ちゅうようしょうこうぐん

中葉症候群

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

中葉症候群とは、右肺の中葉に無気肺や慢性炎症をきたして生じた一群の症状を指します。左舌区に同様の病態が生じた場合は舌区症候群と呼び両者を併せて中葉舌区症候群といいます。

1948年にGrahamらが、膨大したリンパ節による気管支圧迫に続発した繰り返す中葉の無気肺(12症例が気管支拡張により喀血、発熱、胸痛、慢性咳嗽を伴っていた)を中葉症侯群と名づけ報告して、この概念が生まれました。現在では広く解釈され、原因や症状の有無に関係なく、再発性または持続性の中葉無気肺だけでも中葉症候群といわれることがあります。

中葉と舌区にだけ、このような症候群が起こる理由として、下記のようなことが考えられます。

  • 中葉と舌区へ伸びる気管支は他の上葉や下葉へ伸びる気管支よりも細く長いことから、中葉と舌区ではリンパ節による圧迫の影響が生じ、細菌の排出がうまくできない
  • 中葉気管支は多数のリンパ節によって囲まれており、これからのリンパ節には中下葉など広い領域からリンパが流れ込むことから炎症を起こしやすい
  • 中葉は発育が不十分なことが多く、生体防御力がほかの肺と比較して低いといわれている

以上より、中葉と舌区は慢性感染症を起こし易く、このような症候群が生じるものと考えられます。

原因

Grahamらは,中葉症候群は気管支周囲のリンパ節が膨張して気管支を圧迫することから右中葉の無気肺と気管支拡張が発現すると推論しました。しかし、その後の追加検討から、、当初考えられていたリンパ節による気管支の圧迫が主因となる中葉症候群はむしろ少ないと考えられるようになりました。

現在では、中葉症候群の主な原因は、分泌物貯留や感染の繰り返しにより生じた気管支拡張症や、炎症により生じた狭窄・閉塞、分泌物貯留による粘液栓などであると考えられています。その他の原因として、結核・非結核性リンパ節腫脹による中葉気管支の圧迫、気管支肉芽や良性・悪性腫瘍、気道異物などがあります。

症状

臨床症状としては、慢性咳嗽、喀痰、喀血、発熱が多く、胸痛を認めることもあります。この痛みは、炎症などの刺激が胸膜に波及した場合に起こることが多いです。

検査・診断

再発性または持続性の中葉無気肺または不完全拡張を胸部X線レントゲンまたはCT検査で確認し判断します。中葉症候群で重要なことは、無気肺を引き起こす原因疾患を調べることです。このために追加で以下の検査を行います。

  • 喀痰培養(結核を含む)
  • 気管支鏡検査
  • 喀痰細胞診

特に、気管支鏡検査には、原因検索に有効であり、狭窄の程度、粘膜の色調、分泌物の性状、異物の有無などの多種の情報が得られます。一方、胸部CT検査は、侵襲は少なく無気肺の程度(場所・広がりなど)も容易に知ることができます。

治療

原因となっている疾患の治療を行います。一般的な治療は、禁煙、去痰剤・気管支拡張剤の投与です。肺癌の場合は、外科的治療を含めた治療方針を検討する必要があります。感染症の場合は、原因となっている菌に対する抗菌薬の投与が必要です。多くの場合は、インフルエンザ桿菌や肺炎球菌が感染の原因となっています。さらに、喀血や感染症を繰り返す場合には、中葉切除が考慮されることもあります。

予後は原因疾患の予後に依存しますが、大量の喀血・重篤な感染症をきたさないかぎり、肺癌などの一部の疾患を除いて中葉症候群自体の予後は比較的良好です。

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