とるえんちゅうどく しんなーちゅうどく

トルエン中毒・シンナー中毒

最終更新日:
2024年10月24日
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2024/10/24
更新しました
2017/04/25
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概要

トルエン中毒・シンナー中毒とは、シンナーに含まれるトルエンなどが何らかの形で体に吸収されることにより、中毒症状を引き起こすことをいいます。シンナーとは、接着剤や塗料を薄める際に使う液体の総称で、成分は用途によってさまざまです。トルエンやキシレンが主成分であることが多いものの、中にはメチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチルなどが含まれるものもあります。

シンナーやその成分は有機溶剤とも呼ばれ、常温では液体ですが気体へと変化しやすい性質(揮発性(きはつせい))を持つため、使用する際は換気が必須です。換気の悪い場所で使用すると成分が肺などから体の中へ吸収され、中毒症状が現れます。中毒症状としては、酩酊状態になったり、頭痛めまい、吐き気などが現れたりするほか、意識障害や幻覚、幻聴、脳萎縮が起こる場合もあります。

なお、シンナーは事故だけでなく、意図的に乱用されるケースもあります。方法を問わず体の中に大量に吸収されると、麻酔作用による呼吸抑制が起こり死に至る場合もあります。誤って飲んでしまった場合、無理に吐き出そうとして誤嚥(ごえん)によりシンナーが気管に入ると化学性肺炎を引き起こすため、速やかに医療機関を受診することが大切です。

原因

トルエン中毒・シンナー中毒の原因は、何らかの方法でトルエン、あるいはそれを含んだシンナーが体の中に入ることです。たとえば、換気の悪い場所でシンナーを使用することにより揮発したシンナーを吸ったり、誤ってシンナーを飲んだりすることによって起こることがあります。

症状

トルエン、あるいはそれを含んだシンナーを吸入したり、飲んだりした場合の中毒症状として、はじめは多幸感をもたらしますが、頭痛めまい、耳鳴り、吐き気、嘔吐、不整脈、意識障害などが生じます。また、幻覚、幻聴などが生じて異常行動を取るようになる場合もあります。トルエン中毒・シンナー中毒になると、肺や心臓、肝臓、腎臓などの各臓器に影響を及ぼし、呼吸困難や心室細動肺水腫などの合併症が生じると命にも関わります。シンナーの吸入を長期にわたって行い慢性中毒に至った場合では、血液がうまく作られなくなったり、脳が萎縮して元に戻らなくなったりする危険もあります。

検査・診断

トルエン中毒・シンナー中毒が疑われる場合、まずはシンナーを吸い込んだり、飲み込んだりしたことがあるかどうかを確認します。患者の吐いた息や衣服などから石油の匂いがした場合は強く疑われます。

トルエン中毒・シンナー中毒では化学性肺炎を引き起こすことがあるため、胸部X線検査による肺の所見や、血液検査・パルスオキシメーターなどによる血液中の酸素濃度などを確認し、肺炎の有無を調べます。そのほか、心電図検査や肝機能、腎機能を調べる検査に加え、トルエンやシンナーの影響による脳の損傷が疑われる場合は、MRI検査も実施します。

治療

トルエン中毒・シンナー中毒の治療は、どのようにシンナーが体の中に入ったかによって異なります。また、衣服が汚染されている場合は、周囲への二次汚染の原因となる可能性があるため衣服を交換します。

シンナーを吸った場合

シンナーの吸入による中毒の場合、まずは応急処置として通気のよい場所へ移動させ、様子を見ます。時間の経過とともに症状が治まることもありますが、なかなかよくならない場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。

シンナーを飲んだ場合

吐かせようとすると、かえって誤嚥する可能性があり、命に関わることもあるため速やかに医療機関を受診しましょう。医療機関では点滴など症状に対する治療が行われます。

目や皮膚に付いた場合

目や皮膚に付いた場合には、まず流水で洗い流すことが大切です。特に目に入った場合には、15分以上流水でよく洗い流したうえで眼科を受診しましょう。

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