記事1『子どもの誤飲で注意すべき点と適切な対応とは?』では、誤飲(食べ物以外を誤って飲み込んでしまうこと)における緊急対処法と注意点についてお話ししました。今回は、具体的な原因物質や病院での対応に関して紹介します。最近の話題や統計的な傾向についても含め、引き続き、国立成育医療研究センター救急診療科の多賀谷貴史先生にお話しいただきました。
●PTPシート
錠剤タイプの薬が包装されているプラスチック製のシート。消化管を傷つけ、穿孔の危険がある。
●高吸水性高分子(高吸水性ポリマー)
ビーズの玩具、消臭剤、園芸用品などに用いられており、水を吸うと数倍に膨らみ、腸閉塞の原因となる。
食道に停滞している異物は内視鏡や透視下での摘出が原則となります。
食道を通過して胃以降にある場合は、記事1『子どもの誤飲で注意すべき点と適切な対応とは?で述べたように自然排出が期待できるため、原則は経過観察となります。ただし、5cm以上の長さのもの(クリップや髪留めなど)や、裁縫の針などの鋭利な異物は、閉塞や穿孔を来す可能性が高いため、内視鏡にて摘出が必要とされます。
また、これ以外の特殊なケースとして、PTPシートや高吸水性樹脂、2個以上の磁石を誤飲した場合は、食道を越えて胃以降にあっても直ちに摘出します。また、全例ではないものの、ボタン電池も、症状・子どもの年齢・ボタン電池の大きさ・停滞時間などに応じて摘出を考慮します。
緊急性の高いものとしては、以下の物質が挙げられます。
など
医薬品には、大量に飲むと肝障害などの臓器障害を引き起こす薬剤もあります。子どもは体格が小さいため、少量でも強く効き過ぎてしまいます。また、大人が同じ量の薬を飲んだ場合よりも内臓への負担が大きくかかります。PTPシートの誤飲も報告されており、医薬品の管理は特に注意する必要があります。
**医薬品誤飲の増加について**
子どもの誤飲事故は2013年度には531件とされており、2012年度の385件よりも146件増加しています。
誤飲の原因物質は2012年度までタバコが最多となっていました。しかし、2013年度は医薬品の誤飲が一位となり、2012年度よりも39件多く報告されています。これだけ医薬品による誤飲事故が増えているのです。この事実を、医療機関・親御さん双方が理解しておく必要があります。
2012年度(平成24年度) |
2013年度(平成25年度) |
||||
|
件数 |
% |
|
件数 |
% |
タバコ |
99 |
25.7 |
医薬品・医薬部外品 |
96 |
18.1 |
医薬品・医薬部外品 |
57 |
14.8 |
タバコ |
94 |
17.7 |
プラスチック製品 |
40 |
10.4 |
プラスチック製品 |
60 |
11.3 |
金属製品 |
36 |
9.4 |
玩具 |
51 |
9.6 |
玩具 |
33 |
8.6 |
金属製品 |
50 |
9.4 |
洗剤類 |
16 |
4.2 |
硬貨 |
25 |
4.7 |
電池 |
16 |
4.2 |
電池 |
20 |
3.8 |
硬貨 |
15 |
3.9 |
食品類 |
19 |
3.6 |
食品類 |
12 |
3.1 |
化粧品 |
17 |
3.2 |
紙製品 |
8 |
2.1 |
洗剤類 |
16 |
3 |
上位10品目 計 |
332 |
86.4 |
上位10品目 計 |
448 |
84.3 |
総数 |
385 |
100 |
総数 |
531 |
100 |
(2013年度 「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」より一部引用 ※全国7施設の皮膚科医及び全国9施設の小児科医が厚生労働省に事例を報告した数)
医薬品以外で緊急性の高いものとしては、以下の化学物質が報告されており、注意が必要です。
薬品の成分によっては、意識障害やけいれんを起こしたり、呼吸障害を生じたりする場合もあります。
ニュース等でも伝えられているように、洗濯用パック型液体洗剤の危険性が注目されています。子どもが誤って口に入れ、フィルムが破れると、内部の液体洗剤を誤飲することになり、嘔吐、呼吸困難、意識障害などの症状が生じる場合があります。
飲んだ量が少量で、毒物の性質や症状から危険性が低いと判断した場合は、院内でしばらく経過観察を行ったのちに帰宅となることもあります。患者さんが毒物を経口摂取後1時間以内で大量に誤飲した疑いがある場合や、毒性の高い物質を摂取した場合には、胃洗浄(いせんじょう:口から胃へチューブを挿入し、胃内を洗浄、胃内に存在している薬物を吸引すること)が行われます。誤飲後1時間以上経っているようであれば、下剤や活性炭を使用して、腸からの排出を促します。誤飲した化学物質の含有成分が原因で中毒症状を起こしている場合は、症状に応じた拮抗薬を使うこともあります。また、最重症例では、血液浄化療法(血液透析など)を行う場合もあります。
「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。
【先生方の記事が本になりました】
関連の医療相談が10件あります
COPDについて
COPDについてです。 20代で喫煙歴は8年ほどあります。 一日平均5本程度です。 八月に出産して最近タバコを再開しました。 数年前から気になっているのですが、寒い日の朝に息を深く吸うととても強い咳が出ます。痰は出ません。 また、昼間や夜間は出ません。 調べるとCOPDの初期症状と書いてありすごく心配しています。 昨年肺年齢を測ったときに、12歳ほど上の年齢が出ました。 一週間前に別の症状でレントゲンと心電図を撮りましたが異常なしです。 COPDの可能性は高いでしょうか? また、運動時に強い息切れはなく、普通に活動できます。
息苦しさの原因が知りたいです。
私の母は小さい頃から心臓が悪く手術を繰り返しており、現在65歳で弁膜症と診断され不整脈がひどいためアブレーション手術を行いました。 そのようなこともあり、私も念のため検査しておこうと思い、心エコーと心電図、血液検査、レントゲンを行いました。 息苦しさもあるので肺機能も調べてもらいました。 もともと気になっている症状として、 ●低血圧(だいたい上85,下55)←原因不明 ●過去に貧血だった(治療済み) ●すぐ治ったが、不整脈があったことがある(速い連続した脈が5分くらい) ●現在息苦しさがある、食べるときは特にしんどい、深く息を吸えない、楽になる時もある、波がある 検査の結果は、 ●心電図は異常なく、 ●心エコーでは僧帽弁に少しの逆流が見られるとのことでしたが、心配するほどではなく、様子見で大丈夫との事。 ●レントゲンは肺に水が溜まることもなく、心臓肥大も見られないとの事でした。 ●血液検査の結果は血清鉄が45と低めで、そのほかは正常値内で隠れ貧血程度といわれ、薬の処方はありませんでした。 ●肺年齢は52歳でした。(現在28歳です)タバコも吸わないし、原因はいまいちわからず、喘息の薬を処方されました。→現在喘息の吸入薬ブデホルを使用してますが、以前と変わらず息苦しさには波があります。 以上が最近の流れです。 そろそろ薬が切れるので病院に行くのですが、このままでは息苦しさの解明につながるのか不安でこちらで相談させてください。 一点検査結果で気になるのが、僧帽弁の軽度の逆流についてです。少しでも逆流はあるものなのでしょうか? それが、息苦しさに繋がったりはありますか? 低血圧や貧血が原因だったりしますでしょうか? 今は総合内科に受診しているのですが、そのままそちらでの受診で問題なさそうでしょうか?
背中の痛み
2年?くらい前から、時折背中に痛みを感じる様になりました。4~5日続きいつの間にか痛みがなくなります。今回も急に痛みがきまして3日目です。気になるのは咳が少し出るのと高熱ではなく36.8~37.2、熱っぽさがあります。 便秘がちになると痛みが出る時もありました。息苦しいとかは然程ないです。 20代の頃タバコを1日4~5本を3年くらい吸っていました。妊娠を期に30年禁煙していましたが、3年くらい前から1日10本を週2回吸うようになりました。 息をする時に空気が呼吸とは別に漏れている感じがあります。 コロナというより肺がん又は他の病気ではないかと気になります コロナの影響で病院に受診するのにも大変な状況にて、万が一の場合を考え早期に何とかしたい。
急な息苦しさ、胸・喉の詰まる感じについて
先月3/7、友人の車に乗せてもらいました。 車には、仕事で使うシンナーのような匂いが充満していました。 きつい匂いだとは思いましたが、最初は問題なく、そのまま換気せず30分ほど乗車、気分が悪くなりました。 その後、更に悪化し、強烈な目眩(浮動性)、吐き気、動悸、手足の寒気、脱力感、息苦しさで立てなくなり、救急搬送されました。 救急車でのバイタル、搬送先での血液検査、心電図は異常なしとの判断でした。 その日は点滴のみで帰宅しましたが、その日以降、身体的・精神的な刺激があると同様の症状が起こるようになりました。 要因となる刺激の種類は様々で、食事、不安感、匂い、光(眩しく感じる)などです。 中でも匂いと不安感に起因することが非常に多く、今まで良い匂いだと思っていたものもきつく感じます。 発生時間は救急搬送された時と同じ時間帯(18:00~18:30あたり)に集中しています。搬送された日までタバコを吸っていましたが、その日以降吸っていません。 ましにはなってきていますが、症状はほぼ毎日あり、1度起こると数時間続きます。 現在症状が起こると、 息苦しさ、胸・喉が詰まる感じ、脱力感、動悸、めまい、頻尿、胃もたれ感、耳の閉塞感、鼻詰まり、 が起こります。 中でも息苦しさと、胸(心臓?)や喉が詰まる感じがとてもしんどく、死んでしまうのではないかと感じます。 また、後頭部から首の後ろを伝っていくような気持ち悪さがあります。 脳外科、耳鼻科、内科を受診しました。 脳外科でのMRIと、耳鼻科での検査では異常なしでした。 内科ではホルター心電図で検査をしてもらいました。 心電図では、症状が出た付近で期外収縮が連続(7回)で起こっているが、経過観察との診断でした。 期外収縮がはっきり出ていないときでも症状は出ています。 はっきりした原因が分かりません。 自分なりにも調べてみたのですが、 ・シンナーによる急性の中毒 ・肺 ・胃 ・トラウマによる精神的なもの ・化学物質過敏症 ・逆流性食道炎 ・期外収縮の連続 ・心房細動 ・心不全 ・タバコの離脱症状 ・総合的なダメージによる自律神経のバランス崩壊 思い当たるのはこれら、あるいはこれらの複合ぐらいです。 原因となっているものの可能性、対処方法、他の要因の可能性など、何か手がかりはないでしょうか? また、再度診断となるとどこが良さそうでしょうか?
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