治療
ライソゾーム病を完全に治す治療法は現在ありませんが、いくつかの治療によって症状を改善させたり、症状の進行を遅らせたりすることができます。
もっともよく行われる治療法は“酵素補充療法”です。ほかに“造血幹細胞移植”、“基質合成抑制療法”、“シャペロン療法”、臨床研究中のものとして“遺伝子治療”があります。
酵素補充療法は、足りない酵素を点滴によって体外から補う治療法です。点滴は1~2週間に1回行う必要があり、定期的に続ける必要があります。全身のさまざまな症状を改善するとともに病気の進行を遅らせることが期待できるというメリットがあります。一方で、中枢神経には効果が出にくいといわれています。
造血幹細胞移植とは、骨髄や臍帯血に含まれる“造血幹細胞”と呼ばれる血液の元となる細胞を移植する方法です。早期または発症前、あるいは脳に症状がある場合に選択肢となります。リスクは比較的高いですが、移植した細胞がうまく体に定着すれば一度の治療で効果が持続します。
基質合成抑制療法は、分解されずにたまっていく物質そのものを作られにくくするものです。シャペロン療法は、残っている酵素のはたらきを強くすることで、たまった物質の分解を促す方法です。ともに飲み薬による治療で、そのほかの治療よりも簡便で患者さんの生活の質(QOL)向上が期待できます。
いずれの治療法も対象となる病気が限られており、症状や進行具合によって治療内容の調整が必要です。また、ライソゾーム病の治療法には現在開発中のものも少なくありません。治療に際しては十分な専門性を備えた医療機関で相談するとよいでしょう。
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