治療
フェニルケトン尿症の治療は、無Pheミルク、低タンパク食などによる食事療法が治療の第一選択です。Phe摂取量をコントロールして、血中Phe濃度を適正に保つことが重要です。ただし、Phe は体内で作ることのできない必須アミノ酸なので、制限のし過ぎも問題となります。また食事療法は摂取できる食事の内容に制限があり、生涯にわたって継続する必要があるため、患者やその家族の負担が大きいとされています。
また、フェニルケトン尿症(PAH欠損症)であるのに、BH4の投与により血中Phe濃度が低下する場合を、BH4反応性PAH欠損症と呼びます。BH4反応性PAH欠損症の軽症例では、BH4の投与により食事療法をやめられる場合があり、またやめられない例でも食事制限の緩和ができます。
アメリカでは2018年5月から、ヨーロッパでは2019年5月からフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を皮下注射する治療法が臨床現場で開始されています。日本では2023年3月にPAL製剤は製造販売承認を受けており、今後使用可能になると考えられます。PALによる治療は、従来の治療法で血中Phe濃度を適正に保つことができない15歳以上の患者が対象です。
これら食事療法以外の治療法の開発によって治療の選択肢が広がり、患者のQOL(生活の質)の改善を目指せるようになっています。
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