概要
ゴーシェ病とは、グルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子の異常を原因として発症する病気を指します。ライソゾーム病の一つに分類されます。
グルコセレプロシダーゼの活性の低下によって、グルコシルセラミドと呼ばれる糖脂質の代謝ができなくなり、それら物質が細胞内に蓄積されていきます。その結果、特に肝臓や脳、骨などの各臓器に異常をきたします。具体的には、肝臓の腫れ、発達の遅れ、貧血や骨折などの病状がみられます。
遺伝子の異常を基盤として発症するゴーシェ病では、不足する酵素を定期的に補充する治療方法が選択されます。また、必要に応じて対症療法的に呼吸のサポート、抗けいれん薬の使用などが適宜行われます。
原因
ゴーシェ病は、糖脂質を代謝する酵素であるグルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子の異常を原因として発症します。遺伝子異常の結果、酵素の活性が低下して糖脂質が細胞内に蓄積し、特徴的な症状が引き起こされます。
ゴーシェ病は、常染色体劣性遺伝と呼ばれる遺伝形式を取ります。この遺伝形式では、両親は、病気の原因となる遺伝子異常をひとつ有していますが病気の発症には至らず、保因者となります。しかし、両親から1本ずつ異常がある遺伝子をお子さんが受け継ぐ際に病気の発症に至ります。このため発症頻度は少なく4~6万人に一人と推定されます。
症状
ゴーシェ病では、神経や肝臓、骨髄などに関連した症状がみられる可能性があります。神経症状は多様であり、けいれんや、体が後ろに反る、眼球の動きの異常、発達遅延などがみられます。
また、飲み込みや呼吸にも障害が生じることがあり、哺乳がうまくできない、呼吸を自力でうまくすることができないなどの症状につながることもあります。
また、ゴーシェ病では肝臓の腫れ、脾臓の腫れ、骨の異常をみることがあります。これらに関連して、貧血、血小板減少、骨の変形や骨の脆さ、骨折のしやすさなどの症状がみられることがあります。
全身各所に症状がみられる可能性のあるゴーシェ病ですが、みられる症状は患者さんによってさまざまです。また、初発症状(初めて発する症状)がみられる年齢にも違いがあり、小児期から成人期まで幅広いことが知られています。
検査・診断
ゴーシェ病が疑われた際には、血液検査や脳波検査、超音波検査、レントゲン写真、MRI検査、骨髄検査などを行い、肝臓や脾臓、脳や骨、血液などにみられる機能障害や状態を確認することが検討されます。
また、ゴーシェ病では、皮膚を用いてグルコセレブロシダーゼのはたらきが衰えていることを確認するための検査も行われます。
また、遺伝子検査を行うことで遺伝子異常を検索することもあります。
治療
ゴーシェ病は、グルコセレブロシダーゼ酵素が不足している病気です。そのため、不足している酵素を点滴薬として補充することが治療方法として選択されます。この際、点滴薬は、2週間に1回の補充が必要とされます。
また、骨髄移植が行われることもありますが、移植のリスクもあり対象患者は限定されます。さらにグルコセレブロシダーゼが分解するグルコシルセラミドの合成を抑制する基質合成抑制療法と呼ばれる治療方法もあります。
そのほか、ゴーシェ病では生じる症状に対応して、対症療法的な治療方法を立案することも重要です。けいれんが生じている場合には、抗けいれん薬が使用されます。哺乳障害が生じている際には、栄養摂取を促すことを目的として、鼻から胃に挿入されたチューブを介して直接的に胃に栄養を送ることもあります。
また、胃瘻増設が検討されることもあります。さらに、呼吸障害に対しては酸素や気管切開による呼吸サポート、筋肉の張りに対してはリハビリテーションと、適宜状況に応じた治療方法が選択されます。
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