ぽんぺびょう

ポンペ病

同義語
糖原病II型
最終更新日:
2020年07月02日
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2020/07/02
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概要

ポンぺ病はグリコーゲン(糖原)を分解する酵素の機能が低下するため骨格筋や肝臓、心臓などにグリコーゲンが蓄積する病気です。グリコーゲンの分解に必要な酵素は細胞の中の“ライソゾーム”と呼ばれる細胞内の小器官の中に存在するので、ポンぺ病はライソゾーム病に分類されています。

ポンぺ病は遺伝性の病気で、発症の時期や症状の現れ方に個人差があります。一般的には、発症時期によって“乳児型”“小児型”“成人型”に分類され、年齢が低い時期に発症するタイプほど重症化しやすく進行も早いのが一般的です。乳児型は生後数か月以内に筋力の低下が現れ、心不全などを引き起こして早期に死に至る病気でした。しかし、近年では不足しているグリコーゲンの分解を担う酵素を補充する治療方法が確立し、救命できるケースも多くなっています。

原因

ポンぺ病はグリコーゲンの分解に必要な酸性α-グルコシダーゼと呼ばれる酵素のはたらきが生まれつき悪い、あるいは生まれつき産生されないことが原因で引き起こされる病気です。

酸性α-グルコシダーゼは細胞内に存在するライソゾームと呼ばれる小器官に存在しており、グリコーゲンの分解ができなくなることによって主に骨格筋や肝臓、心臓の細胞内のライソゾームにグリコーゲンが蓄積するようになります。その結果、骨格筋、肝臓、心臓などにダメージを与えるようになると考えられています。酸性α-グルコシダーゼの機能や産生量の低下は“GAA遺伝子”の変異によって引き起こされ、常染色体劣性遺伝の形式で遺伝することが明らかになっています。

症状

ポンぺ病の症状の現れ方、発症時期は人によって大きく異なり、一般的には発症時期によって“乳児型”“小児型”“成人型”の3つのタイプに分けられます。

乳児型は生後2か月頃から症状が現れ始め、哺乳量の低下や筋力が低下することによる首の座りなど運動発達の遅れが目立つようになります。このタイプは急激に重症化するのが特徴であり、心臓の筋肉や呼吸に必要な筋肉にもダメージが加わることで心不全や呼吸障害を引き起こし、未治療のままでは2歳までに死に至るとされています。

小児型は生後6か月頃から幼児の間に筋力の低下が目立つようになります。乳児型に比べて進行スピードは緩やかで、また心臓へのダメージが生じないこともあります。しかし、最終的には呼吸に必要な筋肉のダメージによって正常な呼吸ができなくなったり、肺炎などにかかりやすくなったりすることにより、治療をしなければ20~30歳頃に死に至るとされています。

成人型は、10歳以降に太ももなどの体の中心に近い部分の筋力低下が現れ、徐々に運動機能や呼吸機能の低下が生じるようになります。命に関わるような心不全などを併発することは通常ありません。また、症状の程度には幅があり、ほとんど目立った症状がないまま一生を終えるケースもあれば、最終的には車椅子や人工呼吸器の使用が必要となるケースもあります。

検査・診断

症状や家族の病歴などからポンぺ病が疑われるときは次のような検査が行われます。

血液検査

ポンぺ病では骨格筋や肝臓、心臓などにダメージが生じるため、筋肉のダメージを反映するクレアチンキナーゼ(CK)や肝臓へのダメージを反映するASTやALTなどの検査値が上昇します。

画像検査

ポンぺ病では全身のさまざまな部位に異常が生じうるため、それぞれの症状に合わせた画像検査が行われます。具体的には、心不全症状のある乳児型では心臓の状態を調べるための心臓超音波検査が行われたり、肝機能が低下している場合には肝臓の腫れの有無などを調べるためにCT検査などが行われたりします。

筋生検

症状のある筋肉の一部を採取して顕微鏡で細胞の状態を詳しく調べる検査です。筋肉内の状態を調べるために有用な検査ですが、手技が大変なので最近はあまり行われなくなっています。

酵素活性測定

白血球、培養した皮膚、筋生検で採取した筋肉を用いて酸性α-グルコシダーゼ活性を測ります。確定診断のために必須の検査です。

治療

ポンぺ病は遺伝子の変異によって引き起こされる病気であるため、根本的に病気を治す方法は現在のところありません(2020年6月時点)。

そのため、治療の目的は症状の進行を極力抑えることが主体となります。現在では、不足した酸性α-グルコシダーゼと同じ作用を持つ薬を2週間に一度投与する“酵素補充療法”が行われます。蓄積したグリコーゲンによってダメージを受けた筋肉などの細胞は修復が難しいため、この治療は発症前または発症直後から開始するのが望ましいと考えられています。その他、筋力や呼吸機能を維持するためのリハビリテーションを行ったり、心不全に対する薬物療法を行ったりするなどそれぞれに現れる症状を改善し、病状の進行を食い止めるための治療を行います。

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