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ふぇにるけとんにょうしょう

フェニルケトン尿症

概要

フェニルケトン尿症(PKU)とは、先天性代謝疾患の一つであり、アミノ酸の一種類であるフェニルアラニンをうまく代謝できないことから発症します。2019年現在の日本では、赤ちゃんが出生してから数日経ったのち、産院に入院している間に血液検査を行います。これを新生児マススクリーニングと呼び、先天的な病気の有無を確認します。この検査によってフェニルケトン尿症を診断されることも多く、日本では、1977年より新生児マススクリーニングが開始されて以後、500人以上の患者が発見されています(2019年7月時点)。なお、国内における発生率は7万人に一人と言われています。

治療介入がうまくいかない場合、フェニルケトン尿症に伴うさまざまな合併症が生じます。こうした合併症を未然に防ぐため、過剰なフェニルアラニンを摂取しないような食事療法が必要になります。適切な食事療法を行えば、健康な人と遜色(そんしょく)のない生活を送ることは十分期待できる病気です。

原因

人が体外から摂取するタンパク質には、さまざまな種類のアミノ酸が含まれています。その一つに「フェニルアラニン」と呼ばれるアミノ酸を挙げることができます。これを適切に体内で利用するためには、「フェニルアラニン水酸化酵素」と呼ばれる酵素が必須です。この酵素を産生するのに深く関わる遺伝子として「PAH遺伝子」がありますが、この遺伝子に異常が生じることでフェニルケトン尿症は発症します。

PAH遺伝子に異常があると、フェニルアラニン水酸化酵素のはたらきが障害を受け、その結果フェニルアラニンの代謝が適切に行われなくなってしまいます。フェニルアラニンが過剰に体内で蓄積すると、脳細胞に障害を引き起こすようになり、けいれんを始めとした重篤な症状が出現します。

症状

フェニルケトン尿症は、新生児マススクリーニング対象疾患となっていることから、病状が進行した重篤な症状で発見されることは少ないです(2019年7月時点)。また、フェニルケトン尿症が発症するには、タンパク質に含まれるフェニルアラニンが蓄積するまでの時間が必要なこともあり、新生児期にはほとんど症状はなく生後数か月間は健康な乳児と遜色はありません。

脳細胞はフェニルアラニンに対して感受性が高く、神経組織はこれによる障害を受けやすい臓器です。そのため、血液中のフェニルアラニン値の高値が持続すると、アミノ酸のバランス異常や、さまざまな神経伝達物質の合成障害を合併するため、哺乳障害やけいれん、発達遅滞などの神経症状を発症することになります。長期的には知的面や行動面にも影響を及ぼすようになります。また、フェニルケトン尿症では、メラニンの生合成ができなくなり、赤毛や色白などの色素欠乏症をきたします。さらに、特有のネズミ尿臭のある尿が見られることがあります。

なお、お母さんがフェニルケトン尿症を抱えている場合、食事療法がうまくいっていないと、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で過剰なフェニルアラニンに暴露されることになります。その結果、赤ちゃんそのものはフェニルケトン尿症を抱えていないにもかかわらず、成長障害や発達障害小頭症や心疾患などといった症状が出現します(マターナルPKU)。

検査・診断

フェニルケトン尿症は、新生児マススクリーニングの対象疾患になっています。検査自体は簡便であり、母乳もしくはミルク摂取が開始された生後数日、産院で入院している赤ちゃんが対象に行われ、足の裏から血液を採取して検査が行われます。この検査では、血液中に過剰なフェニルアラニンが存在しないかどうかを検索します。そのほかの原因による高フェニルアラニン血症の鑑別に、PAH遺伝子異常の検索や負荷試験を行うこともあります。

治療

フェニルケトン尿症の神経障害が発生すると、不可逆的な障害を残してしまいます。そのため、治療の主眼は合併症を予防することであり、食事からのフェニルアラニンの摂取量を抑えることが重要です。全年齢層を通じて、フェニルアラニンを除去した特殊ミルクが活用されています。 また、野菜や芋、果物を中心とした低タンパク食を導入することも有効です。その一方でフェニルアラニンは成長には必要不可欠なアミノ酸でもあるため、完全に除去するのではなく適正量を摂取することも必要です。

食事療法は生涯を通じて行う必要があります。妊娠を含むライフイベントに際して、適切なコントロールや周囲の理解も必要になる場面も多いです。

一部のタイプの高フェニルアラニンの患者さんでは、テトラヒドロビオプテリンと呼ばれる薬が適応になることもあります。

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