 相手のペースを守る
- 孤独にさせない
- スキンシップを頻繁に取る
- プライドを傷つけない
- 急な環境変化を避ける
- 身だしなみを整える
もの忘れがひどくなってくると同じ質問を何度も繰り返すようになりますが、本人には悪気はなく、わざとしているわけではありません。
ここで怒るとプライドが傷ついたり不安や恐怖感が出たりして介護されたくないと感じるようになります。できるだけ優しく答えてあげるようにしましょう。
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