らいそぞーむびょう

ライソゾーム病

別名:リソソーム蓄積症
脳

目次

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概要

ライソゾームは、細胞内で不要となったタンパク質や老廃物を分解して掃除する役目を担っている細胞内小器官のひとつです。ライソゾーム病とは、生まれつきの遺伝子異常により、このライソゾームのはたらきが悪くなることで、体内臓器にさまざまな程度で壊れない物質が蓄積して、種々の臓器障害を来す病気です。障害される遺伝子の異常によりゴーシェ病、ニーマンピック病、クラッベ病などの病気に分類されています。

ライソゾーム病は、日本においては難病指定を受けた病気のひとつです。これによると、10〜20万人に1人の方が病気を抱えると報告されています(2019年7月時点)。

まれな病気ながら、重篤な症状をもたらすことがあるライソゾーム病は、病気のタイプに応じてさまざまな治療方法が選択されます。具体的には、酵素補充療法、造血幹細胞移植などを例に挙げることができます。病気の経過は患者さんによってさまざまであり、高い専門性が要求されます。そのため、診療に長けた医療機関にて診療を受けることが、とても大切な病気であるといえます。

原因

ライソゾーム病は、生まれつきの遺伝子異常を原因として引き起こされると考えられています。ライソゾーム病でかかわる遺伝子の異常は、細胞内の器官であるライソゾームのはたらきに悪影響をもたらします。ライソゾームとは細胞内の不要な物質を処理するのに必要不可欠な場所であり、ここが適切にはたらかなくなることで、さまざまな不具合が生じるようになります。

遺伝子異常を基盤として発症するライソゾーム病は、遺伝子異常に応じたさまざまな病型分類が存在します。また、原因となる遺伝子異常に応じて「常染色体潜性遺伝」、「X連鎖性潜性」などといった遺伝形式をとることも知られています。遺伝形式によって、両親が保因者となってお子さんが一定の確率で病気を発症することになります。

症状

ライソゾーム病による症状は、年齢を経るにつれて徐々に明らかになってきます。ライソゾームによる影響は全身各所に及ぶ可能性があり、たとえば、脳、神経、骨、関節、心臓、肝臓、皮膚(ひふ)などを例に挙げることができます。

ライソゾーム病を発症すると、おすわりができない、歩けない、それまでできていた動作ができなくなるなどの症状がみられることがあります。また、喋るのが遅れるといった状況から病気が疑われることもあります。

さらに、ライソゾーム病では、関節が硬くなり、うまく手足を動かせないこともあります。その結果として、寝たきりになることを余儀なくされ、食事や療養など生活動作のサポートを必要とすることもあります。

ライソゾーム病では、心臓や腎臓などにも影響が及ぶ可能性があり、結果として、息苦しさやむくみ、疲れやすさなどの症状につながることもあります。

さまざまな症状がみられうるライソゾーム病ですが、患者さんにより重篤度は大きく異なります。病気のために幼少期に命を落とす患者さんがいる一方、病気とうまく付き合いながら生活を送ることができる方もいます。

検査・診断

ライソゾーム病では、ライソゾームで不足する酵素タンパクの活性を測定するための検査が行われます。また、体内で異常な物質が蓄積することも特徴の一つであり、異常物質の蓄積具合を評価することも考慮されます。さらに、原因遺伝子を同定するために、遺伝子検査も行われることがあります。これらの状況を評価するために、血液、皮膚、尿などを採取します。必要に応じて、羊水を用いた出生前診断が検討されることもあります。

ライソゾーム病は、全身各所に異常がみられる病気です。臓器障害の程度を評価するために、血液検査やレントゲン写真、心電図検査、超音波検査、尿検査、呼吸機能検査、頭部MRI検査などが行われることもあります。

治療

ライソゾーム病はさまざまな病型を含んでおり、病型に対応した治療方法を選択することが求められます。具体的には、酵素補充療法、造血幹細胞移植、シャペロン療法、基質削減療法などを例に挙げることができます。もっとも使用される頻度の高い酵素補充療法では、体内に不足する酵素を毎週などの頻度で投与します。そのほか、リハビリテーション、人工呼吸器の使用、透析の導入なども病状に合わせて検討されます。さらに、ライソゾーム病が遺伝子疾患であることと関連して、遺伝カウンセリングが必要とされる場面もあります。

ライソゾーム病は一朝一夕で完治するものではなく、長期的な対応が必要とされます。そのため、病状を正確に把握したうえで、診療に長けた医療機関において継続的な経過観察を受けることが重要です。