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インタビュー

中皮腫の治療法-手術、投薬、放射線が三本柱

中皮腫の治療法-手術、投薬、放射線が三本柱
岡部 和倫 先生

ベルランド総合病院 呼吸器外科 部長

岡部 和倫 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年06月13日です。

中皮腫とは、アスベストへの曝露を主要な原因として発症するがんのことです。治療の選択肢としては手術療法・薬物療法・放射線療法があり、可能な場合は手術療法が勧められます。それに加えて、早期から緩和ケアを実施することが望ましく、毎日を生き生きと過ごせるように心掛けることが大切です。

今回は、中皮腫の治療法について、岡部和倫先生にお伺いしました。

病院

中皮腫治療の三本柱は手術・投薬・放射線です。手術が可能であれば手術を模索します。手術が可能と判断される状態は病院や外科の医師によって異なりますが、基本的には第一選択として手術が勧められます。

胸膜中皮腫の手術には以下の二種類があります。

  • 胸膜外肺全摘術(EPP)…胸腔の膜と片肺を全摘する手術。横隔膜と心膜を切除再建。
  • 胸膜切除剥皮術(PD)…胸腔や肺の膜だけを切除する手術。必要な場合、横隔膜と心膜を切除再建。

手術を受けることが本当に最良の選択なのかどうかを慎重に判断することは重要です。手術は、術者や病院によって、選択される方法や成績が異なります。そのため、手術に関しては、経験豊富な外科の医師の判断を求めましょう。

薬物療法は、腫瘍が切除不能な場合、もしくは手術との組み合わせや術後に再発した場合に実施されます。ある2種類の抗がん剤の併用により、生存期間が数ヶ月延長することが示されています。

ただし、抗がん剤治療を実施している期間は副作用として食欲の低下がみられるなど、課題もあります。薬物療法を実施している病院もあれば、薬物療法は利用せず手術療法・放射線療法のみを実施する病院もあります。

進行した中皮腫には、疼痛緩和を目的として、局所的な放射線治療を実施することがあります。

一方、胸膜外肺全摘術(EPP)のあと肺を切除した胸(患側(かんそく))に対しては、治療を目的として、胸郭に放射線を照射することがよく行われます。

中皮腫に限らず、さまざまながん治療において、早期から緩和ケアを行うことが望ましいと考えます。緩和ケアというと、病状が末期の頃に行うイメージがあるかもしれませんが、実際には診断を受けた患者さんに何らかの苦痛が生じた時点から導入されることが理想的です。

緩和ケアとしては、以下のようなものがあります。

  • 胸や背中の痛みに対する鎮痛剤の使用
  • 呼吸困難や咳に対する薬物療法、酸素吸入
  • 全身倦怠感(体のだるさ)に対するヨガなどのリラクゼーション、生活リズムの改善

など

また、鎮痛剤などを用いた緩和ケアだけではなく、患者さんが毎日をどのように過ごすか、生活の目的は何であるかということについて、相談相手になる医療スタッフの存在は重要です。

胸膜中皮腫・腹膜中皮腫・心膜中皮腫・精巣漿膜中皮腫の治療法は、いずれも手術・投薬・放射線の三本柱が基本です。その他、胸膜中皮腫や腹膜中皮腫では温熱化学療法を実施する場合があります。

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