だりえーびょう

ダリエー病

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

ダリエー病とは、直径5mm大までのイボのようなブツブツとした発疹が多く出現する皮膚の病気を指します。発疹は、脂漏部(顔や体)や擦過部(鼠径部(そけいぶ)脚の付け根のあたり)、(わき)の下など)に発生しやすく、黄色などの色調を伴う固い病変であり、悪臭を放ちます。

遺伝子の異常を原因として発症する病気であり、両親のいずれかが病気を有している場合、こどもにも発症するリスクがあります。

まれな病気であり1/36,000から1/100,000の発症頻度で、発症の男女差はありません。症状の程度もさまざまですが、感染症の合併などに注意しながら経過をみることが重要です。

原因

ダリエー病は、ATP2A2という遺伝子に異常が生じることを原因として発症します。常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとり、両親いずれかが病気を有している場合、こどもが発症する確率は理論的には50%とされます。

この遺伝子に異常が生じることで細胞内のカルシウムバランスが崩れ、細胞同士の密着度が弱くなってしまうことから発症します。皮膚の細胞はレンガで敷き詰められた壁のように細胞同士が密接しています。この細胞同士の接着は強固であり、外的な刺激で簡単にはがれないような仕組みになっています。

こうした細胞同士の強固な密着は、細胞内のカルシウム濃度が適切に保たれることによって保持されています。細胞内のカルシウム濃度調節の重要な因子のひとつとしてATP2A2遺伝子が挙げられます。

症状

ダリエー病の皮膚症状は、10~20歳頃に現れることが多いです。

日光や熱、汗、摩擦などの刺激によって皮膚症状が起こりやすく、脂漏部(顔面など)や擦過部((わき)の下、手のひらや鼠径部(そけいぶ)(脚の付け根のあたり)など)に多くみられます。発疹が多発し、かゆみ、かさぶた、水ぶくれや、爪の周囲に症状が現れると爪自体が変形してしまうこともあります。

また、ダリエー病は皮膚のバリア機構が損なわれる病気であるため、細菌やヘルペスウイルスなどの感染が合併することもあります。この場合には、ダリエー病そのものの皮膚病変に加えて、悪臭を伴いさらに皮膚症状が悪化します。

皮膚病変以外の症状として、口腔内や食道、膣などの粘膜に病変を伴うことがあります。さらに、ATP2A2遺伝子が脳組織にも発現しており、軽度の知的障害やてんかん、うつ、発達障害などが起こることもあります。

検査・診断

ダリエー病は、家族歴(患者の家族や近親者の病歴や健康状態、死因などの記録)や皮膚症状をもとにして病気が疑われます。

具体的な検査としては、皮膚病変を一部だけ採取し、顕微鏡的観察を行います。そこで、ダリエー病に特徴的な変化があるかどうかを確認することがあります。

また、血液を用いた遺伝子検査を通して病気を診断することもあります。

治療

ダリエー病の治療は、症状に合わせた対症療法が主体となります。ただし、重症度はさまざまであり、必ずしも治療を要するケースばかりではありません。

治療を行なう場合は、皮膚の湿潤環境を保つために保湿薬を使用します。また、炎症が見られる場合には、副腎皮質ステロイド外用薬も使用します。皮膚症状が重篤(非常に重い)な場合には、レチノイドの内服治療が行われます。

ダリエー病は、汗や紫外線などの外的な要因で症状が悪化するため、汗をこまめに拭く、汗をかきにくい服装を心がける、紫外線を避けるなどの対策を行うことも重要です。

また、細菌やヘルペスなどの感染症が合併することもあるため、これら感染症の合併が疑われる場合には、抗菌薬や抗ウイルス薬など病原体に応じた治療薬が使用されます。

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