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コフィン・ローリー症候群
コフィン・ローリー症候群とは、知的面での遅れ、特徴的な顔貌、音や興奮などの刺激で誘発される脱力発作、進行性の脊椎側彎症などを特徴とする疾患を指します。RPS6KA3と呼ばれる遺伝子異常を原因とし...
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コフィン・ローリー症候群こふぃんろーりーしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

コフィン・ローリー症候群とは、知的面での遅れ、特徴的な顔貌、音や興奮などの刺激で誘発される脱力発作、進行性の脊椎側彎症などを特徴とする疾患を指します。RPS6KA3と呼ばれる遺伝子異常を原因として発症することが判明しており、男児のほうが女児よりも症状が重篤になる傾向があります。

コフィン・ローリー症候群は、日本においては難病指定を受けている疾患であり、出生4万人に1人程度の発症率であると推定されています。コフィン・ローリー症候群に対する根本治療法は確立されておらず、症状に合わせた支持療法が中心となります。コフィン・ローリー症候群で認める症状は全身多岐に渡るため、診療科の垣根を越えた包括的な医療が求められる疾患です。

原因

RPS6KA3遺伝子は、情報伝達に重要な役割を果たす遺伝子であると考えられています。RPS6KA3遺伝子は特に脳の形成や発達に重要であり、学習の確立、長期記憶の形成、神経細胞の生存などに関わっていると考えられています。

RPS6KA3遺伝子に異常が生じると、こうした神経系での正常活動が行われる結果、コフィン・ローリー症候群で見られるような知的障害が生じると考えられています。しかしながら、RPS6KA3遺伝子の異常が、何故コフィン・ローリー症候群でみられる全身各種臓器に渡る症状が出現するのかについての全貌は解明されていません。

また、コフィン・ローリー症候群を発症するすべての患者さんでRPS6KA3遺伝子の異常を有している訳ではなく、そのほかの遺伝子異常が病気の発症に関与していることが推察されています。

人の細胞には22組44本の「常染色体」と、X・Yで規定される1組2本の「性染色体」の合計23組46本の染色体が存在しています。性染色体の組み合わせは性別を決定する役割を担っており、男性であれば「XY」、女性であれば「XX」の組み合わせを有することになります。

コフィン・ローリー症候群で原因となるRPS6KA3遺伝子は、X染色体に位置しています。男性はX染色体を1本しか持っていないため、異常なRPS6KA3遺伝子を持つとRPS6KA3遺伝子の働きを代償することができずに、重篤な症状を呈するようになります。一方、女性であれば異常なRPS6KA3遺伝子を示すX染色体を持っていても、残りのXが正常機能を有するRPS6KA3遺伝子を保持する可能性があります。正常なRPS6KA3遺伝子が、異常なRPS6KA3遺伝子の働きを代償することができるため、女性においては男性に比べて症状が軽くなる傾向があります。

病気の原因遺伝子であるRPS6KA3遺伝子はX染色体に位置している関係から、「X連鎖遺伝」と呼ばれる遺伝形式をとります。この遺伝形式では、女性は病気の保因者となり、お子さんに病気が遺伝する可能性が出てきます。男性が異常遺伝子を持つ場合、次世代の娘さんは保因者になり、息子さんには異常な遺伝子は伝わりません。

症状

コフィン・ローリー症候群では、全身の各種臓器に症状が出現することになりますが、神経系に関連した症状が代表的です。また男性の方が、女性に比べて症状が強くなる傾向があります。

神経系に関連した症状として、知的運動面の発達の遅れを挙げることができます。おすわりや歩行は遅れ、言語障害を認めることも多いです。また、「刺激誘発転倒発作」と呼ばれる発作を起こすことも特徴のひとつです。この発作は幼児期以降の20%の患者でみられると報告されており、何かしらの刺激(例えば音刺激や興奮)がきっかけとなり、驚いたようになって力が抜けて転倒します。

またコフィン・ローリー症候群では、あごが小さい、眉毛が濃い、突出した額、長い睫毛、両眼の間が広い、目尻がさがっている、厚い下口唇などの特徴を認めます。 先細りの指を代表とする骨格系の異常をともなうこともまれではありません。特に進行性に脊柱が曲がることもあり、呼吸障害を引き起こすことがあります。

また生命予後を規定しうる疾患として、そのほか各種の先天性心疾患を挙げることができます。心疾患の種類は多岐に渡り、弁膜症、心筋症、大血管異常などさまざまです。 そのほかにも、歯の異常、聴力低下、眼の異常(白内障や網膜色素変性症など)など症状は広範囲です。

検査・診断

コフィン・ローリー症候群はRPS6KA3遺伝子の異常を原因として発症することがあるため、本遺伝子を対象とした遺伝子検査が行われることがあります。しかしながら、すべての症例において本遺伝子異常をともなう訳ではないことには留意が必要です。

コフィン・ローリー症候群では、神経系を中心とした各種合併症を呈することも知られています。こうした合併症を評価するための検査が必要となることもあります。特に、てんかん、心疾患、側彎症は生命予後を規定するものであるため、これらを評価するための検査(脳波や心エコー、レントゲン写真など)は重要です。

治療

コフィン・ローリー症候群を根本的に治療する方法は存在していません。したがって、各種症状に合わせての支持療法が中心となります。 精神・運動の発達障害を認めることから、療育療法が必要になります。

刺激誘発転倒発作は突発的に発症することから、頭部外傷などにつながる可能性があります。発作を抑制するためにセロトニン再取込み阻害薬などの薬が使用されることがありますし、頭部外傷を防ぐことを目的として保護帽や車いすを使用することもあります。

また、てんかんを発症することも多いため、抗てんかん薬が適宜検討されます。 心疾患に対しては、合併症の種類や症状の程度に応じて内服薬や手術的な治療介入が行われます。側彎症は進行性であり呼吸不全を来すようになりますので、コルセットの使用が検討されることがあります。

コフィン・ローリー症候群の症状は、多岐に渡ります。また遺伝性疾患としての性格を持つ部分もありますので、遺伝カウンセリングが必要となることもあります。したがって、コフィン・ローリー症候群は、多方面からの長期的な継続フォローが必要とされる疾患です。