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中皮腫
肺の外側や心臓の外側を覆っている薄い膜様組織の総称を「中皮」と呼びます。中皮腫とは中皮から生じるがんで、発生した部位により「胸膜中皮腫」「心膜中皮腫」「腹膜中皮腫」の3種類に分類できます。中皮腫...
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肺

中皮腫(ちゅうひしゅ)

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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中皮腫とは

肺の外側や心臓の外側を覆っている薄い膜様組織の総称を「中皮」と呼びます。中皮腫とは中皮から生じるがんで、発生した部位により「胸膜中皮腫」「心膜中皮腫」「腹膜中皮腫」の3種類に分類できます。中皮腫のなかでも最も多いのは、「悪性胸膜中皮腫」と呼ばれる病気であり、中皮腫全体の80%程度を占めます。悪性胸膜中皮腫は、アスベストへの暴露を原因として発症することがあり、労災認定の対象となることもある疾患です。

中皮腫の診断を早期の段階に行うことは必ずしも容易ではないことも多く、病状が進行してしまってから病気を指摘されることもあります。中皮腫の治療成績は十分であるとはいえず、発症してから1年以内に亡くなることが多いです。アスベストとの関連性で発症することの多い中皮腫ですが、暴露後数十年経ってから病気を発症することもあります。今後も中皮腫を発症する方がいらっしゃることも想定されており、さらなる治療成績向上に向けての努力がなされているところです。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

原因

肺の外側や心臓の外側を覆っている薄い膜様組織の総称を「中皮」と呼びますが、中皮細胞から発症する悪性腫瘍のことを「中皮腫」と呼びます。中皮が存在する部位にはさまざまであり、胸腔を覆う中皮は「胸膜」、心臓を覆う中皮は「心膜」、腹腔を覆う中皮は「腹膜」とそれぞれ呼ばれます。そのため、中皮腫が発生した部位に応じて「胸膜中皮腫」「心膜中皮腫」「腹膜中皮腫」とそれぞれ呼ばれています。このなかでも最も多いのは胸膜で発症する「悪性胸膜中皮腫」であり、全体の80%ほどを占めるとされています。

中皮腫は、アスベストという化学物質を長期的あるいは大量に体内にとりこむことを原因として発症します。アスベストを原因として発症する中皮腫は、短期間の暴露でも発症するリスクがありますし、数十年経過してから中皮腫を発症することもあります。

アスベストは針のような細い線維状の形態をとる物質であり、呼吸を介して経気道的に肺に取り込まれると肺組織を損傷することになります。アスベストはその後肺の外(すなわち中皮が存在する空間)へと移ります。肺の外に飛び出たアスベストの線維は、規則正しく反復される呼吸運動によって上下左右に胸膜を引っ掻き、胸膜細胞を傷害し続けます。傷ついた胸膜細胞が修復され、アスベスト線維によって再び傷つけられるということを繰り返すうち、何らかの発がん因子が作用して中皮腫を発症するのではないかと推定されています。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

症状

中皮腫は、がんが発生した部位によって症状が異なります。最も多い悪性胸膜中皮腫では胸水の貯留が出現します。胸水が存在すると肺による呼吸活動が阻害されることとなり、呼吸困難を呈することになります。経過中、咳や肋間神経痛を発症することもあります。心膜に発生する中皮腫では、心臓の周りに過剰な液体が貯留することとなります。その結果、心臓がうまくポンプ機能を発揮できなくなり、心不全徴候を発症するようになります。腹膜に発生する腹膜中皮腫においては、腹水の貯留を認め腹部膨満を呈するようになります。

中皮腫ではその他にも、発熱や体重減少といった全身症状も伴うようになります。しかし、いずれの症状も中皮腫特異的なものではなく、必ずしも早期の段階からそれと疑うことは容易ではありません。

より詳しい情報は、記事①記事②をご参照ください

検査・診断

中皮腫では、画像検査を通して液体成分の貯留を確認します。具体的には、胸部単純レントゲン写真や超音波検査、CTなどを用いて液体成分を確認し、また同時に中皮腫そのものの腫瘍本態を同定することになります。またPETと呼ばれる検査を行うことで、病勢を評価することもあります。

中皮腫の診断は、がん細胞を同定する病理検査を元にしてなされます。胸水や腹水、心嚢液といった余分な液体成分や病巣本態の組織を採取して(生検と呼びます)、顕微鏡を用いて悪性細胞を同定することになります。細胞の取り方は針生検、胸腔鏡検査、腹腔鏡検査などがあります。悪性胸膜中皮腫の場合には胸腔鏡検査を行うことが多く、カメラを胸腔の中に入れて細胞を生検する検査なります。こうした検査でうまく細胞が採取できない場合には、手術にて検体を採取します。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

治療

中皮腫の治療は、基本的には手術、化学療法、放射線療法からなります。手術療法では侵襲性が高いものもあり、術後の著しいQOL低下をみることもあります。また必ずしも再発リスクは低くはありません。手術療法を行う際には、そもそも手術を受けることが本当に最良の選択かどうかを慎重に判断することが求められます。化学療法では、ペメトレキセドとシスプラチンという薬を併用して投与します。

中皮腫の治療では、症状緩和のための治療介入も重要です。胸水や腹水、心嚢液の貯留のために症状が出現していることもあるため、過剰な液体成分を排除するための対症療法も必要になります。また、痛みや呼吸苦をとるために、モルヒネを始めとした鎮痛剤の使用も検討されます。

中皮腫はアスベストと関連して発症することから、今後も中皮腫の患者さんは一定して発生すると考えられています。治療成績は必ずしも満足のいくものではないため、今後のさらなる治療薬開発への期待がされています。

より詳しい情報は、記事①記事②をご参照ください

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