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インタビュー

誤飲・誤嚥などの事故を予防するためにできることとは

誤飲・誤嚥などの事故を予防するためにできることとは
多賀谷 貴史 先生

国立成育医療研究センター 救急診療科

多賀谷 貴史 先生

子どもの誤飲と誤嚥(ごえん)は、子どもの不慮の事故の原因としても上位に位置しており、事故を減らすためには予防が重要であるといわれています。誤飲・誤嚥の予防には、子どもの手の届かないところに危険なものを置かないなどの一般的な対策も必要ですが、社会的な事故予防の啓発も大切になってきます。今回は誤飲・誤嚥を中心に、社会が子どもの事故を予防するため知っておくべき事柄について、国立成育医療研究センター救急診療科の多賀谷貴史先生にお話しいただきました。

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0歳 包み、袋 その他の玩具 タバコ 電池 洗剤など
1歳 タバコ 薬剤など その他の玩具 電池 野菜・果物
2歳 薬剤など その他の玩具 魚等の骨 飴玉類 硬貨
3~5歳 その他の玩具 飴玉類 ビー玉類 魚等の骨 薬剤など

子どもの窒息や誤飲の原因 2014年度東京消防管内調査より改変

事故は子どもの発達に応じて起こり得るものです。誤飲・誤嚥の事故は、子どもの発達に伴い生じます。5〜6か月頃から、「ものをつかむ」「口に入れる」ようになり、そこから3歳までは、誤飲・誤嚥の危険性が高い時期が続きます。自分の子どもの年齢に該当する事故には、特に注意するようにしましょう。

誤飲の対策については、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)制作:「子どもを守ろう~誤飲は防げる~」も参照してみてください。

生後5~6か月を越えると、子どもは何でも口に入れるようになります。トイレットペーパーの芯を通る大きさ(約4cm以下)であれば乳幼児の口にも入るため、生後6か月以降は誤飲の可能性が高まります。

誤飲を防ぐために、小さな玩具や器械、薬品、化粧品、医薬品など、誤飲の恐れがあるものはすべて子どもの手の届かない場所に閉まっておくか、あるいは鍵をかけておきます。そのうえで、それぞれが置かれている場所を把握しておきましょう。喫煙者は禁煙を考えてみるのもよいかと思います。

誤嚥しやすい食物は記事3『子どもが誤嚥したとき―どのようなときが危険なのか』で挙げたように、お菓子(飴玉、グミ、ゼリー、お団子)、果物や野菜(イチゴ、りんご、ぶどう、ミニトマト、たくあんなどの漬物)、ピーナッツなどの豆類などです。特に3歳以下では食物の誤嚥が多いため、飴玉やグミなどのお菓子や、ピーナッツなどの豆類を与えることを避けるべきです。果物や野菜はつぶしたり、小さくして与えるなど配慮しましょう。

一方、4歳以降では、スーパーボールなどの玩具の誤嚥が多くなります。口の中に入ってしまうような大きさの玩具では遊ばせないでください。また4歳以降でも、遊びながら食事していると、食物の誤嚥を起こすことがありますので注意が必要です。

また、日本小児科学会にて、Injury Alert(インジャリーアラート:傷害速報)というものも掲載しています。

ここでは、「事故が起きた事実」に関して正確な情報が発信されます。具体的には年齢、性別、傷害の種類(誤飲など)、原因対象物、発生状況、治療経過などが、事例ごとに紹介されています。一般の方でもわかりやすい文章で書かれているため、子どもはどういった状況で事故を起こしやすいかを知ることができます。

これまでも多くの小児科の先生方が、多忙な中で、事故予防に関して精力的に取り組んでこられています。そういった先生方と情報を共有し、協力して、社会的啓発を行っていくことも小児救急医の役割として重要なことだと考えています。

万が一事故が起こってしまった場合は状況を振り返り、同じことが二度と起こらないように徹底します。勿論、我々小児救急医も相談に乗ります。

子どもの事故を予防するためには、医療側とご家族が協力し、事故の発生経緯を理解し、予防策を実行することが求められています。

●すぐに家庭でできる事故予防対策・例

• 4歳になるまで、お菓子(飴玉、グミ、ゼリー、お団子)、果物や野菜(イチゴ、りんご、ぶどう、ミニトマト、たくあんなどの漬物)、ピーナッツなどの豆類を与えることは避ける。野菜や果物は、つぶしたり、小さく切ったりして与える。

• 食べながら遊んだり走ったりすることを避ける。

• 子どもがものを食べるときは1人にしないで、必ず親がそばにいるようにする。

• 口の中に入ってしまうような、小さなもの(玩具など)を子どもの身の回りに置かない(※トイレットペーパーの芯を通過する大きさ(約4cm以下)のものは異物の原因となりえます)。

事故が起きたときの対処法を知ることはもちろん重要ですが、一番大事になのは事故が起こらないような対策を普段から心がけることだと考えます。

救命のための処置は、お子さんの心身に負担をかけることとなります。また、救命できた場合にも、神経学的な後遺症を残してしまうような場合も少なからずあります。

前項で述べたように、医療機関が社会的に啓発していくことも勿論重要ですが、事故を予防するためにはご両親をはじめとしたご家族の協力が不可欠となります。子どもの負担を考慮すると、救急対応自体がなくて済む状況の実現が一番理想的です。社会の意識を変えることはすぐにはできないかもしれませんが、一人一人の意識によって少しずつ変化していくでしょう。

「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。

 

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