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チョコレート嚢胞

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

チョコレート嚢胞は、子宮内膜症という病気のひとつです。卵巣に月経血成分が貯留することで卵巣が腫大した状態を指します。性成熟期(20~30歳代)に多くみられます。子宮内膜症とは、子宮内膜様の組織が子宮内面以外の場所に発生する病気です。チョコレート嚢胞は、子宮内膜症を有する女性に併発する病気と考えられています。

子宮内膜症もチョコレート嚢胞も、重い月経痛を引き起こしたり、慢性的な骨盤痛を引き起こしたりすることがあります。特にチョコレート嚢胞は、まれですが、がん化のリスクがあることに注意が必要です。

原因

チョコレート嚢胞の原因は子宮内膜症です。子宮内膜症の原因は解明されていませんが、何らかの理由で子宮内面以外の部位に子宮内膜様の組織が発生することで生じるとされています。子宮内膜症が卵巣内部に発生した場合、卵巣の腫大がみられます。

卵巣の腫大は、月経のたびに卵巣内部で少量の出血が生じ、徐々に血液成分が貯留していくことによって起こります。これがチョコレート嚢胞といわれる状態です。チョコレート嚢胞は、左右にある卵巣の片側もしくは両側に発生することがあります。 

症状

チョコレート嚢胞の代表的な症状は、月経を重ねるごとに強くなる月経痛、骨盤痛、性交痛、排便痛などです。これらの症状は必ずしも全て現れるわけではありませんが、月経痛は多くの場合にみられます。不妊症の原因になることから、不妊症の検査を受けた際に初めて発見されるケースがあります。

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また、頻度は低いものの、チョコレート嚢胞の中身(古い出血成分)が骨盤内に漏れだすこと(破裂)や、病変周囲に感染を合併すること(卵巣瘍)があり、このとき強い痛みや発熱が生じる場合があります。 

検査・診断

まずは、問診による月経周辺症状の確認が重要です。骨盤痛や性交痛の有無に関する情報も診断の助けになります。さらに、チョコレート嚢胞の診断には、卵巣腫大の確認が必要です。そこで、内診や経腟超音波検査も行われます。内診と超音波検査で確定診断されることが多いものの、他の卵巣嚢腫と区別が難しいときや、手術が検討される場合には、MRI検査が追加されることもあります。特に、悪性腫瘍(卵巣がん)かどうか判断するためには、MRIが重要となります。 

また、血液検査により腫瘍マーカー(特にCA125)を調べる場合があります。子宮内膜症やチョコレート嚢胞では、CA125が上昇することがあるためです。ただし、すべての患者さんに上昇がみられるわけではなく、CA125が上昇していてもほかの病気が原因という可能性もあるため、一般的には腫瘍マーカーのみで診断されることはありません。治療効果の判定や再発の早期発見のため、補助診断のひとつとして利用される方法です。

治療

治療方針は、年齢、症状の度合い、病変の部位、妊娠希望の有無などを総合的に考慮して選択されます。治療法は、薬物療法と手術療法に大別されます。

薬物療法

薬物療法では、主にホルモン剤が使用されます。ホルモン剤は、低容量ピル、GnRHアゴニスト、ジエノゲストなど数種類あり、それぞれ特徴が異なります。主治医としっかり相談して決定しましょう。

手術療法

手術療法には、卵巣摘出、嚢胞摘出、嚢胞焼灼術などがあります。症状が非常に強い場合や、積極的な妊娠希望がある場合は、一般的には嚢胞摘出術が実施されます。主治医とよく相談して決めていくことが大切です。

妊娠・出産希望がない場合は、根本的な治療として、卵巣摘出術が選択肢に入ります。近年では腹腔鏡手術の発達が目覚ましく、チョコレート嚢胞に対する手術では、多くの病院が腹腔鏡手術を導入しています。 

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